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胆嚢癌・胆管癌

胆嚢癌について解説していきます。

胆嚢癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)と10年生存率(2005-2008年診断症例)

5年生存率

10年生存率

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

胆嚢癌が転移しやすい箇所

胆嚢癌は、リンパ節、肝臓、腹膜、肺などへの転移が多く見られます。特に肝臓への転移が高頻度で報告されています。

胆嚢癌はどのような癌か

胆嚢は肝臓の下にあり、肝臓で作られた胆汁をためておく袋のような臓器です。胆汁は胆嚢から胆嚢管を通って胆管に至り、十二指腸に流れ込みます。この胆嚢にできた癌を「胆嚢癌」といいます。

胆嚢癌を引き起こす可能性のある危険因子として、胆嚢ポリープ、胆石症、膵胆管合流異常、慢性胆嚢炎、胆嚢腺筋症などが挙げられます。

胆嚢癌の主な症状

胆嚢癌は初期の頃はあまり症状は見られません。

しかし進行して肝臓、総胆管、十二指腸などに癌が及ぶと、みぞおちや右上腹部の痛み、黄疸、白色便、右上腹部の腫瘤といった症状がみられます。

また胆嚢炎や胆管炎を合併していると、強い痛みが生じたり熱が出たりする場合もあります(胆嚢癌そのものの症状とは異なります)。

胆嚢癌が再発しやすい理由・しにくい理由

胆嚢癌は最初の治療で癌細胞が完全に取り除かれていれば再発することはありません。しかし完全に取り除かれたようでも、目に見えないわずかな癌が残っていると、それが増殖し再発することがあります。

再発には、切除した部位に生じる局所再発、血液やリンパの流れに乗って他の部位で再発を起こす遠隔転移、腹膜に癌細胞が種を蒔いたように散らばる腹膜播種があります。

胆嚢癌に用いられる治療法

胆嚢癌や胆管癌、胆道癌といった癌では基本的に手術を前提とした治療が検討されます。ただし、実際に治療プランを考える場合には、癌の進行度や癌が生じている部位などを総合的に考慮して検討するのが大切。

手術ができるかどうか、さらに手術をできない場合は他にどのような治療法があるかなど、癌の状態を見極めた上で主治医と相談しながら治療を進めていくことになります。

治療法は、がんの進行の程度に応じた標準治療を基本として、体の状態、年齢、本人の希望なども含めて総合的に検討し、担当医と患者がともに決めていきます。

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

手術の前の流れ

胆嚢癌において、手術は一般的な治療とされています。一方で切除範囲が大きく、患者の体への負担が大きくなりがちな治療方法です。そのため、手術の可否を含めて主治医と密に相談を取ることになります。

手術ができるかどうかの基準

胆嚢癌の治療において手術の可否を判断したい場合、一般的には以下のようなポイントが基準となります。

そもそも患者の体が弱っていて手術に耐えられなければ、手術を選択することはできません。遠隔転移がなかったとしても、癌の生じている部位によっては手術が困難になることもあるでしょう。手術の方式や癌の状態、執刀医の技術によっては術後の肝機能が不充分になってしまうケースがあります。もしも不安があれば異なる医療機関でセカンドオピニオンを求めるのが大切です。

なお、手術ができない場合には胆道ドレナージや薬物療法、放射線療法などが検討され、さらに痛みの軽減や苦痛の緩和を目的とした治療(緩和療法)が進められることもあります。

妊婦の場合の注意点

胆嚢癌の治療を受ける患者が妊娠中であったり、妊娠を計画していたりする場合、手術を含めて治療方法が制限されることがあります。

患者が妊婦や妊娠希望者である場合には、手術できるかどうかの基準に関しても改めて考慮することが必要です。

術前準備

癌の生じた部位によっては、胆道だけでなく肝臓の一部を切除しなければなりません。、肝臓の広範囲を切除する必要がある場合には、手術前に術後の肝臓のサイズや機能を検証することが求められます。これは「残肝予備能評価」と呼ばれており、手術の可否を判断する上で重要です。

なお、肝臓の切除範囲が半分以上になる場合、術後の肝機能を維持するために「門脈塞栓術」といった手術が行われることもあります。

肝臓を半分以上切除する場合には、手術後も肝臓の機能を維持するために、手術の前に門脈塞栓術(切除する側の肝臓の門脈をふさぎ、残す側の肝臓の血流を増やす手術)を行って、残す側の肝臓の容積をあらかじめ大きくすることもあります。

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

その他、肝臓を広範囲に切除しなければならず、さらに黄疸症状が認められる場合には、手術前に「胆道ドレナージ」が必要です。

胆道ドレナージ

胆道ドレナージとは、癌で胆道が詰まって胆汁が流れなくなっている患者において、胆汁がスムーズに流れるよう処置を行うための治療です。

胆道ドレナージには、チューブを使って鼻や腹部から体外へ胆汁を取り出す「外ろう」と、金属の管(ステント)を胆管内に設置して胆汁の流れをスムーズにする「内ろう」の2つの方法があります。どちらも体の外側に胆汁を回収する容器を用意した上で実施する方法です。

外ろうと内ろうにはそれぞれメリット・デメリットがあり、どちらの方法が適切かどうかは主治医と相談して決めるようにしてください。

胆汁が逆流しないように容器の位置を低く保ち、チューブが抜けたり折れたりしないようにするなどの注意が必要です。チューブが抜けてしまった場合はすぐに病院に連絡しましょう。また、胆汁の色や量に気を配り、変化があったら早めに担当医に相談しましょう。

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

外ろうの場合のような日常生活の制限はない反面、体内のステントが抜けたりつまったりしても気付きにくいという欠点があります。腹痛や発熱、黄疸の症状が出た場合には、何らかのトラブルが起きている可能性がありますので、病院に連絡しましょう。

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

手術(外科治療)

胆嚢癌や胆道癌では癌の種類や症状に応じて手術プランが変化します。そのため、どの手術法が適切かどうかは、癌の種類に応じて検討しなければなりません。

肝内胆管癌の手術

癌が肝臓の右葉か左葉のどちらかだけに生じている場合、癌とその周辺に位置する肝臓の一部を切除します。また、癌の状態によっては右葉・左葉のどちらか一方をまとめて切除することもあるでしょう。

癌が左右の葉を越えて拡大している場合、さらに切除範囲を広めた拡大肝葉切除が必要です。

なお、癌が肝門の付近に発生している場合には、胆管や胆嚢の切除に加えて周辺のリンパ節郭清を行なうこともあります。

がんが肝臓の右葉(自分側から見て右側の大きい部分)・左葉(左側の小さい部分)のどちらかのみにある場合には、がんとその周辺の肝臓の一部またはがんのある側を切除します

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

肝門部領域胆管癌

肝門部領域胆管癌の場合、癌を完全に取り切るために、胆管や肝臓、胆嚢といった周辺臓器やリンパ節まで切除するのが一般的な治療法です。

胆管や肝動脈、門脈といった組織が複雑に連携している肝門部領域は、手術を行う上でも難易度が高いものになります。術後には残存している胆管と小腸を連結させるといった再建手術が必要になることもポイントです。

肝門部領域では、胆管、門脈、肝動脈が分岐していて構造が複雑なので、肝門部領域胆管がんの手術は難しい手術になります。切除後は、残した胆管と小腸の一部をつなぐなど、臓器の機能を回復するための再建手術を行います。

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

遠位胆管癌

遠位胆管癌は膵臓を通っている遠位胆管に生じた癌です。そのため、遠位胆管癌では膵臓にも癌が広がっている可能性があり、膵頭部や膵頭十二指腸といった組織まで切除範囲を拡大しなければならないリスクが高まります。また、十二指腸や胃、腸の一部まで切除するのも遠位胆管癌の特徴です。

その他、リンパ節郭清も行わなければならず、切除後には失った臓器の欠落をつないで消化機能を回復させるための再建手術が必要となります。

遠位胆管は膵臓を通っているため、遠位胆管にできたがんは膵臓へ広がることがあります。そのため、膵頭十二指腸切除を行って、胆管、胆のう、膵頭部(十二指腸に接している側の膵臓)、十二指腸および連続する胃や腸の一部を切除するのが一般的です

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

胆嚢癌

癌が完全に胆嚢内部に限定されている場合であれば、胆嚢の摘出だけで手術が完了することもあります。

ただし、癌が胆嚢の周囲にまで拡大していれば、その範囲に比例して切除範囲が大きくなっていく点も重要です。

切除される可能性のある臓器としては、胆管や肝臓、膵臓、大腸など様々なものがあります。

十二指腸乳頭部癌

十二指腸乳頭部癌における標準手術は、膵頭十二指腸切除となっています。

切除する範囲は癌の範囲によって異なっており、残った胆管を消化器官へつないで消化機能を取り戻す再建手術が必要です。

十二指腸乳頭部がんの標準手術は膵頭十二指腸切除です(図9)。この手術では、十二指腸、膵頭部、肝外胆管、胆のう、周辺のリンパ節を切除します。連続している胃や小腸を切除することもあります。残った胆管を小腸に、膵臓を小腸や胃などにつなぎ合わせる再建手術を行います。

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

術後合併症のリスク

胆嚢癌や胆管癌、胆道癌の手術を行った場合、術後の合併症として様々な症状が懸念されます。特に重篤な症状は術後1週間以内に発生するとされており、術後は慎重な経過観察が必要です。

胆道がんの手術後の合併症には、肝不全、胆汁漏、膵液漏、胸水、腹水、胆管炎などがあります。

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

肝不全

肝臓の切除範囲が大きかった場合、術後に肝臓の機能障害が発生して、黄疸や腹水、意識低下といった症状に発展する可能性があります。

胆汁漏・膵液漏

胆道や膵臓などを再建手術によってつなぎ合わせると、その部分から胆汁や膵液といった分泌物が漏れ出てしまうことがあります。自然に治癒することもありますが、胆汁漏は髄膜炎の原因になったり、膵液漏は周辺の臓器や組織を溶かして血管を傷つけたりするため、症状の程度によっては直ちに対処しなければなりません。

胸水・腹水

右胸や腹部に水がたまって呼吸に支障が生じることもあります。対処法としては胸水の除去や薬剤投与が一般的です。

胆管炎

胆管と腸を再建手術でつないだ場合、接続部位の内部スペースが狭くなって腸の動きが悪化したり、腸液が逆流して腸管炎を引き起こしたりすることもあります。

胆管炎の自覚症状は退院後に認められることもあり、黄疸や発熱、上腹部の痛みなどが現れた際は直ちに主治医へ相談することが必要です。

薬物療法

手術を行えない場合や、転移癌の進行を防ぎたい場合などにおいて、抗がん剤などを利用する薬物療法が用いられることがあります。

手術困難時の薬物療法

手術によって治療が困難だと思われる場合や、癌の再発が認められた場合に、薬物療法が選択されます。

薬物療法のみで胆道癌や胆嚢癌の進行を完全に防いで完治させるのは困難ですが、患者の生存率を高めたり症状を緩和したりすることが可能です。

また、薬物療法では単一の薬剤を用いるだけでなく、複数の薬剤を組み合わせて複合的な治療を行うこともあります

標準治療として認められている薬物療法には以下のようなものがあります。

胆道がんの薬物療法では、ゲムシタビン、シスプラチン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(TS1:ティーエスワン)※を使用します。複数の薬を組み合わせることにより、より高い効果が出ることが知られています。

※薬の名前は「一般名(商品名)」で示しています。薬の名前の記載方針については関連情報をご覧ください。

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

術後補助療法

手術で取り切れなかった微細な癌に関して、薬物療法によって治療の効果を高めることもあります。ただし、術後薬物療法については十分な医学的効果が認められておらず、標準治療としては定められていません。

なお、薬物療法では薬剤によって副作用が生じることもあり、症状の程度を見極めながら治療を進めるのが大切です。

放射線治療

手術で取り切れなかった癌の治療を目的としたり、癌の進行を遅らせたりする目的で、放射線照射を使った治療が行われることもあります。

また、放射線治療と薬物療法を組み合わせた「化学放射線療法」は、手術の補助療法として活用されることもある治療法です。ただし、化学放射線療法などについては医学的効果が明確に認められていないものもあり、標準治療には含まれていません。

加えて、そもそも手術を行えない癌の場合、複数の目的で放射線治療が活用されます。これらの場合においても放射線治療は標準治療として認められていません。

また、手術ができないがんで、遠隔転移がない場合には、がんの進行を遅らせたり、内ろう(胆道ステント)がふさがってしまうのを防いだり、痛みを和らげたりすることなどを目的として放射線治療を行う場合があります。しかし、この効果も現時点では十分に証明されておらず、いずれの場合も標準治療ではありません。

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

緩和ケア・支持療法

癌の治療を目指すのでなく、癌患者のQOLを高めるために、癌による苦痛や不安を和らげる緩和ケアや支持療法が選択されるケースもあります。

緩和ケアや支持療法は治療をあきらめるという選択肢でなく、あくまでも患者が前向きに最期まで生きられるようサポートするのが目的です。癌と診断された瞬間から好きなタイミングで治療を始められます。

緩和ケアは、がんに伴う心と体、社会的なつらさを和らげます。がんと診断されたときから始まり、がんの治療とともに、つらさを感じるときはいつでも受けることができます。

なお、支持療法とは、がんそのものによる症状やがんの治療に伴う副作用・合併症・後遺症を軽くするための予防、治療およびケアのことを指します。本人にしかわからないつらさについても、積極的に医療者へ伝えましょう。

引用元:がん情報サービス|胆道がん(胆管がん[肝内胆管がんを含む]・胆のうがん・十二指腸乳頭部がん) 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/biliary_tract/treatment.html#A35)

胆嚢癌を再発させないための予防法

胆嚢癌は生活習慣と関わりが深いといわれ、特に食事療法が予防に有効といわれます。赤肉・加工肉やアルコールの過剰摂取は癌のリスクを高めるため注意が必要です。

一方、食物繊維を含む食品や適度な運動は、胆嚢癌のリスクを下げるといわれています。

また、手術後の術後補助療法を受けることで、再発のリスクを減らせるとも考えられています。

癌が再発した場合は、癌治療専門病院へ行き、早めに適切な治療を行う事が重要です。

胆嚢癌・胆管癌のステージ

ここではステージごとの胆嚢癌・胆管癌の状態について解説します。

ステージ分類

胆嚢癌のステージ

Ⅰ期 癌が胆嚢の粘膜や、その奥にある筋肉の層にとどまっている状態です。
Ⅱ期 癌が胆嚢の筋肉の層を超えているものの、胆嚢の外側には出ていない状態です。
Ⅲ期 癌が胆嚢の外に広がり、リンパ節や胆嚢周辺の臓器に浸潤している状態です。
Ⅳ期 癌が胆嚢周辺にある臓器(十二指腸、胃、大腸、すい臓など)のうち2か所以上に広がっている、または大きな血管や、胆嚢から遠い位置にある臓器に転移している状態です。

胆管癌のステージ

胆管癌のステージ分類の基準は、肝臓付近に発生する「肝門部領域胆管癌」と、十二指腸側の部分で発生する「遠位胆管癌」でそれぞれに少し異なります。ここでは、例として「肝門部領域胆管癌」のステージについてご紹介します。

Ⅰ期 癌が胆管の中に留まっている状態です。
Ⅱ期 癌が胆管を超えているが、他の臓器には広がっていない状態です。なお、胆管から広がった癌が肝臓の中の血管・胆管以外の部分(肝細胞)に浸潤している場合は、このステージに分類されます。
Ⅲ期 癌が胆管の周辺の門脈や肝動脈に広がっている状態です。また、リンパ節に転移が見られる場合にも、このステージに分類されます。
Ⅳ期 癌が肝臓の中にある胆管の深い部分や、総肝動脈、門脈の本管といった部位に浸潤している状態です。また、遠くの臓器に転移が見られる場合は、浸潤の状態に関わらずこのステージに分類されます。

ステージの分類方法

胆嚢癌・胆管癌のステージは、「癌の大きさや、周囲への広がり方」「リンパ節への転移の有無」「他の臓器への転移の有無」といった複数の要素の組み合わせによって決まります。

例えば、癌が胆嚢の浅い部位や、胆管の内部に留まっていても、遠くにある臓器に転移が認められる場合、ステージはもっとも進行した「Ⅳ」であると判断されるのです。

胆嚢癌のステージごとの治療方針

Ⅰ~Ⅱ期

基本的に、手術によって治療が行われます。癌が胆嚢の内側に留まっている場合は胆嚢のみを切除しますが、癌の広がり具合によっては、必要に応じて肝臓の一部を切除することもあります。

Ⅲ~Ⅳ期

癌の切除が可能な場合は、ステージⅡまでと同じく手術による治療が選択されます。なお、手術では癌を取り除ききることができない場合や、患者さんにとって手術が危険であると判断された場合などは、抗がん剤や放射線による治療が行われることも。

また、患者さんの病状によっては、手術や放射線治療のように癌を退治するための治療ではなく、患者さんの身体的・精神的苦痛を和らげ、その人らしい生活の質(QOL)を維持するための治療に注力することもあります。

胆管癌のステージごとの治療方針

胆管癌の場合はステージに関わらず、基本的には手術による治療が行われます。ただし、胆管癌の見極めは非常に複雑であり、医療機関によって意見が割れることも少なくありません。

とくに、肝臓近くにできた肝門部領域胆管癌の手術には非常に高い技術が要求されます。この癌と診断されたら、豊富な知識と経験を持つ医師にしっかりと治療方針を相談することが大切です。

Ⅰ~Ⅱ期

主に手術による治療が行われます。胆管・胆嚢に加え、癌のある部分が肝臓に近い場合は肝臓の一部の切除を、脾臓や十二指腸に近い場合は脾臓・十二指腸の一部を切除します。

Ⅲ~Ⅳ期

切除が可能である場合は、ステージⅠ~Ⅱと同じく手術による治療が行われます。一方、手術では癌を取り切れない、患者さんに手術を乗り越えるだけの体力がないといった事情がある場合は、抗がん剤によって癌を攻撃する化学療法を行います。

病気の進行により患者さんの苦痛が大きい場合は、痛みなどのつらい症状をコントロールし、患者さんが自分らしい日々を送るための緩和ケアが優先されることもあります。