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肝臓癌

掲載している治療法は保険適用外の自由診療も含まれます。自由診療は全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。

肝臓癌の5年生存率と10年生存率

5年生存率

10年生存率

肝臓癌が転移しやすい箇所

肝臓癌

肝臓癌は外科手術によって癌細胞を切除したとしても、術後2年以内におよそ7割の確率で再発するという点が重要です。ただし、再発癌の約9割が肝臓内における残った癌細胞からの再発であり、その他の臓器へ転移して起こる再発よりも注意すべきポイントが明確という点も見逃せません。

そのため、肝臓癌の治療では可能な限り肝臓から癌細胞を取り除くことが重要になります。

肝細胞癌は再発率が高く、切除術後2年以内に約70%で再発するといわれています。しかし、再発の約90%は残った肝臓内の再発であり、可能な限り再肝切除やラジオ波焼灼術などの治癒を狙った治療を目指します。

引用元:がん研有明病院|原発性肝がんの手術と成績(https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/liver_i/002.html)

また、肝臓癌の患者は多くが癌の他に慢性肝疾患を抱えており、癌治療だけでなく肝臓の機能障害の程度に合わせた治療を行うことが、再発や合併症を予防する上でも欠かせません。

なお、肝臓癌の再発は大部分が肝臓内とはいえ、肝臓には重要な動脈が通って全身へ血液を送っており、癌細胞が全身へ転移して再発するリスクにも注意することが重要です。

肝臓癌はどのような癌か

肝臓癌は肝臓の細胞が癌化して起こる「原発性肝癌」と他の臓器からの転移で起こる「転移性肝癌」があります。

原発性肝癌は肝臓の細胞が癌になる「肝細胞癌」と、胆管の細胞が癌になった「胆管細胞癌」とにわけられ、その大部分は肝細胞癌です。肝細胞癌は主に慢性ウイルス性肝炎(B型、C型)や肝硬変から発症する事が多いのが特徴です。

肝臓癌の主な症状

肝臓癌は初期の頃はほとんど自覚症状はありません。進行してくると全身の倦怠感、腹水、黄疸、肝性脳症、消化管出血といった肝炎や肝硬変で見られる症状が出現してきます。

肝臓癌特有の症状としてはみぞおちあたりに硬いしこりが生じたり、腹部に圧迫感、軽度の痛みが生じてきます。

肝臓癌が再発しやすい理由

肝臓癌は他の癌と比べても再発の可能性が非常に高い癌です。5年間で約70~80%の再発率といわれ、慢性肝炎や肝硬変といった癌になりうる病態が改善されない限り再発を繰り返します。肝臓には門脈という太い血管があり、全身に渡った血液が心臓に戻る際の通り道となるため、転移が多いとされています。

肝臓癌に用いられる治療法

肝臓癌において、最も効果的な治療法は外科手術による肝細胞癌の切除であるとされています。しかし実際は、腫瘍のサイズや個数といった癌の進行度に加えて、肝臓自体の機能障害の程度も考慮した上で、治療方針や手術内容が決定されます。

一般的な診療方針としては、外科手術による肝臓/癌細胞の切除の他、肝動脈塞栓術や全身化学療法、肝移植といった治療法が提唱されており、場合によっては緩和ケアを選択することもあるでしょう。

肝癌診療ガイドラインでは、肝障害度と腫瘍のサイズや個数に応じて、肝切除・ラジオ波などの局所治療、肝動脈塞栓術、全身化学療法、肝移植、緩和ケアを選択することが提唱されています。個々の患者さんにおいては、腫瘍の場所や悪性度(血管へ浸潤しているかなど)といった所見も踏まえ、治療方針を決定します。

引用元:がん研有明病院|原発性肝がんの手術と成績(https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/liver_i/002.html)

外科手術

肝臓癌で最も確実な治療とされている方法が、外科治療です。ただし、肝臓癌の外科治療では、大きく外科手術によって肝臓の癌細胞を切除する「肝切除」と、肝臓を全て摘出した上で臓器提供者(ドナー)から肝臓を患者へ移植する「肝移植」の2つに分けられています。

肝切除

腫瘍が3個以下で、さらに肝臓内にとどまっている場合、それぞれの癌細胞を外科手術によって切除します。腫瘍の大きさについては特に制限がなく、大きな腫瘍であっても外科手術が適用となる点が特徴です。

多くは、がんが肝臓にとどまっており、3個以下の場合に行います。がんの大きさには特に制限はなく、10cmを超えるような巨大なものであっても、切除が可能な場合もあります。また、がんが門脈や静脈の血管、胆管へ広がっている場合でも、一部のがんでは肝切除を行うことがあります。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス|肝細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/treatment.html)

ただし、癌によって腹水が生じている場合、肝切除によって肝臓の機能不全を誘発する危険性が高いとされており、腹水がある患者に対しては基本的に肝切除以外の治療法が選択されます。

なお、腹腔鏡による手術は施術可能な範囲が限られており、一般的には開腹手術が選択されることもポイントです。

腹腔鏡下肝切除

肝切除の対象となる肝臓癌の中でも、特に腹腔鏡による手術で対応できる進行度の癌に対して、保険適応による腹腔鏡下肝切除が実施されます。

開腹手術と比較すれば傷口の範囲は3分の1以下となっており、術後の復帰が早いこともメリットです。また、開腹手術によって生じる癒着リスクを低下させられることも見逃せません。

ただし、手術中に医師が触診によって肝臓の状態を判断できないといったデメリットもあり、腹腔鏡下肝切除が実施可能かどうかは癌の状態だけでなく治療環境なども合わせて検討することが必要です。

転移性肝腫瘍、肝細胞癌、その他肝良性腫瘍が主な適応となります。5mmから12mmのポート創(穴)を5か所程度設置し、高解像度カメラスコープ、腹腔鏡用鉗子、エネルギーデバイスを挿入して肝離断を行います。

引用元:がん研有明病院|原発性肝がんの手術と成績(https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/liver_i/002.html)

肝移植

癌細胞に浸食されている肝臓をまるごと摘出した上で、ドナーから提供された肝臓を患者の体内へ移植する手術です。日本では近親者を主なドナーとして、生きている人から肝臓の一部を提供してもらう「生体肝移植」が実施されていますが、そもそも肝移植を受けるには「ミラノ基準」という基準を満たさなければなりません。

肝細胞がんに対する肝移植は、(a)脈管への広がり・肝臓以外への転移がない、(b)がんが1つなら5cm以下、(c)がんが複数なら3個以下で3cm以内、という基準(ミラノ基準)を満たす場合に行うことがあります。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス|肝細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/treatment.html)

穿刺局所療法

穿刺局所療法とは、開腹手術でなく、体外から治療用の針を刺して、局所的な治療を行う方法です。傷口が小さいため患者への肉体的ダメージが少なく、癌の進行度を見極めながら選択されます。

Child-Pugh分類のAまたはBのうち、がんの大きさが3cm以下、かつ、3個以下の場合に行われることがあります。肝細胞がんの穿刺局所療法として推奨されているのは、ラジオ波焼灼療法(RFA)です。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス|肝細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/treatment.html)

ラジオ波焼灼療法(RFA)

穿刺局所療法の中でも特に推奨されている治療法です。特殊な針を癌細胞へ刺して、電気を流して癌細胞を焼きます。針を刺す時だけでなく、癌細胞を焼く際にも痛みが発生するため、治療時は複数の麻酔や鎮痛剤が併用されます。

その他の穿刺局所療法

従来は経皮的エタノール注入(PEI)や経皮的マイクロ波凝固療法(PMCT)といった穿刺局所療法が一般的でした。

塞栓療法/塞栓術

塞栓療法は、癌細胞へ栄養を運搬している血管を人工的に塞ぐことで、癌細胞を減らす治療です。また、さらに抗がん剤を注入することで、弱った癌細胞を死滅させることを目指します。

肝臓癌の塞栓療法には複数の種類があり、現在は「肝動脈化学塞栓療法(TACE)」が主流となっています。

CT画像で体の中を透かして見ながらカテーテルを入れて、標的となるがんの治療を行います。塞栓療法には、肝動脈化学塞栓療法(TACE)と肝動脈塞栓療法(TAE)があり、肝細胞がんではTACEが主流になりつつあります。

Child-Pugh分類のAまたはBのうち、大きさが3cmを超えた2〜3個のがん、もしくは、大きさに関わらず4個以上のがんがある場合に行われることがあります。がんの存在する範囲が広い場合は、治療を複数回に分けて行います。また、塞栓療法は、ほかの治療と併用して行われることがあります。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス|肝細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/treatment.html)

なお、血流を阻害する治療特性から副作用のリスクもあり、治療実施の前には必ず主治医から十分な説明を受けて、治療後の対応についても理解しておかなければなりません。

肝動脈化学塞栓療法(TACE)

肝動脈へカテーテルを挿入し、抗がん剤と造影剤を注入した上で、血管を塞ぐための物質を挿入する治療です。癌への栄養を遮断しながら、さらに抗がん剤によって癌を攻撃する多段階の治療となっています。

肝動脈塞栓療法(TAE)

肝動脈の一部を遮断して、肝臓の癌細胞へ栄養を送っている血流を阻害する治療です。TAEの場合、抗がん剤を用いず、塞栓物質のみが注入されます。

肝動注化学療法(TAI)

血管造影に用いるカテーテルを使って、抗がん剤のみを注入する治療法です。

薬物療法

肝臓癌においては、分子標的薬を用いた分子標的治療が標準治療として定められています(2021年4月時点)。外科治療や穿刺局所療法といった手段を使えない、進行性の肝臓癌に対して、肝機能が正常な場合に分子標的治療が実施されます。

分子標的治療

分子標的治療に用いられる薬剤には複数の種類があり、どれを1次治療や2次治療に用いるかは、個々の患者の状態や主治医の判断によって決定される点が特徴です。また、分子標的薬ごとに副作用のリスクがあり、ごく軽度の副作用まで含めれば、治療を受ける大半の患者に副作用が発生することも無視できません。

1次治療では、分子標的薬であるソラフェニブまたはレンバチニブを用います。ソラフェニブによる治療後にがんが進行してしまった場合、副作用などの問題がなくChild-Pugh分類のAに当てはまるときは、同じく分子標的薬である、レゴラフェニブを2次治療として用いることがあります。なお、レンバチニブを1次治療とした場合の2次治療については、まだ検討がなされている段階です。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス|肝細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/treatment.html)

放射線治療

肝臓癌において、放射線による治療は医学的研究を進めている状況であり、確実な有効性が認められていないことから、標準治療としても確立されていません。ただし、転移や再発で骨や脳といった他臓器へ癌が転移した時に、それぞれの治療や症状緩和を目的として放射線治療が併用されることもあります。

緩和ケア

肝臓癌が進行し、外科治療や薬物療法などによる治療効果も期待できず、さらに生体肝移植のドナーなども見つからない場合、緩和ケアによってQOLを高めるという方法も1つの選択です。

緩和ケアでは癌細胞を殺すことよりも、患者自身の幸せや生きがいを重視して尊重する治療が行われるため、可能な限り患者の希望を聞いた上で治療プランを提案してもらえます。

リハビリテーション

肝臓癌では開腹手術による治療を受けることが多く、術後に適切なリハビリテーションを行い、手術によるダメージから早急に回復することも重視されています。

開腹手術前後の呼吸リハビリテーション

へその部分より上をメスで切り開く手術では、術後に腹筋を利用した呼吸が難しくなりがちです。また、特に喫煙者は呼吸機能が低下することで痰を上手に吐き出せず、誤嚥性肺炎を発症するリスクがあります。

そのため、開腹手術の前から適切な呼吸トレーニングをし、術後にも安全な呼吸を行えるように指導されます。

身体機能のリハビリテーション

手術後に寝たきりの状態になってしまうと、肝臓だけでなく全身の機能低下を引き起こし、合併症や再発リスクが上昇してしまうもの。そのため、術後はなるべく早い段階で離床し、さらには日常生活への早期復帰を目指してリハビリ指導が行われます。

慢性肝疾患の治療

肝臓癌の患者では、大半が慢性のB型・C型肝炎やアルコール性肝障害といった慢性肝疾患を抱えており、癌治療と並行してそれらの治療を行うことが重要です。

また、肝臓の状態は再発リスクへ直結するため、癌治療後も適切な治療によって健康管理を行うことが欠かせません。

肝細胞がんの患者さんの多くは、がんと慢性肝疾患という2つの病気を抱えているため、がんの病期(ステージ)だけでなく、肝臓の障害の程度(Child-Pugh分類による評価)も考慮して治療方法を選択します。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス|肝細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/treatment.html)

肝臓癌を再発させないための予防法

日本国内において、肝臓癌の原因の大部分がB型・C型肝炎とされており、肝炎ウイルスへ感染している人は十分な治療を受けなければなりません。また、暴飲暴食による肝硬変やアルコール性肝障害も肝臓癌のリスクを上昇させるため、術後はアルコールを控え、肝機能の安定を目指すことが大切です。

加えて、近年では非アルコール性脂肪性肝炎を原因とする肝臓癌にも注目されています。

非アルコール性脂肪性肝炎はメタボリックシンドロームと関係があるとされており、普段にお酒を飲まない人でも、生活習慣の乱れによって体重や脂肪量が増加していれば注意しなければなりません。そのため、食習慣や運動習慣を見直して、ライフスタイルを改善することが、肝臓癌の再発予防に必要です。

肝臓がんのステージ

肝臓がんのステージ分類には、日本肝臓研究会による「臨床・病理原発性肝癌取扱い規約」と、国際規約である「TNM悪性腫瘍の分類(UICC)」の2種類があります。

ステージ分類

臨床・病理原発性肝癌取扱い規約による分類

Ⅰ期 (1)癌細胞は1つに限られ、(2)その大きさは2cm以下、(3)脈管(門脈、静脈、胆管)に広がっていない状態。
Ⅱ期 上記(1)~(3)のうち2項目が当てはまる状態。
Ⅲ期 上記(1)~(3)のうち1項目が当てはまる状態。
Ⅳa期 上記(1)~(3)のいずれも当てはまらない状態、あるいは(1)~(3)に関係なくリンパ節に移転が見られる状態。
Ⅳb期 上記(1)~(3)やリンパ節への転移の有無に関係なく、遠隔転移が見られる状態。

UICCによる分類

Ⅰa期 直径2cm以下の癌が1つだけ認められる状態。
Ⅰb期 血管侵襲(癌が血管内に入る混むこと)を伴わない、直径2cm以上の癌が1つだけ認められる状態。
Ⅱ期 血管侵襲を伴う直径2cm以上の癌が1つだけ認められる状態。あるいは直径5cm以下の癌が2つ以上認められる状態。
Ⅲa期 直径5cm以上の癌が2つ以上認められる状態。
Ⅲb期 門脈、肝静脈の大分岐、あるいは胆のう以外の隣接臓器にまで癌が達している状態。あるいは癌が臓側腹膜を貫通している状態。
Ⅳa期 癌の大きさや浸潤度に関係なく、領域リンパ節(肝臓付近のリンパ節)に転移が認められる状態。
Ⅳb期 肝臓の大きさや浸潤度、リンパ節への転移の有無に関係なく、他の臓器への遠隔転移が認められる場合。

ステージの分類方法

前述の通り日本の臨床・病理原発性肝癌取扱い規約とUICCでは多少ステージの内容が異なる場合がありますが、いずれも同じ分類方法、「TNM分類」によって分類されています。つまり、「T=癌の大きさや個数、浸潤の度合い」、「N=リンパ節への転移の有無」、「M=遠隔転移の有無」の3要素を総合的に見て、癌がどの段階に達しているかを位置づけるのです。

ステージごとの治療方針

Ⅰ~Ⅱ期

癌が小さくて少なく、かつ治療に耐えられる肝予備機能がある場合には、ラジオ派を用いて腫瘍に熱を発生させ凝固させる「ラジオ波焼灼法」という選択肢があります。また、複数の癌がみられその大きさが3cm以上であったり脈管への広がりが見られる場合には、肝動脈に塞栓物質を注入して癌への栄養供給を阻害し、壊死させる「肝動脈塞栓療法」という治療法もあります。しかし癌細胞を全て切除し切れると判断される場合には、手術療法が一般的でしょう。術後は薬物療法で様子をみます。

Ⅱ~Ⅲ期

手術では切除しきれないと判断された場合には、放射線療法や化学療法がとられます。癌の数が3個以内、大きさが3cm以内(単発なら5cm以内)であれば、肝移植という選択肢もあります。

Ⅲ~Ⅳ期

癌により重度の肝障害に至っており肝移植でも回復が難しいと考えられる場合には、症状を抑える「緩和治療」が行われます。