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多発性骨髄腫

掲載している治療法は保険適用外の自由診療も含まれます。自由診療は全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。

多発性骨髄腫の5年生存率・10年生存率

多発性骨髄腫の10年生存率については信頼できる情報元が見つからなかったため、5年生存率についてのみ言及します。

多発性骨髄腫は、病状が進行しているほど生存率が下がる傾向にあります。病気の進行状態でステージが分類されており、2015年に病期の分類定義が改定。アルブミンとβ2ミクログロブリン、LDHと呼ばれる乳酸脱水素酵素および染色体異常の程度で分類されています。

多発性骨髄腫はどのような癌か

血液細胞というものが骨の中の骨髄で造られることで血液が体内で増えていきます。多発性骨髄腫は、その骨髄の中にある形質細胞という細胞が悪性腫瘍に変わり、癌となってしまうことを指します。

形質細胞は血液細胞を造ると同時に、体外から侵入したウイルスなどを撃退する役割を持つ抗体もつくっている細胞です。形質細胞が癌になって骨髄腫細胞に変化すると正常な抗体がつくられず、今までとは異なるものをつくりはじめます。これを、M蛋白と呼びます。

M蛋白は通常造られている抗体(免疫グロブリン)と違って抗体の働きをしません。M蛋白の量で多発性骨髄腫の病気の程度を判断し、治療方針や効果の程を確認します。

多発性骨髄腫は血液の癌の1つですが、よく知られている血液の癌に白血病が挙げられます。白血病は若年層にも発病し、進行も早いことが知られていますが、多発性骨髄腫は進行が遅く、症状もあらわれないこともあります。

また、50代から~70代といった比較的年齢の高い層に発病することが多く、男性の方が女性よりも患者数は多いといった特徴も。白血病とは異なります。2011年の統計によると、1年間で10万人に5.4人が発症する病気のようです。

多発性骨髄腫はなぜ起こるのかについてはまだわかっていませんが、近年の研究で多発性骨髄腫に対しての治療は発展している分野の1つです。適切な治療を行なうことで、症状を和らげたり、寛解を目指したりすることも可能で、再発を防ぐためにできることもあります。医師と相談のうえ、適切な治療方法の検討と決定を行なってください。

多発性骨髄腫の症状は、造血作用が弱くなることによって頭痛、貧血、倦怠感、息切れ、動悸といった症状が引き起こされます。また、骨髄腫細胞が異常増殖するため、骨にも影響がでるため骨がもろくなったり、ひどい場合には骨折や関節の痛みなどが引き起こされたりすることも。

骨が溶ける状態になるため、溶けた骨から血液に放出されるカルシウムが、口の渇きや吐き気などを引き起こすこともあります。

最後に、骨髄腫細胞によってM蛋白が増加することにより、抵抗力がなくなり風邪や感染症にかかりやすくなります。血液がドロドロの状態になるので、血液をろ過する働きを持つ腎臓にも大きな負担をかけ、腎機能低下・腎機能障害を引き起こすこともあるのです。

このように、多発性骨髄腫はさまざまな症状が出てくる病気といえます。

多発性骨髄腫が再発しやすい理由・しにくい理由

多発性骨髄腫は、症状が一度緩和されても、再発したり、病状が進行したりする可能性が高い癌の1つです。

多発性骨髄腫の治療には主に化学療法が用いられますが、再発の患者には初回で使った抗癌剤を再び用いるか、他の種類の抗癌剤を用いるか選択することができます。近年、使える抗癌剤の種類が増えてきており、治療実績も改善されてきているようです。

多発性骨髄腫に用いられる治療法

多発性骨髄腫に対しては、主に化学療法が行なわれます。65歳未満で肝機能や腎機能、心肺機能に問題がないといったいくつかの条件を満たす患者に対しては、自分の造血幹細胞を移植する「自家造血幹細胞移植」を行なえるようです。

再発した患者には化学療法が行なわれることがほとんど。症状が改善して安定してくれば、化学療法をやめるか量を減らすといった方法を取ることもあります。

多発性骨髄腫は多様な症状があらわれるため、治療とあわせて症状への対処を行なうこともあるようです。再発する可能性が高いといわれている病気なので、治療後も定期的な健診を受けて症状が出ていないかを確認することが必要です。

多発性骨髄腫の化学療法には副作用もあり、吐き気や貧血、脱毛といった一般的な抗癌剤の副作用として挙げられるものがほとんど。専門知識をもっている医師によく相談したうえで、化学療法を行なってください。

多発性骨髄腫を再発させないための予防法

多発性骨髄腫の発症の原因はまだ解明されていないので、どういった場合に再発するのかということも判明していません。しかしながら、出現する症状を緩和するための対処を行なうことはできます。

多発性骨髄腫の進行は他の癌と比較して遅いのが特徴なので、自覚症状が出るよりも先に医師から再発の兆候を指摘されることが多いようです。そのため、定期的な健診が必要でしょう。

寛解とはいかなくても、症状が安定してきている人は、油断せず手洗いやうがいといった感染症の予防を徹底しましょう。

適度な運動も効果があります。運動は骨に刺激を与え、骨を丈夫にする働きがあるためです。

腎臓に負担をかけ過ぎないように、こまめな水分補給も効果があります。医師の指導のもと、適切な予防法を実施しましょう。

多発性骨髄腫のステージ

ここでは、ステージごとの多発性骨髄腫の状態について解説します。

ステージ分類

Ⅰ期 血清β2-ミクログロブリン値が3.5mg/l以下、かつ血清アルブミン値が3.5g/dl以上であり、染色体異常が見られず、血清LDHも正常値である状態です。
Ⅱ期 Ⅰ期にもⅢ期にも該当しない状態です。
Ⅲ期 血清β2-ミクログロブリン値が5.5mg/l以上であるとともに、高リスク染色体異常か、血清LDHが高値である状態です。

ステージの分類方法

多発性骨髄腫のステージ分類には、血清のアルブミン値とβ2ミクログロブリン値に基づく国際病期分類(International Staging System:ISS)を用いることが推奨されてきました。近年では、国際病期分類の定義に「高リスク染色体異常の有無」と「血清LDH濃度」の二つの基準を追加した改訂国際病期分類も用いられています。

血清とは

血液が固まる際に分離した上澄みのことを、血清といいます。主な成分はアルブミンやグロブリンであり、これらの数値を調べることにより体の栄養状態などが分かります。

アルブミンとは

アルブミンは、血液の中に含まれるタンパク質の一種です。血清アルブミン値が低すぎる場合は栄養状態の悪化や肝疾患、悪性腫瘍などが、高すぎる場合は脱水が疑われます。

β2-ミクログロブリンとは

β2-ミクログロブリンは、細胞膜の表面に広く分布するタンパク質です。多発性骨髄腫のような悪性腫瘍や炎症性の疾患があると体内で過剰に作り出され、それにともなって血清中のβ2-ミクログロブリン濃度が上昇します。

高リスク染色体異常とは

体の細胞が分裂する際、核の中にあるひも状のDNAが折りたたまれ、棒のような形になったものが染色体です。

染色体は、2本で1セットとして数えられます。ところが、場合によっては、2本あるはずの染色体が1本しかない、3本あるといった異常が生じることも。また、棒状であるはずの染色体が丸まっている、構造の一部が欠けたり、重複したりしているといった異常が起こることもあります。こうした異常を総称して、染色体異常と呼びます。

多発性骨髄腫の場合、特定の染色体異常があると、「病気の進行が速い」「薬が効きにくい」など、治療に際して様々な不利が生じることが分かっています。「高リスク染色体異常」とは、このように治療に対して悪影響を及ぼす染色体の異常のことを指す言葉です。

血清LDH濃度とは

LDH=乳酸脱水素酵素は、肝臓や赤血球、筋肉などにある酵素です。悪性腫瘍の中にも豊富に存在するため、血清LDH濃度が高い時には、肝臓や心臓の疾患のほか、多発性骨髄腫を含む癌にかかっていることが疑われます。

ステージごとの治療方針

Ⅰ期

多発性骨髄腫であることが分かっても、体の痛みや倦怠感といった症状がまったく表れていない場合は、定期的に検査をしながら経過を観察するのが一般的です。症状が現れたり、病気が進行していることが分かったりした場合には、化学療法などの治療が開始されます。

Ⅱ期、Ⅲ期

治療のメインを担うのは化学療法です。患者さんの状態に応じて、抗がん剤やステロイド剤、免疫抑制剤などを組み合わせて治療を進め、腫瘍細胞をできるだけ退治します。

また、患者さんが65歳以下である、重い合併症がないなどの一定条件を満たし、かつ患者さん本人が希望する場合は、血液細胞のもとになる造血幹細胞の自家移植も行われます。

Ⅱ期、Ⅲ期の多発性骨髄腫と診断された場合は直ちに治療を開始することが推奨されますが、骨折や腎不全といった合併症が見られる場合は、まずそちらの治療が優先されることも。また、腫瘍の縮小や痛みの緩和を目的として、放射線治療が行われることもあります。