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癌の再発予防には運動療法が有効といわれています。なぜ運動療法が有効なのか、その具体的な方法などを解説していきます。
運動が癌予防に及ぼす効果は完全には解明されていませんが、「運動療法によって化学療法の効果が高まった」という報告や、「乳癌や大腸癌の患者において、死亡率や再発率が低下した」といった研究結果が発表されています。
運動によって、免疫機能の改善、身体の代謝の活性化、ストレスの軽減といった効果が得られることが知られています。血液循環が促進され、身体機能の維持や倦怠感の軽減にもつながります。身体的および精神的な良い効果が期待され、癌の再発予防にも貢献する可能性があると考えられています。
また、運動による効果の一つに肥満の予防があります。肥満は、閉経後の乳癌や大腸癌、肝臓癌など、特定の種類のがんのリスクを高めることが示唆されており、運動を継続することで肥満を予防する行動が、結果的に癌の予防につながると考えられます。
米国癌学会が癌患者に推奨する運動は、以下のいずれかです。
具体的には、ウォーキングや自転車エルゴメーター、軽いジョギングなど、会話はできるが息切れを感じる程度の運動を、比較的長い時間行うのが良いでしょう。
また、軽いストレッチやヨガ、体操なども、柔軟性や心身のリラックスに役立つため効果的です。
※もちろん、年齢や癌の種類、治療内容によって、より望ましい運動の種類や強度は異なります。
2016年に米国の医師会雑誌(JAMA)内科学にて発表された研究において、「ウォーキングなどの活発な運動を週に5回以上行っている人は、ほとんど運動しない人と比較して、特定の種類のがんの発症リスクが有意に低下する」ことが明らかにされています。
その研究では、運動によって予防効果が示唆されたがんは13種類に及びました。効果の程度が高い順に挙げると、以下の通りです。
明確な科学的根拠はまだ研究中であるものの、毎日の適度な運動が、特定のがんの予防に有効であることが示唆されています。
身体の状態によっては、運動をするとかえって身体への負担を増大させてしまうこともあるため、一般の方が適切な運動量を判断するのは難しい場合があります。
近年では、癌患者さん専門のリハビリテーション科を設置している病院も増えてきています。医師の診断に基づき、運動療法の専門家である理学療法士などに適切なアドバイスを受けながら運動を行えば、個々の状態に合わせた安全かつ効果的な運動療法が可能となります。
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