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当ページでは、舌癌の概要と再発について解説しています。
舌癌とは、主に舌の側面や裏側に生じる口腔癌の一種。比較的発見しやすい癌のため、早期治療により完治する患者は少なくありません。治療後は再発を予防するため、日々のセルフチェックや定期検診の受診、禁煙・禁酒、適度な運動、規則正しい生活などが大切になります。
舌癌とは、口の中に生じる「口腔癌」の一種で、舌の前方2/3に生じた癌を舌癌と定義します。早期の段階では自覚症状がない場合もありますが、進行するにつれ、舌に腫れや痛み、しこりなどが生じることもあります。特に舌の側面に違和感があれば、早期に耳鼻咽喉科や歯科医院を受診しましょう。
発症の直接的な原因は不明ですが、危険因子としては喫煙・飲酒による舌への慢性的な刺激、合わない歯の詰め物などによる舌への慢性的な刺激などが挙げられています。
舌癌のステージは「T」「N」「M」の3つのカテゴリーの組み合わせで決まります。
これらのカテゴリーの組み合わせにより、舌癌は「0期」「Ⅰ期」「Ⅱ期」「Ⅲ期」「IVA期」「IVB期」「IVC期」の7段階に分類されます。
なお、最も軽度な状態が「N0」と「Tis」の組み合わせで、ステージは「0期」。また、組み合わせの中に「M1」が登場すれば、どのようなペアであれ「IVC期」となりステージの最終段階となります。
舌癌が再発する場合、治療後2年以内の再発が多いと言われています。
再発の原因は様々考えられますが、主な原因の1つが手術後の残存癌細胞。手術では全ての癌細胞を残さないよう慎重に舌を切除しますが、もし癌細胞が一部残ってしまった場合には、時間とともに癌細胞が大きくなり再発することもあります。
他にも、免疫力の低下や喫煙・飲酒などの生活習慣が舌癌の主な再発原因として指摘されています。
手術後における癌細胞の残存については、患者自身の注意で防げるものではありませんが、その他の再発要因の多くは、患者自身の注意で防げる可能性があります。
喫煙と飲酒、特に喫煙は舌癌の大きな再発要因として指摘されているため、禁煙は必須となるでしょう。禁酒・節酒も心がける必要があります。また、発癌性が高いとされるHPVへの感染にも注意が必要です(オーラルセックス等での感染リスクあり)。
手術等の治療を受けた後、再び舌のしこりや痛み、出血などが見られた場合には、可能性の1つとして再発が疑われます。痛みや出血を伴わない場合もありますが、舌癌の治療後に口内炎のような違和感が生じた場合には、早急に医療機関を受診しましょう。
再発リスクに関連し、以下のセルフチェックも参考にしてください。
舌だけではなく口腔内全体を十分に確認することが大切です。
舌癌の再発予防に向けて患者自身ができることは、生活習慣の改善です。舌癌が再発する大きなリスク要因の1つが喫煙・飲酒とされているため、喫煙・飲酒の習慣がある方は、禁煙と禁酒を心がけましょう。クリニックの禁煙外来やアルコール外来などを受診すれば、効果的に禁煙・禁酒ができるかもしれません。
ほかにも、規則正しい生活や適度な運動などを通じ、日頃から免疫力を高めておくことが大切です。
また、仮に再発しても迅速に対処できるよう、治療後は定期検診を受けることが非常に大切です。
治療後の最初の1年間は特に再発リスクが高い期間なので、毎月検診を受けることを前提に、3~4か月に1度はCT等での検査も受けるべきとされています。治療後2年目は2か月に1度、3年目は3ヶ月に1度という具合に、治療からの経過年数に応じて少しずつ定期検診の間隔を広げることが一般的です。
なお、舌癌治療後、最低でも5年間は定期検診を受けるよう推奨されています。
セルフチェック等で舌の側面や裏側などに違和感が見られた場合、舌癌の再発が疑われます。早急に専門的な検査を受け、違和感の原因を特定しましょう。
検査の結果、もし舌癌の再発が確認された場合には、改めて治療が必要となります。舌癌の再発に対する主な治療法は手術、または放射線治療。どちらの治療法も困難な場合には薬物療法(化学療法、分子標的療法、がん免疫療法のいずれか)が選択されます。
舌癌の再発には早急かつ適切な治療が必要となりますが、あわせて大切にしたいことが患者自身の心のケア。辛い治療を経て明るい兆しが見えた患者にとって、再発の知らせは非常に重い出来事です。患者自身のQOL(生活の質)の維持のため、家族を含めた周囲はその不安やストレスを理解することが大切です。
再発による不安やストレスへの有効な対処法は、患者本人の性格等により異なります。まずは、舌癌の再発に関する正しい情報を理解した上で、家族や友人に気持ちを打ち明けたり、気分転換の旅行へ出かけたり、専門家のカウンセリングを受けたり、患者会や支援グループに参加したりなど、自分に合った対処法を考えてみましょう。
舌癌が再発する場合、治療後2年以内に再発することが多いと言われています。仮に舌癌が再発しても、適切な治療を受ければ寛解に至るケースは少なくないので、再発の早期発見・早期治療のために、かならず定期検診を受けるようにしましょう。
治療後の2年間はもちろんのこと、最低でも5年、できれば6年目以降も定期的に検診を受けるよう推奨します。
また、舌癌の再発を予防するためには、治療後の患者自身の取り組みも非常に大切になります。日々、口腔内のセルフチェックを通じて違和感の有無を確認するとともに、禁煙・禁酒(節酒)、規則正しい生活、適度な運動なども心がけ再発の予防に努めましょう。