癌の再発と上手に付き合うためのサイト » 部位別に見る再発癌 » 前立腺癌

公開日: |更新日:

前立腺癌

掲載している治療法は保険適用外の自由診療も含まれます。自由診療は全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。

前立腺癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)と10年生存率(2005-2008年診断症例)

5年生存率

10年生存率

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

前立腺癌が転移しやすい箇所

前立腺癌

前立腺癌は骨への転移が多く、転移の8割以上が骨転移といわれています。骨の痛みや骨折、麻痺などの症状がみられます。

次いで多いのがリンパ節への転移で骨盤内の前立腺の周りのリンパ節に転移がみられます。他は肺や肝臓に見られる事があります。

前立腺癌はどのような癌か

前立腺は膀胱の下、直腸の前に位置し、左右に一つずつ存在しています。男性の精液を生成する臓器です。この前立腺になんらかの原因で癌細胞が生じる事で発症します。前立腺癌は主に外腺(辺縁領域)に発生します。

他の癌と比べて前立腺癌の進行は遅く、ゆっくりと進行するため、死亡率が低いという特徴があります。年齢とともに発症する人が増え、80歳以上では20%の人に前立腺癌が認められるといわれています。

前立腺癌の主な症状

前立腺癌は早期から中期にかけても自覚症状がほとんど見られず発見されにくいです。尿が出にくい、排尿回数が多い、残尿感があるといったような症状が出る程度です。これらの症状は癌細胞が尿道を圧迫する事で生じるのではないかといわれています。

進行すると血尿や血精液、骨転移による痛みが生じてきます。

前立腺癌が再発する理由

前立腺癌の再発は状態の違いから2つにわけられます。

1つはPSA再発(生化学的再発)とよばれ、治療を行いPSAという腫瘍マーカーが低下したものの再び上昇してくるというものです。もう1つは臨床的再発といい、治療後に転移や病巣の増大、悪化、新たな癌細胞がみつかるといったものです。

前立腺癌に用いられる治療法

前立腺癌の治療法には外科治療(手術)や放射線治療、薬物療法、監視療法など複数の選択肢があり、癌の進行度や悪性度、患者の年齢や全身状態、価値観などを考慮して適切な治療方針が検討されます。

治療を始める前には、PSA値、グリーソンスコア、病期(ステージ)などの情報に基づき、治療の必要性や優先度を評価します。また、治療によって性機能や排尿機能など生活の質に影響が及ぶ可能性があるため、事前に副作用や妊孕性温存の選択肢についても医師と相談することが大切です。

監視療法

監視療法は、前立腺癌が前立腺内にとどまっており、進行の速度が遅く、すぐに積極的な治療を行わなくても生命予後に影響しないと判断される場合に選択される治療方針です。

監視療法では、定期的なPSA検査(3〜6ヶ月ごと)や直腸診、年1回程度の前立腺MRI、必要に応じて再生検などを行い、病状の進行を慎重に観察します。病状の進行や悪化が認められた場合には、治療方針を見直し、根治的治療(手術や放射線治療など)に切り替えることが検討されます。

監視療法の目的は、低リスクの前立腺癌に対して過剰治療を避け、治療による副作用を回避しつつ、生活の質(QOL)を維持することにあります。患者の不安や価値観にも配慮し、定期的な説明や対話を通じて納得した上で継続されることが大切です。

監視療法が適している状態とは、PSA値が10ng/mL以下、病期がT1cまたはT2a、グリーソンスコアが6(Grade Group 1)以下であることなどが目安になります。PSA値が3~6ヶ月ごとに測定され、MRIや前立腺生検などと組み合わせて総合的に評価します。PSAの上昇傾向やMRI画像の変化があれば再評価を行い、必要に応じて積極的治療へ移行します。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療

フォーカルセラピー(Focal therapy)

フォーカルセラピーとは、監視療法と外科治療や放射線治療の中間に位置する治療概念です。前立腺内の限局性の病変を対象とし、がん組織を選択的に治療しながら、正常な組織や機能をできるだけ温存することを目指します。

フォーカルセラピーには高密度焦点超音波療法(HIFU)や凍結療法、レーザー療法、ナノナイフ治療、小線源療法の一部応用などが含まれます。いずれも癌が前立腺内にとどまっているケースが対象であり、リスク分類における「限局・低〜中リスク」の患者に対して検討されます。

ただし、フォーカルセラピーは治療法ごとの評価方法や長期予後に関する明確なエビデンスがまだ十分に確立されておらず、標準治療とは位置付けられていません。そのため、実際に治療を選択する場合は主治医と十分に相談し、リスクとベネフィットを理解したうえで方針を決定することが重要です。

フォーカルセラピーにはさまざまな治療が含まれるため、治療後の評価が難しく、十分な根拠がないのが現状です。担当医とよく相談して治療方法を決めていくことが重要となります。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療

外科治療(手術)

前立腺癌の根治治療として外科治療(手術)を選択する場合、基本的には前立腺と精のうを摘出して、その後に尿道と膀胱を接続する前立腺全摘除術が行われます

手術が適応となる目安として、癌が前立腺内にとどまっており、PSA値やグリーソンスコアのリスク分類が低~中等度で、全身状態が良好であること、また余命が10年以上と見込まれることが挙げられます。症例によっては、局所進行癌でも手術が選択されることもあります。

手術法はさらに開腹手術・腹腔鏡手術・ロボット支援手術に分類されます。いずれの術式も、合併症(尿失禁、性機能障害など)の発生に留意し、術前の十分な説明と患者の意思確認が重要です。

開腹手術(恥骨後式前立腺全摘除術)

文字通り、下腹部を切開して行う手術法です。全身麻酔と硬膜外麻酔を活用して行う手術であり、患者への負担が大きいことが挙げられます。

そのため、開腹手術を実施できるかどうかは癌の状態だけでなく、患者の体調や体質なども考慮して検討しなければなりません。

腹腔鏡手術(腹腔鏡下前立腺全摘除術)

患者の体に数カ所の小さな穴を開け、専用カメラと手術器具を挿入して、腹腔内で操作を行う手術法です。内視鏡モニターを見ながら精密な操作が可能で、開腹手術よりも傷口が小さく、出血量が少ないため、術後の痛みや回復までの時間を抑えられるとされています。

ただし、腹腔内に炭酸ガスを注入して手術空間を確保するため、心肺機能に不安がある場合は慎重な判断が求められます。また、経験のある医師による施術が重要であり、医療施設ごとに術後の合併症発生率には差があります。

腹腔鏡手術は、小さな穴を数カ所開けて、炭酸ガスで腹部をふくらませて、専用のカメラや器具で手術を行う方法です。開腹手術に比べて出血量が少なく創が小さいため、体への負担が少なく、合併症からの回復が早いといわれています。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)

ロボット手術(ロボット支援前立腺全摘除術)

手術支援ロボットを使ってリモート環境で行う、遠隔操作式外科治療です。

手術用ロボットには高性能カメラや手術用器具が搭載されており、医師がリアルタイム映像によって患部を確認しながら機械を操作して手術を行います。ロボットは医師の操作を正確に伝えられる上、微細な手の震えなどが制御されるため、精密手術をより精密に行えることが特徴です。

ロボット手術は腹腔鏡と同様に患者へのダメージを軽減できる上、開腹手術による治療と同等の効果を得られるとされており、開腹手術と腹腔鏡手術のメリットを兼ね備えている治療法といえるでしょう。

反面、ロボット手術に対応した設備がなければ治療を行えず、実施可能な医療機関が限定されているというデメリットもあります。

ロボット手術は、開腹手術と同等の制がん効果(がん細胞の増殖抑制効果)があり、開腹手術に比べ創が小さく、腹腔鏡手術と比較しても合併症からの回復が早いといわれています。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)

手術による合併症(術後合併症)

前立腺癌の手術では、主な合併症として尿失禁と性機能障害の2つが重要です。

尿失禁

手術によって排尿を司る筋肉組織が傷つけられるため、術後は尿道の機能が低下して尿漏れが起こりやすくなります。尿失禁を防ぐには手術による筋肉や神経へのダメージを抑えることが必要となりますが、完全に予防することは困難であり、あくまでも手術の治療効果を優先することがポイントです。

尿失禁は一般的に術後数ヶ月から半年程度で改善されますが、場合によっては完治が難しいこともあります。

手術の際に、尿の排出を調節する筋肉(尿道括約筋)が傷つくことで、尿道の締まりが悪くなり、咳をしたときなどに尿が漏れることがあります。これを防ぐために、できる限り手術中に神経や尿道括約筋の温存を行いますが、完全に防ぐことは難しいのが現状です。尿失禁は、多くの場合手術後数カ月続きますが、半年ほどで生活に支障ない程度に回復します。しかし、完全に治すことは難しい場合もあります。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)

性機能障害

前立腺癌の手術において、性機能障害はほぼ確実に発生する合併症です。勃起障害は妊孕性にも影響するため、医師と相談しながら改善策を検討していくことが重要です。

なお、性機能障害の完全回復は難しいとされていますが、服薬治療によって一定の改善を目指せることもあります。

手術直後は、ほぼ確実に勃起障害が起こります。勃起障害の回復は、神経温存の程度、年齢、術前の勃起能などで異なりますが、完全に戻ることは難しいのが一般的です。ただし、神経を温存した手術後の勃起障害には飲み薬での治療も有効といわれています。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)

放射線治療

高エネルギーのX線や電子線を癌へ照射して、癌細胞を退縮させる治療法です。

前立腺癌に対する放射線治療では、大きく外照射療法と組織内照射療法の2種類があり、それぞれに治療期間や副作用などの詳細が変化します。

どのような放射線治療が前立腺癌に最適かは研究段階(2022年2月現在)であり、治療効果や副作用などのバランスを考えながら主治医と相談して検討することが肝要です。

放射線治療は、高エネルギーのX線や電子線を照射してがん細胞を傷害し、がんを小さくする療法です。外照射療法と、組織内照射療法があります。いろいろな方法があり、治療期間や副作用のあらわれかたなどに特徴があります。しかし、それぞれの方法を直接比較したデータがないため、どの方法が一番よいかはっきりとしたことはいえない現状です。海外の研究では、組織内照射療法と外照射療法の組み合わせが、外照射療法を単独で行うよりも有効性が上回っていたという臨床試験の結果が発表されています。ただし、有効性は上回っていても副作用が多かったという報告もされています。担当医とよく相談して治療方法を決めていきましょう。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)

外照射療法

専用の機械を使って体の外側から前立腺に放射線や粒子線を照射します。照射範囲のターゲティング方法や照射方法によって複数のプランがあり、治療期間や治療回数もプランによって異なります。そのため、施設の機器や環境によって選択できる方法が変わることもポイントです。

副作用としては治療後3ヶ月以内に生じる急性期の症状と、それ以降に生じる晩期の症状があり、頻尿や排尿障害、血尿など様々なものが考えられます。

外照射療法は、体の外から前立腺に放射線を照射する方法です。治療範囲をコンピューターで前立腺の形に合わせることで、周囲の臓器(直腸や膀胱)にあたる量を減らす三次元原体照射や、その進化形である強度変調放射線治療(IMRT)が用いられることもあります。一般的に、1日1回、週5回で7~8週間前後を要します。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)

このほかに、粒子線を用いた粒子線治療(陽子線、重粒子線)があります。X線を用いた治療では、体の表面近くで線量が最大になりますが、粒子線治療では、からだの深いところ(がんのあるところ)で線量が最大になるように調節できます。ただし、施行可能な施設には限りがあります。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)

組織内照射療法(密封小線源療法)

放射線を放出する物質を小さな容器へ密封し、前立腺の中に入れて体内から癌細胞へ放射線を照射する治療です。癌の近くから放射線を当てられるため照射量を高めやすい反面、治療できる人の条件が限られていることも特徴です。

具体的な治療法には様々なものがあり、治療可能な内容やプランについて主治医としっかり相談してください。

組織内照射療法は、小さな粒状の容器に放射線を出す物質を密封したもの(放射線源)を前立腺の中に入れて体内から照射する方法です。がん組織のすぐ近くに放射線源があるため位置がずれにくく、非常に高い線量を照射することができます。

ただし、前立腺肥大症で前立腺を削り取る手術を受けた方はこの治療を行うことはできません。また、前立腺が大きすぎる場合は、その一部が恥骨の後ろに隠れてしまうため、線源を埋め込むことができない場合があります。この場合は、治療前に内分泌療法を行い、前立腺を小さくすることがあります。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)

なお、組織内照射療法の副作用には精液量の減少といったものも挙げられるため、妊孕性についても考慮しておきましょう。

外照射療法では排便に関する副作用が多いのに対して、組織内照射療法の副作用は排尿に関するものが多い特徴があります。治療後3カ月くらいの間は徐々に排尿困難感や頻尿が進みます。それから1年程度をかけて、徐々に排尿の副作用は低減していきます。尿失禁が起こることはまれです。また、年齢にもよりますが、外照射療法に比べて性機能が維持される割合が高いことが特徴です。ただし、精液の量は減少します。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)

薬物療法

前立腺癌の薬物療法には、男性ホルモン(アンドロゲン)の分泌や作用にアプローチする「内分泌療法」と、癌細胞へ働く医薬品を使用する「化学療法」の大きく2パターンがあります。

内分泌療法

アンドロゲンの分泌や作用を阻害する薬剤を用いた治療であり、手術や放射線治療を行えない患者や、癌が転移している場合などに選択されます。前立腺癌の治療として効果が認められている反面、内分泌療法だけで根治を目指すことは難しく、長期の治療では効果が弱っていくことも見逃せません。

なお、内分泌療法の効果が薄れて症状が再燃した場合、女性ホルモン剤や副腎皮質ホルモン剤が使用されることもあります。

ただし、副作用として性機能障害や勃起障害、乳房の女性化といった症状が起こりやすくなります。

内分泌療法の副作用には、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、急な発汗)、性機能障害、乳房の症状、骨に対する影響、疲労などがあります。性機能障害では、勃起障害や性欲の低下が起こります。治療によってアンドロゲンが低下し、相対的に女性ホルモン(もともと男性にも存在します)が多い状態になるので、乳房が大きくなったり(女性化乳房)、乳頭に痛みを感じたりすることもあります。骨に対する影響として、骨密度が低下し、骨折のリスクが増加します。症状は一過性で、徐々に慣れてくることが多いのですが、副作用が強すぎるときには、薬の種類を変更したり、治療を中止したりすることがあります。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)

去勢抵抗性前立腺癌

去勢抵抗性前立腺癌は、内分泌療法の効果が弱まって再燃した前立腺癌です。

再燃し、内分泌療法の効果が弱くなったと診断されたがんを去勢抵抗性前立腺がんといいます。去勢抵抗性前立腺がんの薬物治療として、アンドロゲン受容体を阻害するエンザルタミド(イクスタンジ)や、アンドロゲン合成を阻害するアビラテロン酢酸エステル(ザイティガ)などを用いることがあります。また、化学療法や副腎皮質ホルモン剤での治療を組み合わせることもあります。

引用元:がん情報サービス|前立腺がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/treatment.html)

化学療法

内分泌療法を行えない患者で、さらに癌転移が認められる場合、点滴や注射、内服などによる薬物療法が行われます。

前立腺癌の化学療法としては複数の医薬品が治療効果を認められており、症状や治療段階に合わせて検討することが大切です。

前立腺癌の検査

PSA検査

癌や細胞の炎症によって前立腺組織が損壊すれば、血液中に「PSA」という物質が流出します。そのため、患者の血液を採取してPSA値の増加具合を調査することで、前立腺癌の可能性を調べることが可能です。

ただし、一般的に基準値とされているPSA値は年齢によって下げられることもあり、血液検査の結果でPSA値が基準値を上回っていたとしても、常に前立腺癌が発見されるわけではありません。また、PSA値が基準値の範囲内であっても、前立腺癌が発見されることもあり、あくまでも最初の検査法として考えるべき手段です。

なお、極端にPSA値が高い場合、前立腺癌の疑いが濃厚になるだけでなく、他臓器への転移も疑われるため注意が必要です。

PSAの基準値は一般的には0~4ng/mLとされています。ただし、年齢によって基準値を下げる場合もあります。PSA値が4~10ng/mLをいわゆる「グレーゾーン」といい、25~40%の割合でがんが発見されます。PSA値が10ng/mL以上の場合でも前立腺がんが発見されないこともあります。また、4ng/mL以下でも前立腺がんが発見されることもあります。100ng/mLを超える場合には前立腺がんが強く疑われ、転移も疑われます。

引用元:国立がん研究センター 前立腺がん 検査(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/diagnosis.html)

直腸診・経直腸エコー(経直腸的前立腺超音波検査)

直腸診とは、医師が患者の肛門から指を挿入して、直に前立腺の状態を触診する検査法です。組織の表面がでこぼこしていたり、左右で大きさが違っていたりする場合、前立腺癌が疑われてより正確な検査へと進みます。

経直腸エコーでは、指の代わりに肛門へ超音波を発生させる装置(プローブ)を挿入して、体内の様子を画像化する検査です。

前立腺生検

PSA検査や直腸診、経直腸エコーなどで異常が認められたり、患者本人に何らかの自覚症状があったりした場合、改めて確定診断として前立腺生検が行われます。

前立腺生検では、超音波を使った画像診断で前立腺の状態を確認しつつ、医療用のニードルを使って前立腺の組織を採取します。そして、採取した細胞を改めて確認することで、細胞組織が正常か癌細胞であるか確定する検査法です。

なお、前立腺生検によって癌が発見されなかった場合であっても、PSA検査によってPSA値の異常が認められていれば、PSA値が正常化するまで前立腺生検が繰り返されるかもしれません。

前立腺生検では合併症があり、検査後の様子について主治医へ相談することが大切です。

前立腺生検の合併症には、出血、感染、排尿困難などがあります。頻度の高いものは血尿、血便、精液に血が混じる血精液です。重篤な感染症はまれですが、生検のあとに発熱などがある場合には担当医に報告することが必要です。

引用元:国立がん研究センター 前立腺がん 検査(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/diagnosis.html)

画像診断

癌の発生部位や転移リスクのある臓器によって、CT検査やMRI検査、骨シンチグラフィー検査などの画像診断が行われます。

CT検査

X線を照射して体内の状態を画像化する検査法です。リンパ節や肺への転移の有無を確認するために行われます。

MRI検査

人工的に強力な磁場を発生させて、磁気によって体内の状態を画像化する検査法です。MRI検査では、癌が実際にどの部分に発生しているのか具体的に確認したり、他臓器へ転移していないか確認したりすることができます。

骨シンチグラフィー検査

骨に集まる性質を持った放射性薬剤を注射して、骨への放射性物質の集まり方を特殊なカメラ(ガンマカメラ)で診断する方法です。前立腺癌の検査として骨シンチグラフィー検査が行われる場合、骨への癌転移について調べます。

なお、骨シンチグラフィー検査では骨転移の他にも骨折や骨組織の炎症の有無を調べることが可能です。

骨はその形を維持しながら、常に新しい骨組織に置き換わっています(破壊と再生を繰り返しています)。骨に病気が発生すると、この破壊と再生のバランスが崩れ、骨を作りすぎてしまったり(骨造成、骨硬化)、作らなかったり(骨吸収、溶骨)といった現象が起こります。骨シンチグラフィー検査はこの骨造成を反映する検査であり、がんが骨へ転移しているかどうかを検出するのに頻繁に利用されます。

引用元:国立国際医療研究センター病院|骨シンチグラフィー(http://www.hosp.ncgm.go.jp/s037/008/010/scinti_01.html)

前立腺癌を再発させないための予防法

前立腺癌は食事の影響を受けるといわれ、特に動物性脂肪の摂取に注意が必要です。具体的には乳製品や肉などがそれにあたります。塩分やアルコールの過剰摂取もリスクを高めるといわれているので、控えるようにしましょう。

また、適度な運動を継続する事は前立腺癌のリスクを減らす効果があるとされており、運動療法も予防に有効です。

癌が再発した場合は、癌治療専門病院へ行き、早めに適切な治療を行う事が重要です。

前立腺癌のステージ

ここではステージごとの前立腺癌の状態について解説しています。

ステージ分類

T1a期 直腸診や画像検査では見つからず、前立腺肥大等の手術で切除した組織内から偶然癌細胞が発見された場合を指す。切除組織内の癌細胞は全体の5%以下。
T1b期 T1aと同様にして偶然発見された癌。切除組織内のがん細胞が5%以上。
T1c期 PSA値(特異的タンパク質の値)の上昇が見られたために前立腺癌が疑われ、生検によって発見された癌。
T2a期 直腸診で異常が見られる状態。癌は左右の前立腺うち片方のみで、そのうちの2分の1にとどまっている。
T2b期 T2aと同じ状態だが、片方に見られる癌が2分の1を超えている。
T2c期 癌が前立腺の両方に広がっているとはいえ、前立腺内に留まっている状態。
T3a期 癌が前立腺の被膜の外にまで広がっている状態。
T3b期 癌が精嚢にまで広がっている状態。
T4期 膀胱や直腸、骨盤壁など前立腺の隣接組織にまで癌が広がっている状態。
N0期 リンパ節への移転が見られない状態。
N1期 癌がリンパ節に移転している状態。
M0期 前立腺から離れた組織への移転は見られない状態。
M1期 癌が遠隔組織にまで移転している状態。

ステージの分類方法

前立腺癌の進み具合を表すステージは、国際対がん連合が作成した「TNM分類」という分類法により表されます。

T(Tumor:原発腫瘍)

癌の発生箇所である前立腺で癌がどれくらい広がっているか、その大きさや深さによって測定されます。

N(Nodes:所属リンパ節)

癌がリンパ節にまで達しているかどうかで測定されます。

M(Metastasis:遠隔転移)

癌細胞が前立腺から離れた他の臓器にまで転移しているかどうかで測定されます。

ステージごとの治療方針

T1期

がん病巣が非常に小さいため、現時点では何もしない「待機療法」を行う場合があります。待機療法は3~6ヶ月に一回PSA値を測定して経過を見る方法です。

ただし、その場合でも状況に応じて癌の進行を抑える薬物療法、放射線を照射することで癌細胞を死滅させる放射線療法、外科治療によって癌細胞を取り除く手術療法のいずれかが選択されることになります。

T2期

まだ癌が前立腺内に限局していて、転移が見られないため薬物療法・手術療法・放射線療法のいずれか、あるいはこれらの組み合わせで治療すれば、根治が可能と考えられます。

T3期

多くの場合、薬物療法か放射線療法、あるいは両者を組み合わせた治療を実行。手術療法がとられる場合もありますが、単独では治療効果が乏しいため、術後に放射線療法が行われることもあります。

T4期・N1期・M1期

他の組織にまで癌が広がっているため、手術による摘出は困難です。そのためこの場合は、薬物療法を中心に放射線療法を組み合わせて行います。他のステージにおける治療後の5年間再発率はほぼ0%であるのに対し、この段階に至った場合の再発率は30~40%と言われています。

前立腺の経過観察と過ごし方

前立腺癌の治療後に再発リスクを低下させようと思えば、適正に経過を観察して、もしも異常があれば即座に検査できるよう態勢を整えておきましょう。

ただし、癌の再発予防にはストレス管理も重要であり、過度なストレスを感じないように注意することも大切です。

監視療法中の観察

検査によって前立腺癌が発見されたものの即座に治療する必要はないと診断された場合、ひとまず経過観察を続けながら最適な治療を検討します(監視療法期間)

監視療法中は日常生活を送る上で制限がないものの、健全な健康習慣や感染予防を考えることが重要です。

基本的に日常生活上の制限はありません。一般的にがんの予防には、「禁煙」「節酒」「食生活」「身体活動」「適正体重の維持」の5つの健康習慣と「感染予防」を取り入れることが望ましいとされています。

引用元:国立がん研究センター 前立腺がん 療養(https://ganjoho.jp/public/cancer/prostate/follow_up.html)

手術後の経過観察

基本的に、食事や運動について制限ありません。ただし、手術の副作用として尿失禁や性機能障害があり、尿漏れに対して紙おむつや尿漏れパッドといったアイテムを使用することもあります。

放射線療法及び薬物療法後の経過観察

基本的に日常生活上の制限はありませんが、放射線や抗がん剤の影響により倦怠感や食欲不振といった症状が認められることもあります。また、放射線の照射量や抗がん剤の種類によって排泄時の出血や痛み、その他の副作用が生じることもあり、違和感があればすぐに医師へ相談しましょう。

性生活の注意点

前立腺癌の治療で性機能に影響が及ぶこともあります。治療期間中や治療後の妊娠を計画している場合、あらかじめ医師やパートナーと十分に相談することが必要です。