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アルコールと癌

掲載している治療法は保険適用外の自由診療も含まれます。自由診療は全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。

お酒が大好きな人にとっては、癌とアルコールの関係は気になるところ。癌の再発予防にアルコールは厳禁?飲む際に気を付けることは?といった疑問にお答えします。

癌とアルコールの関係

これまでアルコールが及ぼす癌リスクについては多くの研究がなされてきましたが、その詳しいメカニズムについてハッキリとしたことはまだ分かっていません。とは言え、統計的にアルコールが癌リスクを高めることは明らかになっており、日本でも海外でも飲酒と癌の発生率については明確な結果が得られています。

例えば国立研究開発法人国立がん研究センターの予防研究グループからの発表によると、アルコール摂取量が1日平均日本酒2合未満の男性グループに比べて、1日平均2合以上3合未満の男性グループの癌発生率は1.4倍、1日平均3合以上の男性グループの場合は1.6倍に上がるとのこと。この統計を基に、多量飲酒を避ければ何らかの癌にならずにすんだ割合を計算したところ、13%という結果がでています。

ではなぜ飲酒が癌の発生率を高めてしまうのかというと、ハッキリとしたことは解明されていませんが、おそらく体内でアルコールを分解する際に発生するアセトアルデヒドが細胞のDNAを傷つけ、さらにその傷の修復機能を弱めてしまうことが原因ではないかと言われています。

癌は体が細胞分裂する際に起こるコピーエラーが原因と言われていますから、DNAの損傷が癌の発生率を高めてしまうというのは容易に想像できるでしょう。

さらに癌細胞の中には自身を増殖させるエネルギー源としてある種のホルモンを利用するものがあります。アルコールはそのような体内の一部のホルモンを増加させる作用も持つため、これが乳がんなどのリスクを上げる結果になるとも考えられています。

アルコール摂取で気を付けたいことは?

健康リスクを考えればお酒は飲まないに越したことはないのですが、そうはいってもなかなかやめられないという人が多いのもまた事実。どうしてもお酒を楽しみたいという場合には、摂取量をコントロールすることが最大のポイントとなります。

国立研究開発法人国立がん研究センターの予防研究グループの統計結果からすると、1日平均日本酒にして2合未満なら発癌リスクは低いと考えられます。より正確に言えば、「発癌リスクを高めないアルコール摂取量」は、1日あたりの約23g。これは1日あたり日本酒で1合、ビールで大瓶1本程度、焼酎・泡盛で原液1合の2/3、ワインでボトル1/3程度、ということになります。

アルコール厳禁となるのは?

一方で、少量であっても飲酒がNGとなる場合もあります。例えば癌の再発や転移予防のために、あるいは再発治療中で抗がん剤治療を行っている場合です。

抗がん剤は患者それぞれの状態に合わせてオーダーメードで処方されているため、アルコール摂取によって薬の効果が強まったり弱まったりすると、元も子もなくなってしまいます。実際、抗がん剤治療を受けていない場合でも、早期の食道がん治療後に禁酒した人よりも禁酒しなかった人の方が再発率が高いというデータもあるようです。やはり癌の再発予防という観点から言えば、アルコールは控えたほうが良いでしょう。