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副腎癌

当ページでは、副腎癌(副腎皮質がん)の概要と再発について解説しています。
※副腎に発生する腫瘍には良性・悪性、皮質由来・髄質由来など様々ありますが、ここでは主に「副腎皮質がん(Adrenocortical Carcinoma: ACC)」について解説します。

副腎癌とは、生命維持のために必要な各種のホルモンを分泌している「副腎」に発生する癌。10歳未満の小児と思春期・若年成人、および40~50代の成人に見られる二峰性の発症ピークを持つ希少癌の一種です。

再発リスクの高い癌として知られているため、治療後は定期的な検査による早期発見と、全身の健康状態を維持するための生活習慣の見直しなどが非常に大切となります。

副腎癌とは

副腎癌とは、生命を維持するための重要なホルモン(コルチゾール、アルドステロン、性ホルモンなど)を分泌している「副腎」という臓器に発生する癌のこと。副腎とは腎臓の上に左右一対で存在する小さな臓器で、解剖学的には副腎皮質と副腎髄質に分かれますが、このうち副腎皮質から発生する悪性腫瘍を副腎癌(副腎皮質がん)と言います。

副腎癌の初期症状はほとんどありませんが、腫瘍が大きくなるにつれて腹部のしこり、腹痛や背部痛、腹部膨満感などの症状が現れることがあります。また、腫瘍がホルモンを過剰に産生する場合(機能性腫瘍)、以下のようなホルモン過剰症状が見られることがあります。

クッシング症候群症状(コルチゾール過剰)…中心性肥満、満月様顔貌、高血圧、高血糖(糖尿病)、筋力低下、骨粗鬆症、にきび、多毛、皮下出血など
男性化・女性化症状(性ホルモン過剰)…女性の男性化(声の低音化、多毛、無月経など)、男性の女性化(女性化乳房など)、小児の思春期早発症など
高アルドステロン症症状(アルドステロン過剰)…高血圧、低カリウム血症など

腫瘍がホルモンを産生しない場合(非機能性腫瘍)は、腫瘍が大きくなるまで症状が出にくいため、発見が遅れることもあります。

副腎癌の発症原因については、一部の症例で遺伝性疾患(Li-Fraumeni(リ・フラウメニ)症候群、Beckwith-Wiedemann(ベックウィズ・ヴィーデマン)症候群、多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)など)が関与していることが判明しているものの、ほとんどの症例では原因が解明されていないのが実情です。

なお、副腎癌の進行度を示す病期(ステージ)分類には、現在、ENSAT(European Network for the Study of Adrenal Tumors)ステージングシステムが広く用いられています。

副腎癌の再発リスク

副腎癌は再発リスクの高い癌とされ、腫瘍を完全に取りきれた(完全切除)と考えられる場合でも、5年以内に半数以上が再発するとも言われています。再発率はステージや腫瘍の悪性度によって異なります。

再発する明確な理由は明らかではありませんが、主な要因として、手術時に肉眼では確認できない微小な残存癌細胞**の増殖が挙げられます。また、初回手術が不完全であった場合や、腫瘍自体の悪性度が高い場合も再発リスクが高まります。

他の癌と同様に免疫力の低下や不適切な生活習慣などが直接的な再発原因となるかは不明ですが、全身の健康状態を良好に保つことは、治療への耐容能を高め、QOLを維持する上で重要です。

手術後の残存癌細胞については患者自身が対処できる問題ではありません。再発リスクを低減するために最も重要なのは、初回治療を適切に行うことと、治療後の定期的な経過観察(サーベイランス)を確実に受けることです。

健康的な日常生活を送ることは、副腎癌の再発を直接予防するというよりは、全身状態を良好に保つ上で大切な要素となるでしょう。

再発の兆候と症状

副腎癌が再発した場合でも、再発初期の段階で特徴的な症状を自覚することはほとんどありません。そのため、手術後は、必要に応じて再発を予防するための補助治療を受けるとともに、再発を早期発見できるよう定期的な検査を受けることが極めて大切です。

また、定期的な検査と並行し、自身でも次のような症状の変化に注意して過ごしましょう。特に、以前にホルモン過剰症状があった場合は、その再燃に注意が必要です。

以上の点に加え、何らかの違和感や気になる点を自覚した場合には、放置せず速やかに医師へ相談しましょう。

再発予防のための生活習慣

副腎癌の再発を直接的に予防する効果が証明されている特定の生活習慣はありません。しかし、全身の健康を維持し、治療に耐えられる体力を保つことは重要です。生活習慣に関する主なポイントを見てみましょう。

禁煙・禁酒(または節酒)

喫煙や過度の飲酒は、様々な健康問題のリスクを高めます。禁煙と過度な飲酒を避けることを心がけましょう。

自分の意志による禁煙・禁酒が難しい方は、医療機関や専門機関に相談することをおすすめします。

食生活の見直し

極端な肥満や痩せ過ぎは健康に悪影響を及ぼす可能性があります。食べ過ぎや無理なダイエットは避け、バランスの取れた食事を心がけ、適正な体重の維持を目指しましょう。

野菜を積極的に摂ること、塩分を控えることなども一般的な健康維持に良いとされています。

適度な運動

適度な身体活動は心血管系の健康維持など、様々なメリットがあります。全身の健康のために、無理のない範囲で適度な運動を継続することが大切です。

これらの生活習慣とは別に、副腎癌は再発しやすい癌であることから、再発の早期発見・早期治療のため、定期的に医療機関で検査(CT、MRI、PETなどの画像検査やホルモン検査)を受けることが非常に重要です。主治医の指示に従い、必ず定期検査を受けるようにしましょう。

再発が疑われた場合の対応

副腎癌の再発診断は主にCTやMRI、PETなどの画像検査、およびホルモン検査で行われます。検査の結果、再発が認められた場合には、まず再手術(外科的切除)が可能かどうかを慎重に検討します。完全切除が可能であれば、再手術が最も有効な治療法となります。
切除不能な場合や、手術後の補助療法、あるいは進行例に対しては、薬物療法が検討されます。

ミトタン…副腎皮質ホルモンの産生を抑制し、がん細胞に直接作用する薬剤で、副腎皮質がん治療の中心的な薬剤です。術後補助療法や切除不能・再発例に用いられますが、効果や副作用には個人差があります。
細胞障害性抗がん剤…ミトタンの効果が不十分な場合や、急速に進行する場合などに、エトポシド、ドキソルビシン、シスプラチンなどを組み合わせた化学療法(EDPレジメンなど)が行われることがあります。
分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬…これらの薬剤の副腎皮質がんに対する有効性はまだ確立されておらず、主に臨床試験として行われています。

なお、副腎癌は放射線への感受性が低いとされるため、通常、根治目的での放射線治療は選択されませんが、骨転移などによる痛みを和らげる目的(緩和照射)で行われることがあります。

再発後の生活と支援

副腎癌の辛い治療を経て一時は改善の兆しが見えたにも関わらず、再発の知らせを聞いた患者さんは、精神的に大変重い状況となります。改めて治療に取り組むとともに、少しでも患者さんの不安やストレスを軽減させられるよう、かつ生活の質(QOL)を高められるよう、様々なサポートを検討してみることも大切です。
ホルモン異常による身体的な変化(外見の変化、倦怠感など)や精神的な影響、治療の副作用(ミトタンによる消化器症状や神経症状など)に対するケアも重要です。

サポートの具体例としては、専門家(臨床心理士など)によるカウンセリング、がん相談支援センター、患者会やピアサポートグループへの参加、各種のサークル活動など。また、患者の体調が許すならば、気分転換として家族や友人などと旅行へ出かけることも有効でしょう。

患者さんの性格等にも鑑み、再発時における適切な心のケアと情報提供を行うことが大切です。

まとめ

副腎癌(副腎皮質がん)は発症率が極めて低い希少癌に分類されています。根治を目指すには、初回治療での完全切除が最も重要です。しかし、副腎癌は、手術を経ても再発率が高いタイプの癌でもあることから、一度発症した方は、治療後の定期的な検査による経過観察(サーベイランス)が非常に大切です。

再発予防に直接つながる生活習慣は証明されていませんが、全身の健康維持のため、禁煙・節酒、バランスの取れた食事と適正体重の維持、適度な運動などを心がけることは有益です。
再発を早期に発見し、迅速に対応できるよう、医師の指示に従い、必ず定期検査を受けましょう。

また、たとえ副腎癌の再発が判明しても、自暴自棄にならず、副腎癌の治療経験が豊富な専門医とよく相談し、納得のいく治療法を選択し、治療に励む姿勢が大切です。あわせて、少しでも安定した気持ちを持ち続けられるよう、かつ少しでも生活の質を高められるよう、家族や友人、専門家、患者会、支援グループなど、多くの人たちと関わりを持ち続けるようにしましょう。

関連リンク・参考文献

参照元:副腎皮質がん(ふくじんひしつがん)|国立がん研究センター
参照元:副腎腫瘍|東京女子医科大学病院
参照元:副腎がん|社会福祉法人 恩賜財団 済生会
参照元:副腎|名古屋大学医学部付属病院
参照元:副腎癌|がん有明病院
参照元:特集2 副腎皮質癌|日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
参照元:科学的根拠に基づくがん予防|国立がん研究センター
参照元:副腎がん|鹿児島大学病院