癌の再発と上手に付き合うためのサイト » 部位別に見る再発癌 » 大腸癌・結腸癌・直腸癌

公開日: |更新日:

大腸癌・結腸癌・直腸癌

掲載している治療法は保険適用外の自由診療も含まれます。自由診療は全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。

大腸癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)と10年生存率(2005-2008年診断症例)

5年生存率

10年生存率

大腸癌が転移しやすい箇所

大腸癌・結腸癌・直腸癌

大腸癌は肝臓に転移しやすいと考えられており、実際に大腸癌の手術を受けた人の約7%が肝臓への転移をきたしています。次いで肺への転移も多く、同じく手術を受けた人の約5%に転移がみられます。

このほか、種を蒔いたように癌細胞がお腹の中に散らばる腹膜播種や、頻度は低いとはいえ脳転移や骨転移がみられる場合もあります。

大腸がんは、肝臓や肺に転移しやすいことが知られています。報告によれば、大腸がんが発見された時点ですでに、肝臓には10.9%、肺には2.4%の割合で転移が起きているといいます。また、手術後の再発として転移が見つかることもあります。この場合、最も多いのが肝臓への転移で7.1%、次は肺への転移で4.8%です。

引用元:がんプラス|大腸がんの遠隔転移 肝臓、肺、脳の転移巣に対する第一選択は手術、局所療法を検討(https://cancer.qlife.jp/colon/colon_feature/article2366.html)

転移しやすい部位は、肝臓や肺、腹膜、脳、骨などです。転移した部位によって治療法が異なります。

(1)肝転移・肺転移の治療

手術、薬物療法、放射線治療があります。転移した部位が切除可能なときは手術が行われます。また、手術で切除できない場合でも薬物療法の効果があったときには、手術で切除可能となる場合もあります。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス 大腸がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/treatment.html)

大腸以外の臓器で転移が見つかった場合、1カ所の転移が見つかればすでに全身に転移してしまっている可能性もあります。それに比べて、大腸癌の場合は全身への広がりは遅いと考えられ、早期発見・早期治療ができれば長期生存の可能性も高いとされます。

その反面、大腸癌は手術後しばらく経過してた後に、転移が見つかることも少なくありません。長期にわたって転移の不安と向き合わなければならないのです。

とはいえ、肝臓への転移は技術の進歩によって早い段階で見つけることが可能となりつつあります。生存率も上昇しているので、転移を見逃すことのないよう定期的な検査を欠かさないことを心がけましょう。

大腸癌はどのような癌か

大腸癌は大腸の結腸、直腸、S状結腸、盲腸に発生する癌です。大腸癌の発生には粘膜に発生したポリープ(腺腫)が癌化するものと、粘膜にある細胞が癌細胞化するものと2つのパターンがあり、その多くは前者のポリープから起こるものと考えられています。

日本人にはS状結腸と直腸に癌が多いといわれています。粘膜の表面に発生した癌細胞は徐々に大腸の壁に侵入して広がっていき、やがてリンパ節や肝臓、肺などの他の臓器に転移します。

侵入層の深さによってステージが分類され、ステージ0が粘膜にとどまっている状態、ステージⅠは大腸の壁(固有筋層)にとどまっている状態、ステージⅡは大腸の壁(固有筋層)外まで浸潤している状態、ステージⅢはリンパ節転移がある状態、ステージⅣは遠隔転移、腹膜播種かある状態です。

大腸癌の主な症状

初期の大腸癌はほとんど症状がありません。進行するにつれて、次のような症状が現れます。

大腸癌が再発しやすい理由

大腸癌が初回の治療で完全に取り除かれた場合は、再発は起こりません。しかし完全に取り除くのは困難であり、目に見えないわずかな癌細胞が残っていた場合は増殖し再発を起こします。

再発は局所で起こることもありますが、他の臓器へ転移する可能性が非常に高いです。大腸癌が肝臓への転移が最も多い理由として、大腸から出た血液は肝臓に運ばれるため、癌細胞が血液に乗って運ばれてしまうためです。

肺への転移も見られますが、大腸から直接というわけではなく肝臓へ転移し、そこから血液によって癌細胞が運ばれ肺へ転移します。

大腸癌に用いられる治療法

再発した大腸癌の治療では外科手術、抗がん剤、放射線治療が行われます。再発の大腸癌の場合は根治を目指すよりも、癌の進行を抑えて症状を和らげる、予後の生活の質向上を目的に行われます。

再発した臓器が1つの場合は、切除可能であれば外科手術が行われますが、多くの場合は抗がん剤か放射線治療にて癌の進行を抑える方法をとります。また、これらの治療に免疫療法を組み合わせる場合もあります。

大腸癌を再発させないための予防法

大腸癌は生活習慣と関わりが深いといわれ、特に食事療法が予防に有効といわれます。

赤肉や加工肉やアルコールの過剰摂取は、大腸癌のリスクを高めるといわれているため注意が必要です。また食物繊維を含む食品を摂取する事、適度な運動を行うことは大腸癌のリスクを下げるといわれています。

そのほか、手術後の術後補助療法は再発のリスクを大幅に減らす事が出来る治療方法です。癌が再発した場合は、癌治療専門病院へ行き、早めに適切な治療を行う事が重要です。

抗がん剤

外科手術による治療が難しいと判断された場合や、外科的治療と併用する形で、大腸癌の患者に対して抗がん剤を使った化学療法が行われます。

大腸癌に対する化学療法や抗がん剤治療では、単独の抗がん剤を使われるだけでなく、複数の抗がん剤を組み合わせて治療が進められることも多くなっています。そのため、まずは大腸癌の特徴や患者の体質、状態などを正確に見極めて、最適な抗がん剤を選択することが欠かせません。

大腸癌治療で使用される抗がん剤としては、まず「フルオロウラシル(5-FU)」という薬が基本となります。5-FUは点滴によって投与される場合と内服薬として処方される場合があり、さらにその他の抗がん剤と5-FUを組み合わせた複合治療が進められることもあります。組み合わせられる医薬品としては、「レボホリナート(l-ロイコボリン、アイソボリン)」や「オキサリプラチン」、「イリノテカン」など色々なものがあり、どのような治療法を選択するかは主治医と相談した上で選択することが重要です。

また、抗がん剤治療では、癌を小さくして手術をサポートしたり、癌の症状や進行を抑えて状態を緩和したりするだけでなく、手術による治療後に再発を防止する目的で行われる抗がん剤治療もあります。再発予防を目的とした抗がん剤治療は「補助化学療法」と呼ばれ、「カペシタビン(ゼローダ)」や「テガフール・ウラシル配合剤(UFT)」といった薬が使用されることが一般的です。

放射線治療

大腸癌の治療法として放射線治療を考えた場合、癌による諸症状を抑えて患者の状態を緩和させる目的の「緩和的放射線治療」と、直腸癌の骨盤内の再発を抑えたり人工肛門を回避したりするための「補助放射線治療」の、大きく2種類が存在します。

補助放射線治療の場合、対象となる大腸癌は手術によって切除できる直腸癌が主な対象となり、放射線治療を行うタイミングは主に手術前となる術前照射が特徴です。なお、術前照射は抗がん剤などと併用して行われることもあります。

緩和的放射線治療の場合、骨盤内に生じた直腸癌などの腫瘍によって引き起こされる、痛みや出血、排便困難、その他にも様々な諸症状を改善する目的で行われます。

緩和的放射線治療では、放射線治療によって各種症状が改善したり緩和したりすることが期待できる一方、放射線による副作用について考えることも必要です。放射線治療の副作用としては、放射線照射期間中に引き起こされる「早期合併症」と、放射線照射後に生じる「晩期合併症」の2種類があり、さらに放射線が照射された部位によっても副作用の内容が変わります。

早期合併症では、倦怠感や吐き気、食欲不振、皮膚炎といった症状に加えて、照射部位によって頭痛や脱毛、下痢、腹痛などが挙げられるでしょう。晩期合併症では、腸管や膀胱の炎症や出血、頻尿・排便回数の増大などがあります。

緩和的放射線治療では、患者の症状が癌によるものか、放射線の副作用によるものか、正しく見極めながら適切に治療を進めていくことが重要です。

免疫療法

抗がん剤治療や放射線治療は癌治療の治療法として有力ですが、早期の抗がん剤使用や放射線照射は大きな副作用を引き起こすリスクもあり、世界中の研究機関でより低リスクで効果の高い治療法の研究が進められてきました。

免疫療法は、患者本人の免疫機能を活用して癌細胞へアプローチする治療法であり、副作用が少なく、抗がん剤治療などとも併用可能な方法として期待されています。

癌は、異常な細胞(癌細胞)が増えていくことで発症へつながりますが、本来であれば異常細胞は発生した時点で体内の免疫細胞によって駆除されるため、実際の発症にまでは至りません。しかし、免疫機能が低下していたり、癌細胞によって免疫機能が阻害されてしまったりすると、免疫細胞による癌への攻撃が行われなくなり、癌リスクが上昇します。

免疫療法には、癌細胞が免疫細胞の攻撃から逃れる仕組みを阻害して、免疫細胞によって癌細胞を適正に駆除できるよう免疫チェックポイント阻害薬を使う方法や、患者から採取した免疫細胞を増殖・活性化させた上で体内に戻し、癌を攻撃させる方法など、複数のタイプが考えられます。

大腸癌に使用される免疫チェックポイント阻害薬としては、「キイトルーダ(ペムブロリズマブ)」という承認薬の他にも、世界中で様々な医薬品が研究されており、自由診療も含めれば選択肢が多いことが特徴です。ただし、免疫療法は現在進行形で発展中の治療法であり、「効果が証明されている免疫療法」を受けられる医療機関が限定されていることもポイントです。

大腸がんのステージ

大腸癌の治療方法は、進行の程度や全身状態などをもとに決定されます。

大腸癌の進行の程度は病期(ステージ)で分類され、一般的にはローマ数字を用いて表記します。大腸がんの場合は早期である0期から進行癌のⅣ期まで、5段階に分類されています。

病期を分類する3つの因子

大腸癌の病期の分類には3つの因子が用いられ、そのひとつが癌の深達度を示すT因子です。

がんが壁のどの深さまで広がっているかを示す言葉が深達度です。アルファベットの略語で「T」と表示されます。深達度はTis〜T4bに分類され、数字が大きくなるほど、大腸がんが深く広がっています。

がんの深さが粘膜および粘膜下層にとどまるものを「早期がん」、粘膜下層より深いものを「進行がん」といいます。

T因子=癌の深さの程度

大腸の壁は、内側から順番に粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜と5つの層に分かれています。大腸癌は粘膜に発生し、大きくなるにつれて大腸の壁を徐々に深く進んでいきます。この深達の程度を示すのがT因子です。

N因子=リンパ節への転移の有無

大腸癌が周辺のリンパ管に到達すると、そこを通じて所属リンパ節に広がります。そうしたリンパ節転移の有無や数を示すのがN因子です。

M因子=遠隔転移の有無

癌細胞が血液やリンパ液の流れに乗って離れた臓器に達することを遠隔転移といいます。その有無を示すのがM因子です。

ステージ分類

ここではステージごとの大腸がんの状態について解説します。

0期 癌が粘膜にとどまっている状態です。非浸潤癌とも呼ばれます。
Ⅰ期 癌が粘膜を越えているが、固有筋層にとどまっている状態です。
Ⅱa期 癌が固有筋層を越えて浸潤している状態です。
Ⅱb期 癌が漿膜の表面まで達しているか、漿膜の表面を越えて腹腔にまで露出している状態です。
Ⅱc期 癌が周辺の臓器や組織に浸潤している状態です。
Ⅲa期 以下のいずれかの状態です。
  • 癌が粘膜または固有筋層にとどまっているが、1~3個のリンパ節転移がみられる状態
  • 癌が粘膜にとどまっているが、4~6個のリンパ節転移がみられる状態
Ⅲb期 以下のいずれかの状態です。
  • 癌が固有筋層を越えて浸潤し、6個以内のリンパ節転移がみられる状態
  • 癌が粘膜または固有筋層にとどまっているが、7個以上のリンパ節転移や主リンパ節への転移がみられる状態
Ⅲc期 以下のいずれかの状態です。
  • 癌が周辺の臓器や組織に浸潤し、6個以内のリンパ節転移がみられる状態
  • 癌が漿膜の表面に達し、7個以上のリンパ節転移や主リンパ節への転移がみられる状態
Ⅳ期 癌が肝臓や肺など、離れた臓器にまで転移している状態です。

ステージごとの治療方針

ステージ0~Ⅰ期

ステージ0期の非浸潤癌や、浸潤の程度が軽い癌は、内視鏡治療で切除可能かどうか検討します。

特に0期は内視鏡治療だけで癌を取り除ける可能性が高いとされます。肛門から内視鏡を挿入してワイヤーを用いて癌を切除する治療法(ポリペクトミー)や、癌の底に生理食塩水などを注入して浮かび上がらせてから焼き切る治療法(EMR)のほか、電気メスで癌を剥ぎ取る治療法(ESD)などが代表的な内視鏡治療です。

ステージ0~Ⅲ期

内視鏡治療が困難だと判断された場合や、ステージⅡ期、Ⅲ期の場合は手術療法による切除が検討されます。可能であれば腹腔鏡下手術を選択しますが、身体的な負担が少なく、傷が小さいので回復が早いことがメリットとして注目されています。

リンパ節への転移がみられる場合は、手術でその部分も切除します(リンパ節郭清)。手術後は再発防止のために化学療法を行なうのが一般的です。ただ、ステージが進むにつれて術後補助療法としての化学療法の効果は低くなっていくと考えられるため、可能な限り早期に手術を受けることが重要だといえるでしょう。

特にステージⅢ期以降は、標準治療だけでは十分な効果が得られない場合も出てきます。中には免疫療法を組み合わせて行ない、相乗効果を期待する例もあります。ただ、基本的には手術や化学療法、放射線療法を組み合わせた治療が国内における標準治療とされています。

ステージⅣ期

大腸癌はステージⅣ期であっても、原発巣と遠隔転移巣それぞれの切除が可能と判断されれば手術を行ない、その後は化学療法を受けながら経過を観察します。手術が困難であれば、化学療法や放射線療法を行ないます。

遠隔転移巣の切除が無理でも原発巣の切除は可能ということもあります。その場合、原発巣の症状が強い場合は手術を行ない、遠隔転移巣に対しては手術以外の対応を検討することになります。