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原発巣の部位別に考える再発癌の治療

掲載している治療法はすべて保険適用外の自由診療のため、全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。

再発した癌の治療法をお探しの方へ、各癌の一般的な再発率・再発しやすい箇所と、用いられる治療方法を紹介します。

大腸癌

大腸癌とはS字結腸や直腸、盲腸といった部位に発生する癌を指します。また、大腸癌の発生には大きく2つのパターンがあり、腸粘膜に発生したポリープが癌化する場合と、粘膜細胞がそのまま癌細胞化する場合があります。初期の大腸癌は自覚症状がほとんどなく、発見も難しいものの、治療の初期段階で癌細胞が完璧に除去された場合は再発の心配もありません。ただし、癌細胞の取りこぼしを考慮して、食事療法などの再発予防も大切です。

事実、生活習慣との関連性が深いといわれている大腸癌においては、アルコールや赤み加工肉の過剰摂取が再発リスクを上げると考えられており、心当たりのある人は食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取するなど、食生活を抜本的に見直さなければなりません。加えて、適度な運動も再発リスクを軽減させるポイントとして重要です。

大腸癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ98.8%、ステージⅡ90.9%、ステージⅢ85.8%、ステージⅣ23.3%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

大腸癌が転移しやすい箇所

肝臓、肺、腹膜播種、脳、骨

胃癌

胃癌は胃の粘膜に発生する癌です。また、胃壁の中だけで癌が密かに広がる「スキルス胃癌」という癌もあり、特にスキルス胃癌ではようやく発見された時点で60%の患者に転移があるとされています。胃癌の治療法としては、転移前であれば外科手術が採用されますが、すでに転移している場合は薬物療法や免疫療法などが選択されます。また、慢性胃炎や食習慣の乱れが再発リスクとして上げられ、再発予防には生活習慣の改善が必要です。

胃癌の再発では、特に胃に残存していた癌細胞が腹膜へ転移する腹膜播種が多いとされています。また、その他にも胃癌細胞が血流にのって肝臓やリンパ節といった臓器へ転移することで、癌が再発するケースもあります。胃の中にとどまっている再発癌であれば外科手術が適用となりますが、他臓器へ転移している場合、外科手術は選択されません。

胃癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ98.7%、ステージⅡ66.5%、ステージⅢ46.9%、ステージⅣ6.2%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

胃癌が転移しやすい箇所

リンパ節、腹膜播種、肝臓

肺癌

肺胞や気管、気管支などの細胞が癌化したものが肺癌です。肺癌には複数の種類があり、組織の形状によって小細胞肺癌や非小細胞肺癌などに分類されます。早期の肺癌は単なる風邪や気管支炎と誤解されやすく、さらに血管やリンパ管が集まる肺の癌は転移しやすいため、可能な限り早期発見・早期治療が重要です。また、肺癌のリスク要因としては喫煙習慣が知られており、本人が喫煙者でなくても、周囲からの副流煙にも注意しなければなりません。

肺癌の場合、再発には他臓器への転移を伴っている可能性が高いため、まずは癌の進行を抑えるための放射線治療が選択されます。加えて、患者の状態や年齢などに応じて、免疫療法が併用されることもあるでしょう。肺癌の症状は特に風邪の諸症状と混同されやすく、一度でも肺癌治療を受けた人は特に日頃から注意しておく必要があります。

肺癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ85.6%、ステージⅡ52.7%、ステージⅢ27.2%、ステージⅣ7.3%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

肺癌が転移しやすい箇所

リンパ節、脳、肝臓、副腎、骨

乳癌

通常、乳癌は女性の乳房にある乳腺に生じる癌ですが、中には男性で生じる男性乳癌もあります。また、乳癌は他の原発巣から転移してくる可能性が少ない反面、リンパ節を経由して全身へ転移することが多い点も特徴です。さらに、乳癌は初期の自覚症状がほとんどなく、発見が遅れやすいことも重要でしょう。乳癌再発の治療内容は局所再発か、他臓器に転移した遠隔転移かで異なり、再発予防には生活習慣の改善や術後補助療法が有効です。

乳癌の場合、最初に癌が発生した段階で、しっかりと外科手術を行って癌細胞を除去しておけば、再発リスクを抑えることができるとされています。しかし、目に見えない微細な癌細胞を完全に取り除くことは難しく、だからこそ外科手術が成功した人であっても、定期的な癌検診によって状態管理を適切に続けていくことが欠かせません。

乳癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ100.0%、ステージⅡ95.9%、ステージⅢ80.4%、ステージⅣ41.8%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

乳癌が転移しやすい箇所

リンパ節、骨、皮膚、肺、肝臓、脳

前立腺癌

前立腺癌は、直腸の前部に存在する前立腺に生じる癌です。男性の癌として警戒されるものの1つですが、前立腺癌そのものは自覚症状が出にくい上、進行速度が遅く死亡率も低いため、自分が前立腺癌になっていると気づいていない人も少なくありません。ただし、前立腺癌でも転移の可能性はあり、再発時に他の臓器へ転移が見られることもあります。そのため、適度な運動や食習慣の改善など、普段から再発予防を心がけることが大切です。

前立腺癌が転移した場合、およそ8割以上のケースで骨転移が生じるとされています。前立腺癌を治療した患者が、骨の痛みやマヒを感じるようになったり、骨折しやすくなったりすれば、速やかに精密検査を受けなければなりません。なお、骨転移に次いでリンパ節への転移が多く、場合によっては肺や肝臓で癌が生じるリスクもあります。

前立腺癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ100.0%、ステージⅡ100.0%、ステージⅢ100.0%、ステージⅣ65.6%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

前立腺癌が転移しやすい箇所

骨、リンパ節、肺、肝臓

膵臓癌

膵臓癌は、膵臓の膵管に発生する癌であり、癌の進行速度が速いという点が特徴です。加えて、初期段階では自覚症状がほとんどなく、膵臓周囲には動脈やリンパ管が集まっていることから、血流に載って癌細胞が広がりやすいことも見逃せません。これにより、膵臓癌は発見された時点で他臓器へ転移していたり、癌が進行していたりといった危険もあります。また、治療が成功しても、再発予防には術後補助療法や生活習慣の改善が欠かせません。

膵臓癌の場合、再発した癌細胞が膵臓に局所的に存在しているのか、それとも他の臓器へ転移しているのかで、治療方針や治療内容も大きく異なります。局所的な再発の場合、膵島十二指腸切除術や膵臓の全摘出といった外科的治療がメインとなりますが、転移を伴っている場合は抗がん剤治療や放射線治療といったものが中心となります。

膵臓癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ49.8%、ステージⅡ21.6%、ステージⅢ6.9%、ステージⅣ1.9%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

膵臓癌転移しやすい箇所

肝臓、骨、腹膜播種

肝臓癌

肝臓が原発の肝臓癌は、肝臓の細胞が癌化した肝細胞癌と、胆管細胞が癌化した胆管細胞癌に分類され、さらに他からの転移で生じる転移性肝癌もあります。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど自覚症状が出にくく、発見された時点では相当に進行している可能性があります。また、特に原発性肝癌は再発リスクが高く、再発のおよそ80%が肝臓内転移とされ、肝炎や肝硬変といったリスク要因が改善されない限り再発が繰り返されることが特徴です。

一方、肝臓には門脈と呼ばれる太い血管が通っており、癌細胞が血流に載って運ばれるリスクも決して少なくありません。肝臓癌の再発が他臓器への転移を伴うものであれば、外科手術によって根治を目指すことができないため、放射線治療やエタノール注入療法、肝動脈化学塞栓術、肝動注化学療法といった治療法が適宜選択されます。

肝臓癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ64.0%、ステージⅡ40.8%、ステージⅢ15.2%、ステージⅣ3.7%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

肝臓癌が転移しやすい箇所

肝臓内転移、肺、骨、リンパ節、副腎

腎臓癌

腎臓に生じる癌の中でも、腎実質の腎細胞が癌化したものが腎臓癌と呼ばれます。なお、腎盂に生じた癌は腎盂癌という別の癌として扱われます。腎臓癌の特徴として、血行性転移を起こしやすいというものがあり、特に肺への転移に注意しなければなりません。腎臓癌は治療が上手くいけば再発の可能性も低いとされていますが、癌細胞を適切に除去できていなければ肺など他の部位へ転移して再発するため、手術での治療が難しくなります。

腎臓癌が転移しながら再発した場合、まず癌の進行を抑制するために、抗がん剤治療と放射線治療を行うことが一般的です。また、最近では分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬といった、免疫システムを活用した治療法も開発されています。ただし、いずれにしても早期発見・早期治療が原則であり、定期検診を欠かさないことが重要です。

腎臓癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ97.2%、ステージⅡ79.7%、ステージⅢ71.5%、ステージⅣ17.8%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

腎臓癌が転移しやすい箇所

肺、骨、リンパ節、肝臓、副腎、膵臓、脳

精巣癌

精巣癌とは、男性の精巣(いわゆる睾丸)に発症する癌です。

初期の自覚症状はほとんどなく、大半の場合は無痛性のしこりや精巣の腫れなどにより異常が発覚。病巣を摘出して病理検査を行い、癌か否かを特定します。病理タイプによりセミノーマ型と非セミノーマ型に分類されますが、前者のほうが治りやすく、後者のほうが治りにくいことが分かっています。

精巣癌の直接的な原因は不明ですが、生まれつき睾丸が陰嚢にない(鼠径部などに留まっている)人や家族歴のある人は、比較的発症しやすい傾向があるとされています。

セミノーマ型であれ非セミノーマ型であれ、原発であれ再発であれ、早期発見・早期治療により、ほぼ完治を目指すことが可能です。家族歴等により発症の懸念がある方は、入浴時のセルフチェックや泌尿器科での定期検診の受診を心がけましょう。

精巣癌の5年生存率

セミノーマ型:ステージⅠ95%以上、ステージⅡ80~90%以上、ステージⅢ30~40%

非セミノーマ型:ステージⅠ90%以上、ステージⅡ70~80%以上、ステージⅢ10~20%

参照元:精巣腫瘍|東京女子医科大学病院
https://www.twmu.ac.jp/KC/Urology/disease/cancer/testicle/

精巣癌が転移しやすい箇所

後腹膜リンパ節、頚部リンパ節、肺、肝臓、骨、脳

副腎癌

副腎癌とは、生命維持に不可欠な各種ホルモンを分泌している小組織「副腎」に発生する癌のこと。副腎は副腎皮質と副腎髄質から構成されますが、これらのうち副腎皮質から発生する癌を副腎癌と言います。

初期症状はほとんどなく、腫瘍が大きくなるにつれ腹痛や便秘、吐き気などを自覚。治療法の第一選択は手術で、術後または再発後はミトタン投与による化学療法が行われます。

副腎癌は極めて希少な癌ですが、一度発症すると再発する可能性の高い癌でもあります。そのため治療後は、禁煙や禁酒(節酒)、適正体重の維持、適度な運動など、再発予防に向けた生活習慣の改善を図ることが非常に重要です。もちろん、再発の早期発見・早期治療のため、定期検査を受けることは欠かせません。

副腎癌の5年生存率

副腎癌は希少癌のため、5年生存率に関する一般的なデータがありません。以下はフランスにおける253例をもとにした5年生存率のデータとなります。

ステージⅠ60%、ステージⅡ58%、ステージⅢ24%、ステージⅣ0%

参照元:がん有明病院|副腎がん

副腎癌が転移しやすい箇所

ステージⅢにおいて、副腎周辺のリンパ節や周辺臓器(腎臓、横隔膜、膵臓、脾臓、肝臓)、および陣静脈や大静脈への転移が見られることがあります。

皮膚癌

皮膚組織の中でも、表皮細胞と皮膚付属器の細胞が癌化したものを皮膚癌と呼びます。皮膚癌には様々な種類があり、種類によって発生しやすい場所や再発率が異なることも特徴です。皮膚癌は紫外線との関連性が強いとされ、特に基底細胞癌は完全な切除が難しく、再発を繰り返しながら周辺の筋肉や骨といった組織を破壊します。そのため、日焼け止めなどでしっかりと日焼け対策を行い、紫外線を浴びる量を調整する再発予防が大切です。

皮膚癌は生存率が高く、その他の癌と比べると予後も良好とされている一方、顔などの目立つ場所にできてしまうと、患者の肉体だけでなく精神にも大きなダメージを与えてしまいやすい癌の1種です。特に現代はオゾン層が破壊され、宇宙からの紫外線量も増加しているとされており、日常的な対策を欠かさないようにしておきましょう。

皮膚癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

比較的予後良好な癌といわれています。

皮膚癌が転移しやすい箇所

皮膚癌の中でも悪性黒色腫、乳房外パジェット病などは転移しやすいといわれます。

悪性リンパ腫

悪性リンパ腫は血液中を流れる白血球の中でも、リンパ球という細胞が癌化する病気です。また、リンパ球の異常増殖によってリンパ節に腫瘤などが生じますが、あまり痛みなどは感じにくいことも特徴です。悪性リンパ腫は悪性度によって再発率が異なり、実は比較的ゆっくりと進行する低悪性度の悪性リンパ腫こそ、完治が難しいという点も見逃せません。なお、状態によってはドナーからの造血幹細胞移植療法が行われることもあります。

悪性リンパ腫では、全身症状として「38度以上の原因不明の発熱」や、「夜間の睡眠中の大量の発汗」、「半年以内の原因不明の体重減少(10%以上)」などが挙げられます。ただし、悪性リンパ腫の中にはこれらの全身症状が当てはまらないタイプも存在しており、再発に備えるには必ず定期的な癌検診を受けておくことが重要です。

悪性リンパ腫の5年生存率(2009~2011年)

67.5 %

参照元:国立がん研究センターがん情報サービス

悪性リンパ腫が転移しやすい箇所

悪性リンパ腫は全身に転移しやすい傾向にあります。リンパ系組織は全身を巡っているため、リンパ管や血管を介して癌細胞が色々な場所へと広がりやすいためです。

子宮癌

子宮頸癌と子宮体癌を合わせて子宮癌と呼び、それぞれは女性の子宮の入口や子宮内膜などに生じます。初期段階の子宮癌は予後が良いとされ、5年生存率も高いものの、悪化すると治療が複雑になり生存率も低くなるため、定期検診での早期発見か、特に子宮頸癌に関してはワクチン接種による予防が重要です。また、性行為による他者からのウイルス感染もリスク要因とされるため、再発予防には適切なコンドームの使用なども欠かせません。

子宮癌は初期症状がほとんどなく、発見されにくい癌の1つとされていますが、癌の進行具合によって「不正出血」や「下腹部・腰部の痛み」、さらに「性交時の出血」といった症状も見られるようになります。特に、子宮体癌の場合は大半の患者で不正性器出血が認められるため、少しでも違和感があれば速やかに医師へ相談しましょう。

子宮癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

子宮頸癌ではステージⅠ93.6%、ステージⅡ82.2%、ステージⅢ67.9%、ステージⅣ26.5%、子宮体癌ではステージⅠ94.8%、ステージⅡ85.5%、ステージⅢ71.6%、ステージⅣ24.3%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

子宮癌が転移しやすい箇所

子宮頸癌はリンパ節や肺、肝臓、骨など。子宮体癌はリンパ節、膣、腹膜肺。

口腔癌・咽頭癌

口腔癌は口内と唇に生じる癌であり、粘膜細胞に生まれる癌と、唾液腺(耳下腺を除く)に生まれる癌の大きく2種類があります。場所によって舌癌や歯肉癌、口腔底癌などと細分化され、治療では各部位の癌の切除が行われます。また、癌治療によって組織が失われた場合、欠損部を補填する再建手術などが行われることも特徴です。飲酒や喫煙によってリスクが上がるとされ、さらに虫歯や歯周病などを放置した場合も再発リスクが上昇します。

その他、口腔癌の再発リスクを上げる原因としては、入れ歯や差し歯といった、歯科治療の術後トラブルも指摘されています。例えば、入れ歯がきちんと合わずに歯ぐきを傷つけていたり、差し歯が劣化してしまって不具合を生じたりしている場合、歯肉や粘膜へのダメージが積み重なって、結果的に癌化へとつながることもあるようです。

口腔癌・咽頭癌の5年生存率(2009~2011年)

63.5 %

参照元:国立がん研究センターがん情報サービス

口腔癌・咽頭癌が転移しやすい箇所

口腔癌は血液やリンパの流れにのって転移しやすく、特に頸部のリンパ節への転移が多く見られます。また肺への転移も多く見られます。

喉頭癌

喉頭癌とは、口の奥にある喉頭と呼ばれる一帯に生じる癌の総称。発症する場所の違いにより声門癌・声門上部癌・声門下部癌の3種類に分かれますが、うち症例の約70%は声門癌で占められます。

初期症状は声のかすれや喉の違和感、飲み込むときの痛みなど。風邪に似た症状と言われることもあります。

発症の主な原因は喫煙と飲酒です。患者の大部分が喫煙者であることから、特に喫煙の影響が大きいと考えるべきでしょう。

再発率は、早期の場合が10~20%、進行がんの場合が20~40%。再発予防策は禁煙が第一で、あわせて禁酒、栄養バランスの良い食事、適度な運動なども大切です。

再発しても早期発見ならば完治を目指せる癌なので、必ず定期検診を受けるよう心がけましょう。

喉頭癌の5年生存率

ステージⅠ94.9%、ステージⅡ91.7%、ステージⅢ76.0%、ステージⅣ48.3%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率
https://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/seizonritsu/seizonritsu2013.html

喉頭癌が転移しやすい箇所

頸部リンパ節、肺

舌癌

口の中に生じる癌を総称して口腔癌と言いますが、口腔癌のうち舌に生じる癌が舌癌とされます。多くの場合、舌癌は舌の側面か裏面に生じます。早期の段階では自覚症状のない場合もありますが、癌が進行するにつれ、舌の痛みや腫れ、しこりなどを自覚。内臓等に生じる癌とは異なり体の表面に生じる癌なので、セルフチェックで発見できることもあります。

舌癌が再発する場合、治療後2年以内の発症が圧倒的に多いとされているため、再発リスクの高い期間は定期検診の受診や生活習慣の改善などが非常に大切です。舌癌の大きな危険因子は喫煙・飲酒とも言われるため、喫煙・飲酒習慣のある方は禁煙・禁酒(節酒)するよう強く推奨されます。

舌癌の5年生存率

ステージⅠ93% ステージⅡ77% ステージⅢ61% ステージⅣ50%

参照元:がん有明病院

舌癌が転移しやすい箇所

頸部リンパ節、肺、肝臓、甲状腺への転移が多く見られます。

胆嚢癌・胆管癌

肝臓の下で、胆汁を貯めておく臓器が胆嚢であり、その胆汁の流れる管が胆管です。胆嚢や胆管に癌ができた場合、やがて肝臓や十二指腸といった臓器へ広がり、また肺への転移の可能性も高まります。胆嚢癌・胆管癌のリスク要因としては、胆嚢・胆管炎、胆石、潰瘍性大腸炎など様々なものが挙げられ、再発を予防するには何よりも生活習慣を改善し、適切な食事療法を実践することが必要です。また、術後補助療法も効果的とされています。

胆嚢癌は初期の自覚症状が乏しく、定期的な癌検診を受けていなければ、再発の発見が遅れてしまうリスクの高い癌でもあります。そのため、しっかりと専門家の管理下で癌検診を受けていくことが大切です。また、もしも脇腹やみぞおちの痛み、白色便、黄疸といった症状が表れた場合は、直ちに医師へ相談するようにしてください。

胆嚢癌・胆管癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ55.1%、ステージⅡ35.4%、ステージⅢ23.1%、ステージⅣ3.2%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

胆嚢癌・胆管癌が転移しやすい箇所

胆嚢癌では胆管や膵臓の周囲のリンパ節や肝臓、肺などへの転移が多く見られます。

食道癌

咽頭と胃を結ぶ食道に生じた癌が食道癌です。日本人では食道の中部や下部に生じやすいとされ、食道壁の粘膜に生じた早期食道癌から、徐々に粘膜の下層へ浸潤する表在食道癌、さらに深部へ到達した進行食道癌に分けられます。自覚症状としては、癌が進行するに従って胸の違和感や喉のつかえ、声がれといった症状が見られます。飲酒や喫煙の他、熱いものや刺激物を好む食習慣もリスクとされ、再発予防には食習慣や生活習慣の改善が必須です。

食道癌に関しては、最初の治療段階できちんと癌細胞を除去できていた場合、再発する心配もありません。とはいえ、極小の癌細胞が手術で取り切れない可能性もあり、再発初期は自覚症状も乏しいので、普段から意識的に体の状態を確かめていくことが必要です。なお、転移を伴う再発では放射線治療や抗がん剤治療が適用となります。

食道癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ88.2%、ステージⅡ57.9%、ステージⅢ32.6%、ステージⅣ12.4%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

食道癌が転移しやすい箇所

食道癌は進行すると深層へ広がり、気管や大動脈などの周囲の臓器に浸潤することがあります。また、リンパ管や血管の流れに乗って食道外にあるリンパ節や肺、肝臓への転移が見られます。

膀胱癌

尿をためておく膀胱に生まれた癌が膀胱癌です。一般的な自覚症状としては血尿が挙げられ、その他にも頻尿や残尿感といった尿のトラブル、下腹部や背中の痛みなどがあります。煙草の煙や工業染料、一部の鎮痛剤など様々なものがリスク要因とされ、再発予防にはそれらとの接触を避けることが第一です。また、水分摂取も有効とされています。再発した場合、局所的であれば外科手術、転移などがあれば薬物療法や放射線治療が選択されます。

ステージ0段階の膀胱癌であれば、開腹手術でなく、内視鏡を膀胱へ挿入して電気メスで腫瘍を切除する術式「TURBT」が採用されます。なお、ステージが進行するごとに、外科手術と並行して抗がん剤による注入療法が選択されますが、転移を伴った再発になると、中心となる治療法は抗がん剤治療と放射線治療の併用です。

膀胱癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ86.4%、ステージⅡ68.2%、ステージⅢ51.6%、ステージⅣ22.9%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

膀胱癌が転移しやすい箇所

膀胱癌が転移しやすい箇所はリンパ節、肺、骨、肝臓といわれています。

甲状腺癌

喉にあり、全身の働きに重要な甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺に生じた癌が甲状腺癌です。発生率の高いものから順に、乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、未分化癌と大きく4つの種類があり、大半を占める乳頭癌や濾胞癌は予後が良く、術後の再発も稀とされています。ただし、それぞれ全体の1~2%を占める髄様癌や未分化癌は進行が早く、転移リスクも高い点が特徴です。また、初期症状があまりなく、発見と再発予防には定期検診が大切です。

甲状腺癌が再発したとして、癌細胞が局所的に存在している場合は、一般的に根治を目指した外科手術が選択されることになります。手術内容は癌の進行度に応じて、甲状腺を半分切除する半葉切除か、全てを切除する全摘出術が選択されます。そして手術での治療が困難になれば、放射線治療と抗がん剤治療による治療となるでしょう。

甲状腺癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ100.0%、ステージⅡ98.3%、ステージⅢ99.8%、ステージⅣ73.8%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

甲状腺癌が転移しやすい箇所

甲状腺癌は局所の再発や甲状腺周囲のリンパ節への転移が多くみられる一方、肺や骨、肝臓など他の臓器への転移は稀といわれています。

白血病

人間の血液は骨の中にある骨髄で作られ、骨髄では血液を構成する様々な細胞が、造血幹細胞という細胞を起点として生産されています。そして、その中の1つが白血球であり、白血球の生産(分化)過程に異変が生じて、細胞が異常増殖する病気が白血病です。白血病は主に4種類に分類され、症状によってはドナーからの造血幹細胞移植が必要です。また、血液の癌という性質上、癌細胞の完全除去が難しく、完治しにくい癌とされています。

白血病は、そもそも血流に載って癌が全身を巡っていることから、他の癌と比べても転移や再発の定義が難しい癌でもあります。そのため、初期治療によって減少した癌細胞が再び増加した時点で「再発」とされることが一般的です。なお、白血病の再発や転移は、最初の完全寛解から、およそ3~5年後に起こりやすいとされています。

白血病の5年生存率(2009~2011年)

44.0 %

参照元:国立がん研究センターがん情報サービス

白血病が転移しやすい箇所

そもそも白血病とは血液の癌ですから、血液に乗って癌細胞が体中を駆け巡っている状態であり、最初から転移癌であると言えます。

卵巣癌

女性の卵巣に発生する癌であり、初期段階ではほぼ無症状のため、自覚した時にはすでにステージが進んでいる癌の1つです。一般的に40~80代で患者が多いとされ、特に60代の患者が最大とされています。治療は転移がない場合、まず外科手術による癌細胞の除去が選択されますが、再発率が高く、術後2年以内に再発する例が多いとされています。そのため、治療後はしっかりと定期検診へ通いながら、状態を監視することが重要です。

なお、患者が将来的に出産を希望している場合など、卵巣癌の治療で摘出手術が除外されているケースでは、癌の進行度や患者の年齢、体力などを総合的に考慮した上で、化学療法や分子標的治療といったものが次の選択肢となります。卵巣癌において放射線治療が選択されるのは、一般的に再発治療からとなることが多いようです。

卵巣癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)

ステージⅠ92.4%、ステージⅡ72.5%、ステージⅢ47.1%、ステージⅣ31.5%

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

卵巣癌が転移しやすい箇所

骨盤内臓器、腹膜、肝臓、小腸、後腹膜リンパ節、鼠径リンパ節など

多発性骨髄腫

骨髄の中にある血液細胞の内、形質細胞が癌化したものが多発性骨髄腫です。具体的な原因が解明されていない癌の1つですが、治療法は発展しており、選択肢が多いことも特徴です。一方、血液の生産や免疫系に不具合を生じさせるため、様々な病気を引き起こしやすく、再発率が高いこともポイントでしょう。発症機構が解明されていないので再発の予防が難しい癌ですが、癌検診で発見できるため、定期的に検診を受けることが大切です。

多発性骨髄腫の自覚症状としては、造血作用の機能低下に伴う貧血症状が挙げられます。そのため、頭痛や倦怠感、息切れといった症状が急に感じられるようになった場合、再発リスクを考えて直ちに医師へ相談してください。また、その他にも骨や関節の痛み、日常的な口の渇きや吐き気といった症状があらわれる場合もあります。

多発性骨髄腫の5年生存率(2009~2011年)

42.8 %

参照元:国立がん研究センターがん情報サービス

多発性骨髄腫が転移しやすい箇所

原発不明癌

原発不明癌とは、最初に癌が発生した臓器(原発巣)を特定することができない癌の総称であり、一般的に成人の固形癌のおよそ1~5%に当たるとされています。原発巣の特定が難しい上、発見された時点ではすでに遠隔臓器へ転移していることが多く、最適な治療法の選択が難しいことも特徴です。ただし、原発不明癌の中にも原発巣を推定できるものがあり、そのようなケースについては病態や状況に応じて治療法を選択することが可能です。

原発不明癌の再発予防に関しては、そもそも何が最初の原因として癌が発生しているのか分かりにくいので、基本的に「あらゆる癌の予防を意識する」ことが重要となります。そのため、食生活や運動習慣の改善、飲酒・喫煙習慣の見直しといったライフスタイルの健全化は、何よりも先に考えなければいけない要素となるでしょう。

原発不明癌の5年生存率

5年生存率は10%未満(1年生存率は25%未満)と言われています。

原発不明癌が転移しやすい箇所

全身(原発巣や特徴が不明)