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掲載している治療法は保険適用外の自由診療も含まれます。自由診療は全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。
参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率
口腔癌は血液やリンパの流れにのって転移しやすく、特に頸部のリンパ節への転移が多く見られます。また肺への転移も多く見られます。
口腔癌とは一般的には口内と口唇にできる癌の総称です。さらに、舌癌や歯肉癌、口腔底癌(下顎の歯茎と舌の間)など複数の癌に分類されます。
口腔癌には、主として唾液腺(耳下腺を除く)に発生するものと、口内の粘膜に発生するものの2種類があり、特に舌へ癌が生じる舌癌が最も多い症例だとされています。
舌がんは口腔がんの中で最も頻度が高いです。
国立がん研究センターがん情報サービスが公表している統計データによれば、2018年に診断された症例数は22,515例(男性15,679例、女性6,836例)、死亡数(2019年)は7,764人(男性5,504人、女性2,260人)。男性の患者が多いという点が特徴です。
口腔癌は男女ともに40代頃から患者数が増えていく傾向があります。また、罹患数と死亡数が、1970年代から現代にかけて毎年増加傾向にあるのも見逃せません。
口腔癌は目に見えない場所にできる癌であり、さらに初期は口内炎とも間違われやすく、発見が遅れがちになることも重要です。また、食事や会話といった生活の質にも大きく影響する癌であり、口腔癌は現代人にとって普段から注意すべき癌の1つと言えます。
口腔癌の症状は癌の進行具合だけでなく、癌が口内のどの部分に発生しているかでも変わります。
舌や内頬へ癌が発生した場合、外見的な症状や特徴としては、癌が生じている粘膜が赤くなったり白くなったりという変色が挙げられます。また、歯を支える組織に癌が生じて機能が弱体化すれば、歯がぐらついたり、入れ歯が合わなくなったりといったケースも考えられるでしょう。
その他、痛みや出血、さらには発語障害や嚥下障害へ発展することもあり、そこまで症状が悪化すれば生活の質も低下していきます。唾液腺に癌が生じることで違和感として現れる症状もあります。
進行したときの症状としては、粘膜のただれ、痛みや出血がある、口が開けにくい、食事が飲み込みにくい、話しにくい、などがあります。首のリンパ節に転移したときには、しこりに気付くこともあります。
引用元:国立がん研究センター 口腔がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/oral/index.html)
基本的に、口腔癌による症状を放置していて状況が改善することはありません。日常の歯磨きなどオーラルケアの際に出血が生じやすくなったり、口の中に明らかな違和感を抱いたりした場合、問題が悪化する前に医師へ相談することが必要です。
口腔癌の治療は、手術で癌細胞を取り除く外科治療が基本です。癌を早期発見して癌細胞を完全に除去することができるケースであれば、再発リスクを抑えやすいのが特徴。
反面、例えば舌癌で手術を行う場合、癌のサイズによっては舌の大部分を切除しなければならないこともあります。術後の生活を考えて再建手術が検討されますが、一方で必要最小限の切除範囲をぎりぎりまで見極めるような場合も。この時、もしも癌細胞が残ってしまうと再発リスクが高まってしまいます
口腔癌の治療では再発リスクと術後の生活の質(QOL)のバランスを検討しながら、適切なプランを構築することが重要です。
口腔癌の再発リスクは、最初の手術を行ってから17~18ヶ月後くらいに再発ピークを迎えるとされており、多くは術後2年以内に再発しています。術後2年間は定期的な癌検診を行いながら、転移や再発の有無についてきちんとチェックしていくことが重要です。
また、その後も継続的に癌検診を行い、5年以上は経過観察を続けてくことが望ましいでしょう。
再発した癌は、どのような仕組みで再発したかによって呼び方が異なります。
手術跡や温存した口腔組織に癌が発生した場合の名称は「局所再発」。口腔内から離れた場所へ転移していた場合は「遠隔転移」と呼ばれます。
再発癌であっても、局所再発の場合は基本的に口腔癌としての治療計画が進められます。可能であれば手術によって外科的切除が選択されるでしょう。
頸部リンパ節転移を認めた場合、転移リンパ節を含めて周囲の組織を切除する「郭清術」が採用されます。ただし、初回治療として手術が行われている場合には、重点が置かれるのは放射線療法や化学療法などの治療です。
遠隔転移の場合、癌が発生した部位や臓器ごとに治療方針を検討しなければなりません。
再発後の治療は、手術を行っていない場合は手術を行うことが基本です。最初の治療で手術を行っていれば、放射線療法や抗がん剤による化学療法が行われます。これは舌の別の部位にがんが再発した場合も同様であり、初回治療の内容や個々の状態に合わせて治療法が選択されます。
引用元:メディカルノート|舌がんの予後~発症数とステージ別5年生存率で考える~(https://medicalnote.jp/contents/200108-005-NV)
口腔癌の検査方法としては、まず口腔内の状態を視診して病変の有無を確認する手法が一般的です。また、鼻からファイバースコープなどを挿入して、咽頭や喉頭などの状態を確認して病変が拡大していないか診断することもあります。
触診によってリンパ節の腫脹を確認するのも検査方法のひとつです。
視診や触診だけで不十分と思われれば、CT検査やMRI検査などの画像診断でより詳細な検査を行います。
口腔癌を疑う組織や病変があった場合、その組織の一部を切除して顕微鏡下で確認する病理検査を行います。また、病理診断は癌の確定診断としても不可欠です。
口腔癌は口内炎のように発生したり、舌に発生して食事や会話などに不具合をもたらしたりすることもあります。患者自身が違和感を自覚しているような場合、口腔癌の可能性を含めて検査しておくのが、早期発見においては大切です。
一般的には初期のがんでは痛みや出血などはなく、硬いしこりが触れるのみの場合が多いです。なかなか治らない口内炎の場合も注意が必要です。
実際に自分の口の中にある病変が良性か悪性か心配の場合はご自分で触ってみると良いでしょう。他の部分と違って明らかにその部分が硬く触れる場合は悪性の腫瘍の可能性がありますので、専門医の受診をお勧めします。目をつぶって触ってしまうとどこにあったか分からなくなるほどの軟らかいしこりは悪性の可能性は少ないでしょう。舌がんの好発部位は舌の両脇の部分で、尖端や真中の部分にできることは少ないです。
引用元:がん研有明病院|口腔がん(https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/headneck/mouth.html)
人の口や唇、口内の各組織は食事・会話・呼吸など生活に欠かせない様々な機能を司っている器官です。例えば口腔癌の治療として手術や切除を行った場合、どうしても何らかの副作用が生じてしまう可能性が高まります。
そのため、口腔癌の治療では適切な方法で癌の除去を実行するだけでなく、副作用への対策や術後のリハビリなども含めたトータルのプランニングを進めていくことが欠かせません。
口腔癌の治療で舌や口内の組織を切除した場合、食事の際に上手く噛めなくなったり、食材を飲み込みにくくなったりすることが考えられます。
摂食障害や嚥下障害は生活の質を低下させるだけでなく、栄養吸収を阻害して健康状態を害する恐れも。そのため、術後の状態によっては流動食や経腸栄養といった栄養支援を考慮しなければなりません。
経腸栄養では鼻から胃へ管を通して栄養を流し込むだけでなく、腹部に開口部を設けて消化器官へ直接に栄養を流し込むといった方法もあります。
口腔は、摂食・嚥下、構語(言葉を発すること)などの機能を司る器官です。口腔がんの治療により摂食・嚥下、構語に悪影響を与えることが少なくありません。とくに摂食・嚥下は生命を維持する上で不可欠ですので、これらの障害に対してはその程度によって栄養支援が考慮されます。
引用元:がん研有明病院|口腔がん(https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/headneck/mouth.html)
手術によって舌や歯の機能の一部が失われたり、再建手術によって舌の再生などを行ったりした場合、適切に食事をしたり会話したりできるように術後のリハビリが必要です。
どのようなリハビリが必要になるかは、患者の体質や治療内容、術後の経過によってその都度、主治医やサポートチームなどが連携して考えていきます。
また、日常的にガムを噛んで唾液分泌を促進したり、飲料水を携帯して定期的に喉を潤したりといった方法もリハビリとして有効です。
口腔癌の治療によって唾液の分泌量が低下した場合、口内環境が悪化して虫歯や歯周病のリスクが上昇します。そのため、日常的なオーラルケアによって口腔内をいつでも清潔に保っておくのは、口腔癌治療の副作用対策として大きなポイントです。
また、口腔癌の治療を始める前に虫歯や歯周病を認められていた場合には、放射線治療の前に歯科医が虫歯治療を始めるといった進め方も検討されます。
化学療法や放射線療法を行った場合、口腔内を含めて全身に様々な副作用が生じることもあります。
どのような副作用が生じるかは治療内容や患者によって異なるものの、激しい副作用は治療への意欲を失わせかねません。適切な副作用対策を並行して、患者の苦痛を緩和するのが治療を進める上で重要になってきます。
病気の種類や患者さんの年令、全身状態、これまでに受けられた治療法などで使われる薬剤は異なってきます。副作用は薬剤の種類などによっても異なりますが、主に吐き気や、腎臓機能の低下、骨髄機能の低下、口内炎などがあります。これらに対して、制吐剤ほか薬剤や点滴、各種感染対策などが対策として考慮されます。
引用元:がん研有明病院|口腔がん(https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/headneck/mouth.html)
口腔癌の治療方針を決める上で、まずどのような種類の癌であるか確認しなければなりません。また、どの部位に癌が生じているかで、必要な治療法やドクターの専門性も変わります。
口腔癌の場合、基本的には手術による外科的治療で癌を取り除くことになりますが、そのために歯を失うのであれば歯科インプラントなども検討しなければならず、外科医だけでなく歯科医などがチーム体制で治療に当たることも少なくありません。
なお、口腔癌では術後の生活習慣についても考えなければならず、癌を切除する治療の他にも失った機能の再建術や術後補助療法が採用されることもあります。
手術の際に確認できる全てのがんを切除した後に、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法や放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
引用元:がん情報サイト(https://cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?pdqID=CDR0000258017&lang=ja)
口腔癌の治療プランとして、最も一般的かつ基本的な内容が手術です。ただし、実際には癌の規模や症状の進行度によって、どの手術法が最適か検討されます。
癌の全てに加えて、癌の周囲にあった正常組織の一部も合わせて切除する術式です。癌の再発リスクを低下させる上で有効性が期待されますが、歯や顎の骨に癌が接していた場合、骨の一部を切除しなければならないこともあります。そのため、必要に応じて歯や骨の機能を取り戻すための治療(再建術)が行われるでしょう。
また、舌の一部や全部を切除しなければならない場合、舌の機能を取り戻すための再建術や術後のリハビリも必要となります。舌の切除範囲については、可動部のみを切除する場合や、癌が生じた側の舌をまとめて切除する場合、いっそ舌の大半から全部を切除する場合など状況に応じて選択されます。
頸部郭清術は、癌がリンパ節にまで転移している場合や、口唇や口腔外にまで拡大していて今後にリンパ節への転移が懸念される場合に、頸部リンパ節や周辺組織を合わせて切除する外科的治療です。
ただし、手術の合併症として頸部のこわばりや首、肩の周辺の運動障害といった症状が見られることもあります。
頸部郭清術の際は、リンパ組織だけでなく周囲の血管や筋肉、神経を切除することがあります。このため、術後に、顔のむくみ、頸部のこわばり、肩があがりにくくなるといった運動障害などの合併症がみられます。
引用元:国立がん研究センター 舌がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/tongue/treatment.html)
再建術は、口腔癌の手術によって失った機能を改めて取り戻すための手術の総称です。具体的には患者の他の身体組織を移植したり、それをベースにして元の臓器を再建したりして、生活に支障が出ないように努められます。
どの部分をどのような方法で再建するかは術後の状況や症状の程度によって検討されますが、再建術では基本的に術後のリハビリが必須です。
切除した範囲が小さい場合は、手術後も舌の基本的な機能が保たれますが、切除した範囲が大きい場合は、舌の機能低下が避けられません。特に、飲み込む機能が低下すると、飲食物が食道ではなく気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)を起こしやすくなります。舌の機能低下を最小限に抑えるためには、リハビリテーションのほか、手術で失った部分の舌の形を新たに作り直す「再建手術」も必要です。再建手術では、患者さん自身の太ももや、おなか、胸、腕などから採取した皮膚や脂肪、筋肉などの組織を移植し、残った舌ができるだけ機能するように再建します。
引用元:国立がん研究センター 舌がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/tongue/treatment.html)
口腔癌の場合、体の外から放射線を癌細胞へ照射する治療法と、口内へ機具を挿入して内側から癌細胞へ放射線を照射する治療法の2種類があります。
どちらの治療法が選択されるかは、口腔癌の形状やサイズ、進行度などによって主治医が診断するため、まずはしっかりと癌の状態を診断することが必要です。
また、放射線療法は癌の再発リスクを低下させる術後補助療法としても利用されます。
手術の際に確認できる全てのがんを切除した後に、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法や放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
引用元:がん情報サイト(https://cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?pdqID=CDR0000258017&lang=ja)
組織内照射では、専用の管や針へあらかじめ放射性物質(放射性同位元素)を封入して、それを組織内へ差し込んで留置することで、口の中から放射線を照射します。
ただし、組織内照射は一般的に適応条件があり、実施可能かどうかは主治医と相談した上で考えなければなりません。
組織内照射は、一般的にT1・T2で腫瘍の厚さが1cmを超えない場合に行います。T3や腫瘍の厚さが1cmを超える場合でも行う場合があります。
引用元:がん情報サイト(https://cancerinfo.tri-kobe.org/summary/detail_view?pdqID=CDR0000258017&lang=ja)
外部照射は、体の外側から放射線装置を使って放射線を照射する治療です。脳やその他の組織へのダメージを軽減しながら、必要な部位へ確実に放射線を照射できるよう、患者の頭部へメッシュ状のマスクを装着してマーキングを行った上で治療が進められます。
外部照射は組織内照射と併用したり、術後補助療法として薬物療法と併用したりと、複数の活用法があります。
手術によって癌組織を完全に取り除けなかった場合や、再発リスクが高いと考えられた場合、術後補助療法として薬物療法も有効性が期待される治療法の1つです。
2021年6月時点で口腔癌の標準治療として考えられている術後補助療法としては、シスプラチンを使った薬物療法と放射線治療の併用が一般的とされています。
薬物療法では治療に際して様々な副作用が発生することがあり、症状の程度を見ながら薬の使用量や頻度を考えていかなければなりません。
シスプラチンの主な副作用としては、吐き気や嘔吐、食欲不振といった症状の他、貧血や腎障害、難聴といったものがあり、違和感が生じれば速やかに主治医へ相談することが必要です。
癌の状態がすでに治療困難なレベルにまで達している場合、無理に治療をせず、生活の質の維持・向上を最優先にして治療プランが考案されることもあります。癌が進行してから改めて緩和ケアが始められるというよりも、癌と診断された時点から患者のニーズを優先して治療プランを柔軟に考えられることが一般的です。
また、支持療法とは癌治療を進めつつ、副作用や合併症のリスクを減らすために行われる治療やケアの総称です。
口腔癌の治療では舌や歯の機能が失われるリスクが大きいため、可能な限り早期に日常生活を取り戻せるよう、術後の再建術と合わせてリハビリを進めなければなりません。特に、食べ物を噛んだり飲み込んだりする機能は、生活の質や健康状態を大きく左右するポイントであり、適切にリハビリを実施することが必要です。
口腔癌や舌癌のリハビリでは、発語・発声や摂食嚥下など専門的な分野のリハビリを扱える言語聴覚士や、治療期間中の食事内容を考える管理栄養士、さらには口腔ケアの専門家として歯科医や歯科衛生士がチーム体制で協力します。
舌や歯は食べ物を噛んだり飲み込んだりする上で重要な組織です。そのため、術後に残っている舌のサイズや再建内容に応じて、それぞれのリハビリプランを検討しなければなりません。
リハビリ当初で食事や嚥下が難しい場合、汁物をすすったり、顔を上向けにして重力を利用したりと、色々な方法が行われます。
口の開け方や舌の動かし方などを確認しつつ、思い通りに会話できるよう練習します。
手術で舌の大部分を失った場合にリハビリを補助する器具です。食事や会話など総合的なリハビリへ使用されます。
手術によって歯を失った場合、インプラントや入れ歯を使って歯の機能を取り戻さなければならないこともあるでしょう。どのような器具を選択するかは、患者の体質や年齢、希望などを考慮して決定します。
リンパ節を除去すると、術後に顔がむくんだり頸部が変形したりという症状が現れます。また、神経や筋肉の損傷で肩が上がりにくくなることもあるでしょう。
そのような場合、理学療法士や作業療法士といった専門家のサポートが重要になります。
ここではステージごとの口腔癌の状態について解説します。
口腔癌の進行度を表すステージは、Ⅰ~Ⅳの4段階に分けられます。ステージの数字は、病気が進行するにつれて大きくなっていきます。なお、ステージごとの数字はローマ数字で表記されることが一般的です。
Ⅰ期 | 口腔内に、大きさが2cm以下、深さが5mm以下の癌(腫瘍)が認められる状態です。 |
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Ⅱ期 | 口腔内に、大きさ2~4cm、深さ5~10mmの癌が認められる状態です。例えば、癌の大きさが2cmに満たなくても、深さが5mmを超える場合はこのステージに分類されます。 |
Ⅲ期 | 癌の大きさが2~4cmで深さが10mmを超えているか、癌の大きさが4cm以上で深さが10mm以下の状態です。また、癌の大きさ・深さが4cm以下・10mm以下で、かつ癌と同じ側のリンパ節に大きさ3cm以下の転移した腫瘍が認められる場合にもこのステージに分類されます。 |
Ⅳ期 | 癌の大きさが4cm、深さが10mmを超えているか、癌があごの骨を超え、鼻周辺にある骨の空洞や顔の皮膚にまで広がっている状態です。また、リンパ節に転移した癌がリンパ節の外にある組織に広がっている場合、原発巣(口腔内)から遠くにある臓器に転移が見られる場合にも、このステージに分類されます。 |
口腔癌のステージは、「癌の大きさ」「リンパ節への転移の状態」「他の臓器への転移の有無」の3つの要素の組み合わせによって分類されます。
癌がさほど大きくなければ進行度も低いのかといえば、必ずしもそうではありません。リンパ節や他の臓器への転移の有無は、ステージの分類を大きく左右するからです。
例えば、癌が大きさ2cm・深さ5mmに満たなくても、リンパ節に大きさ3cm以上の転移が見られる場合や、リンパ節に転移した癌がリンパ節の周辺組織にまで広がっている場合、口腔から遠い臓器に転移が見られる場合には、ステージはⅣに分類されます。
口腔癌の治療は、ステージに関わらず、手術によって病変部を取り除かれるのが基本です。ただし、腫瘍の大きさが4cm、深さが10mm以下であり、かつリンパ節への転移も見られない場合には、ごく小さな放射性物質を癌のある部分に埋め込み、体内から放射線を照射することで癌を退治する「組織内照射」という治療が選択されることもあります。
また、手術を行った後には、追加で抗がん剤や放射線照射による治療が行われることも。こうした治療は、手術で取り切れなかった癌を攻撃したり、癌の再発を予防したりする目的で行われます。
このほか、患者さんの心身の苦痛を和らげ、QOL(生活の質)を維持するための緩和ケア治療も重要です。緩和ケアは症状が進行した患者さんのみならず、癌と診断されたすべての人に対して行われています。