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子宮癌

掲載している治療法は保険適用外の自由診療も含まれます。自由診療は全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。

子宮癌の5年生存率(2011-2013年診断症例)と10年生存率(2005-2008年診断症例)

子宮頸癌の5年生存率

子宮体癌の5年生存率

子宮頸癌の10年生存率

子宮体癌の10年生存率

参照元:全国がんセンター協議会(全がん協加盟施設の生存率協同調査)/全がん協生存率

子宮癌が転移しやすい箇所

子宮癌はどのような癌か

子宮癌

子宮癌は子宮頸癌と子宮体癌とに分けられます。

初期段階ならば比較的予後の良い癌であるため、早期発見が重要となります。一般の産婦人科の診察でも検査できるので、定期的な検診を受け、早期発見を目指しましょう。

子宮癌の主な症状

初期の子宮癌はほとんど症状がありませんが、進行とともに次のような症状が現れるようです。

子宮体癌の場合は、ほとんどの人に不正性器出血がみられます。他には排尿痛や排尿のしにくさ、性交時痛、骨盤周辺の痛みなどの症状があるようです。

子宮癌が再発しやすい理由・しにくい理由

一般的に、最初に子宮癌が発生した際の治療で全ての癌細胞を除去できていた場合、改めて癌が再発することはないと考えられます。しかし、微細な癌細胞が残存した場合、それらが増殖して再発リスクも高まるでしょう。

進行度に比例した再発リスクの上昇

子宮癌では、癌を治療した時点でどれだけ癌が進行していたかによって再発リスクも変わります。当然ながら、癌が進行しているほどに根治が難しくなるため、再発リスクが高まることは重要です。

再発リスクを抑えるには早期発見・早期治療が重要になる他、術後の放射線治療や化学療法などによって治療効果を高めて、癌細胞の残存量を減らすといった取り組みも考えます。

子宮癌の再発までの期間

子宮癌再発までの期間は、およそ75%の患者で治療後2~3年とされています。そのため、治療を終えてからも2~3年間は定期的な検査などによって再発の有無を確認していくことが大切です。

なお、子宮癌の患者では初回の治療後から5年以上を経て再発するケースもあり、3年が経過したからといって完全に油断することは厳禁です。

参照元:Medical Note|子宮頸がんの再発する確率と生存率~子宮を全摘した場合の再発のリスクとは~(https://medicalnote.jp/contents/200520-001-TT)

最初の治療と難治性癌リスクの関係

初回の子宮頸癌治療で放射線療法を行った患者で癌が再発した場合、難治性の癌と診断されることがあります。難治性子宮癌では通常の治療法とは異なるアプローチが求められるため、主治医としっかり相談しましょう。

参照元:Medical Note|子宮頸がんの再発する確率と生存率~子宮を全摘した場合の再発のリスクとは~(https://medicalnote.jp/contents/200520-001-TT)

子宮癌に用いられる治療法

子宮癌の三大治療として手術・放射線治療・抗がん剤治療が挙げられます。とくに子宮頸癌の場合は手術により切除を行うことが多くありますが、若い年齢の方であれば放射線治療を第一の選択肢とするケースもあるでしょう。また子宮体癌の場合は子宮の全摘出が標準的な治療法です。

また、がん遺伝子治療や免疫細胞治療法なども効果が期待できる治療法として注目されています。

子宮頸がんの治療には、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法があります。それぞれの治療法は、単独で行われるばかりでなく、組み合わせて行われることがあります。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス|子宮頸がん(https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/treatment.html#A30)

外科手術

Ⅰ~Ⅱ期の子宮頸がんの場合、手術による治療法が有効とされています。がんの進行状況によっても切除範囲は異なるため、まずは年齢・病態などを複合的な要素から子宮全体を切除するのか、子宮頸部だけを切除するのか、切除範囲を決定。さらに切除した組織の病理検査を実施し、術後の治療方針を決めていくという流れが一般的です。

良性疾患や単純子宮全摘出術などでは腹腔鏡下手術も実施されており、子宮頸がんへの腹腔鏡下手術は保険適用されます。ただ高度なスキルが求められるため、行える病院は限定されるので注意しましょう。

円錐切除術

子宮頸がんの一部を円錐状に切除する手術法です。とくに高度異形成の病態において、病巣を完全に除去できる治療として実施されています。また早期に発見された癌の場合、円錐切除術を実施し、がんの進行度合いに応じて適切な手術を決定する手段としても用いられているようです。

単純子宮全摘出術

子宮頸部の周囲組織は除去せずに、子宮だけを切除する手術法です。一般的には子宮筋腫などの良性疾患と同等の手術法になるでしょう。開腹手術だけでなく、膣を切除する膣式手術、腹腔鏡下手術の3つの方法で実施されます。

準広汎子宮全摘出術

体内に癌が残存しないように、単純子宮全摘出術よりも少しだけ広げて子宮を取り除く手術法です。基本的には子宮を支えている周囲の組織である基靱帯の一部と膣を2センチほど、子宮と一緒に切除します。

広汎子宮全摘出術

がんを完全に除去するために準広汎子宮全摘出術よりも子宮を広い範囲で取り除く手術法です。基靱帯や3~4センチほどの膣だけでなく、骨盤内のリンパ節も子宮と一緒に大きい範囲で切り取りします。

がん自体を完全に取り除くことができる可能性は高いですが、手術後にリンパ浮腫や性生活、排尿トラブルなどの合併症が起きるリスクもあるといわれています。

広汎子宮頸部摘出術

若年層の場合、将来的に妊娠をする可能性もあるため、できる限り子宮全摘出を避ける傾向にあります。子宮体部と卵巣を残存すること以外は広汎子宮全摘出術と同様の手術法です。進行期でありながら、かつ妊娠可能な若年層のケースで選択されます。ただ子宮体部・卵巣を残存するため、がんの大きさなどの条件をクリアしなければなりません。

放射線治療

細胞の中にあるDNAを直接攻撃するX線やガンマ線などの放射線をがんにダイレクトに照射し、攻撃する治療法です。放射線治療だけを選択するケースもありますが、外科的手術や薬物療法と併用するケースも多々あります。

子宮頸がんの放射線治療では、「外照射」と呼ばれる骨盤の外側から照射する方法と、「腔内照射」と呼ばれる子宮頸部の癌に対し直接照射する方法、「組織内照射」と呼ばれるがん組織や周辺組織の中に直接挿入する方法の3つです。子宮頸がんだと病期に関係なく放射線治療を選択可能ですが、比較的進行したケースであれば細胞障害性抗がん薬と併用するケースが多いでしょう。また再発リスクの高い方や、初期治療で放射線治療を実施しない方の治療としても用いられます。

薬物療法

子宮頸がんの薬物療法は、基本的に遠隔転移のある進行性がんや再発したケースで選択されます。生活の質を」保ちつつ、延命することが治療の目標となるでしょう。

細胞障害性抗がん薬

細胞が増えていくシステムの一部を阻害することによって、がん細胞を攻撃する作用のある薬剤です。そのため、がん細胞以外の正常な細胞も影響を与えてしまいます。 子宮頸がんの場合は、白金製剤を用いた治療とほかの薬剤を併用した治療が実施され、放射線治療を行う際に白金製剤を活用するケースも。子宮頸がんであればシスプラチン・カルボプラチン・ネダプラチンと呼ばれる白金製剤が用いられます。ほかにもパクリタキセル・イリノテカン・ノギテカンなどがあり、シスプラチンとパクリタキセル・カルボプラチンとパクリタキセルを併用したケースが多いようです。

分子標的薬

がん細胞の増殖に関係するたんぱく質をターゲットにした薬剤です。子宮頸がんの場合は、おもにベバシズマブが活用され、細胞障害性抗がん薬と一緒に使用されます。分子標的薬を用いることで、高血圧やたんぱく尿、出血などの副作用が起きることがあるので注意が必要です。

がん遺伝子治療

がんの治療法として注目を集めている治療のひとつで、正常な細胞に影響を与えることなく、がん細胞だけに効果を発揮できる新しい治療になります。早期に発見したがんであれば、遺伝子治療のみで治癒することも可能で、進行したがんに対しても外科手術や抗がん剤と併用することで、手術範囲を小さくする、副作用を抑えるなどの効果も期待できるでしょう。

ただ遺伝子治療は保険適用外のため、治療するにあたって高額な費用が発生するデメリットもあります。1クールで100万~300万円程度かかることも多く、クリニックによっては500万円程度請求されることも。

免疫細胞治療法

人間にはもともと外部からの細菌などを攻撃する免疫機能が備わっています。その免疫機能を活性化することによって、がん細胞を攻撃する治療のことです。がんペプチド療法・サイトカイン誘導治療などと呼ばれているケースも基本的には免疫細胞治療のひとつになります。

メリットとして、身体への負担が軽減できることが挙げられます。 免疫細胞治療法は、自身の免疫機能を高めてウイルスや細菌など異物とみなす病原体にのみ攻撃する治療法なので、抗がん剤のように正常な細胞にも攻撃してしまうといったことがありません。そのため副作用が抑えられて、免疫力も高められるといった効果が期待できます。

一方で免疫機能が、がん細胞を異物と認識しなければ効果が得られないデメリットも。そのためどんなに免疫力を高めても、免疫機能ががん細胞を異物と判断しない限りは免疫細胞治療法による効果は期待できないでしょう。

免疫療法の大きなメリットは、自己の自然治癒能力を強化するという治療法なので正常な細胞に対しては悪影響を与えず、身体への負担が少ないところです。

人間の体には、ウイルスや細菌などの病原体を異物とみなして攻撃し排除する免疫システムが備わっています。その免疫力を最適、最大化して体内からがん細胞を排除していきます。

引用元:がんメディカルサービス (https://www.g-ms.co.jp/gan-zisyo/meneki/)

緩和ケア

「がん」と診断されたときから、生活の質を保ち、心身ともに苦痛を緩和することで自分らしい生活が過ごせるように対処する治療法のことです。がんが進行した段階だけでなく、がんと診断された時から、必要度合いに合わせて、希望に沿って対応してくれるでしょう。

一方、支持療法とは症状や治療に伴う副作用、合併症などの症状を軽減するための予防・治療・ケアのことです。少しでもつらいことがあれば、医療従事者のサポートを受け、少しでも苦痛を軽くすることが大切でしょう。

リハビリテーション

がん治療を行うと、一般的には身体を動かすことが少なくなり、筋力低下やバランス能力の低下など身体機能が著しく衰えてしまうケースがあります。そのため医師の判断で、筋トレや歩行訓練、バランス訓練などのリハビリテーションを実施し、身体機能の維持・向上を目指すことが大切です。

子宮頸がんの場合、手術や放射線治療を行ったあとは下腹部・下肢のリンパ浮腫が起こることもあるので、弾性着衣で圧迫し、トレーニングを行うこともあります。

子宮癌(子宮頸癌)の検査

子宮癌の治療法を選択する上で、まず子宮癌の状態や癌の浸潤の有無などを詳しく検査しなければなりません。子宮癌の検査としては、一般的に細胞診が選択されますが、その結果によってさらに詳しい検査や診察が行われることもあります。

子宮癌の検査法は複数あり、どのような検査法が採用されるかは最初の細胞診の結果や、主治医による診断の結果によって決められます。

子宮頸がんの検査では、通常まず細胞診を行います。その結果によっては、子宮頸がんの発生する危険性が高い種類のHPVの感染を検査する、ハイリスクHPV検査を行うこともあります。精密検査として、コルポスコープ(腟[ちつ]拡大鏡)下の組織診、さらに円錐(えんすい)切除術による組織診を行います。がんの広がりをみる検査には内診・直腸診、超音波検査、CT検査、MRI検査、PET検査があります。また膀胱や直腸を内視鏡で観察し、浸潤の有無を確認することもあります。その他、診断の補助、治療効果判定、再発の早期発見のために、腫瘍マーカーの検査を行うこともあります。

引用元:国立がん研究センター 子宮頸がん 検査(https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/diagnosis.html)

細胞診

医療用ブラシなどの器具で子宮頸部をこすり、細胞を採取します。その上で、採取した細胞をガラス板へ固定して色素で染めて、細胞の状態を顕微鏡で確認する検査法です。

細胞診の結果で異常が見つかった場合、改めて精密検査へ進みますが、一般的に見つけられるものは癌化する前の異形成となっており、細胞診の異常がそのまま癌の確定診断にはなりません

ハイリスクHPV検査

細胞診で異常が見つかった場合、子宮癌/子宮頸癌のリスク要因として重視されるHPVの感染の有無を調べることもあります。HPVとは「ヒトパピローマウイルス(HumanPapillomaVirus)」の略称であり、子宮癌/子宮頸癌の原因として知られています。

細胞診の結果が異常で、さらにHPVへの感染が認められた場合、改めて詳細な検査が実行されるでしょう。ただし、性行経験のある女性の50~80%はHPVに感染しているとも推計されており、HPVの感染が陽性だからといって過剰に不安視することも危険です。

子宮頸がんの95%以上は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因です。子宮頸部に感染するHPVの感染経路は、性的接触と考えられます。HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉の経験がある女性のうち50%~80%は、HPVに感染していると推計されています。性交渉を経験する年頃になれば、男女を問わず、多くの人々がHPVに感染します。そして、そのうち一部の女性が将来高度前がん病変や子宮頸がんを発症することになります。

引用元:公益社団法人日本産科婦人科学会(http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4)

コルポスコープ診・組織診

細胞診で異常が認められた場合、拡大鏡(コルポスコープ)を用いて子宮頸部の観察を行うコルポスコープ診が実行されます。コルポスコープ診によって異常や浸潤癌、評価不能といった判断が下されれば、改めて対象部位の組織を採取する組織診で確定診断が行われるという流れです。

なお、組織診は採取した組織細胞を顕微鏡で観察して行いますが、さらに医師が必要を認めた場合、子宮頸部を切除して詳細な組織診(円錐切除術)が行われることもあります。

内診・直腸診

内診や直腸診は、経験を積んだ医師が患者の膣や肛門から指を挿入して行う検査法です。

内診の場合、膣から指を挿入し、もう片方の手を下腹部に当てながら、両手で挟み込むように子宮の大きさや固さ、位置などを確認します。

直腸診では肛門から指を挿入して、直腸や周辺組織の異常の有無を確認し、子宮傍組織(基靭帯:きじんたい)へ癌が浸潤しているかどうかを診察します。

超音波(エコー)検査

体表面に超音波を発する器具を当てて、臓器に反射した超音波から体内の状態を視覚化する検査法です。また、体外からの超音波検査で十分な情報を得られない場合、膣内へ超音波を発する器具を挿入して、子宮や卵巣の状態を確認することもあります。

なお、子宮だけでなく他の組織へも転移が進んでいると疑われれば、腹部エコーでさらに広範囲の検査が行われます。

CT検査・MRI検査

X線を使うCT検査や、磁気を使うMRI検査は、共に体内の状態を画像として調べる検査法です。造影剤を使ったCT検査やMRI検査を行うことで、子宮癌の状態や他臓器への転移などを詳しく観察することができます。

PET検査

癌細胞は正常細胞よりも多くのエネルギー源(糖分)を必要とする特性があります。そのため、放射性フッ素を付加したブドウ糖液を注射した上で、放射性の拡散状況を体外から確認することで、「癌細胞=ブドウ糖が特に集中している部位」を検査することが可能です。

内視鏡検査

尿道や肛門へ内視鏡を挿入して、体内の様子を観察する検査法です。尿道へ挿入する場合は膀胱鏡検査、肛門から挿入する場合は直腸鏡検査と分類されます。

腫瘍マーカー検査

癌細胞が体内で生じている場合、癌の種類によってそれぞれ特徴的な物質が産生されます。そのため、それらの物質の有無を血液検査で調べることで、癌の疑いがあるかどうかを診断することが可能です。

ただし、健康状態によって腫瘍マーカー検査の結果が変わることもあり、異常な数値が必ずしも癌の確定にはなりません

腫瘍マーカーとは、がんの種類により特徴的に産生される物質で、血液検査などにより測定します。この検査だけでがんの有無を確定できるものではなく、がんがあっても腫瘍マーカーの値が上昇を示さないこともありますし、逆にがんがなくても上昇を示すこともあります。

引用元:国立がん研究センター 子宮頸がん 検査(https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/diagnosis.html)

子宮癌を再発させないための予防法

子宮頚癌の予防にはワクチンが有効です。ワクチン接種により子宮頸癌の60%が減少すると期待されると言われています。

また、性行為にてパピローマウイルスに感染することも子宮頸癌の発生に関与するといわれているため、性行為時のコンドームの使用も予防に有効となります。

また生活習慣の乱れも癌を誘発するので、動物性脂肪・塩分・アルコールの過剰摂取や、運動不足などに注意しましょう。

癌が再発した場合は、癌治療専門病院へ行き、早めに適切な治療を行う事が重要です。

子宮癌のステージ

ここではステージごとの子宮癌の状態について解説します。

ステージ分類

子宮体癌(子宮内膜癌)や子宮頸癌は、病気の状態に応じ、おおまかに4つのステージに分類されます。それぞれのステージは、ローマ数字を用いて表されるのが一般的です。

子宮体癌のステージ

Ⅰ期 病変が子宮体部(子宮のうち、妊娠した際に赤ちゃんを育てる部分)のみに認められる状態です。癌がある部分が子宮体部の1/2以下である場合はⅠA、1/2を超えている場合はⅠBと表されます。
Ⅱ期 癌が子宮体部を超え、子宮頚部(子宮の下部にある、膣につながる筒状の部分)に広がっているが、子宮の外側には病変がない状態です。
Ⅲ期 癌が子宮体部、頸部、そして骨盤内部に広がっているが、骨盤の外には広がっていない状態です。病気の状態に応じて、さらに細かくⅢA~ⅢC(ⅢC1、ⅢC2)に分類されます。
Ⅳ期 癌が骨盤の外にある部位にまで広がったり、転移したりしている状態です。癌の広がりや転移の状況に応じて、さらにⅣA、ⅣBに分類されます。

子宮頸癌のステージ

Ⅰ期 癌が子宮のみに発生している状態です。病変の大きさや浸潤の深さに応じて、ⅠA1~2とⅠB1~2の4段階に分類されます。
Ⅱ期 癌が子宮を超え、周辺組織や膣に広がっているが、進展はさほど高度ではなく、外陰部近くや骨盤壁にまでは到達していない状態です。癌が広がっている位置および病変の大きさに応じ、ⅡA1~2、ⅡBに分類されます。
Ⅲ期 癌が子宮の周辺組織や膣に大きく広がっている状態です。膣に進展し、外陰側1/3にまで到達している場合はⅢA、子宮の周辺組織に広がり、骨盤壁にまで到達している場合はⅢBと表されます。
Ⅳ期 癌が膀胱や直腸にまで広がっているか、肺などの骨盤の外にある臓器に転移している状態です。直腸か膀胱の粘膜に広がっている場合はⅣA、肺などの骨盤外にある臓器に遠隔転移を起こしている場合はⅣBに分類されます。

ステージの分類方法

子宮癌のステージ分類は、腫瘍の大きさのほか、「癌がどの程度深くまで広がっているか」「肺や肝臓、リンパ節などに転移を生じているかどうか」といった点に基づいて判断されます。

癌がさほど大きく広がっていない場合でも、進行度が低いとは限りません。例えば、癌が子宮に留まっており、浸潤もそれほど深くない場合でも、骨盤の外にある臓器に転移が認められれば、ステージはⅣに分類されるのです。

子宮体癌のステージごとの治療方針

Ⅰ~Ⅱ期

基本的には手術によって病変部を摘出する治療が行われます。基本的には開腹手術が必要ですが、癌が早期に発見された場合は腹腔鏡下手術などの負担の少ない手術が可能になることも。なお、術後は再発のリスクを減らす目的で放射線治療や薬物療法が行われることもあります。

また、患者さんが高齢である、他の持病があるなど、何らかの事情により手術が困難な時には、はじめから放射線や薬物による治療が行われる場合もあります。

Ⅲ~Ⅳ期

ステージⅠ~Ⅱの場合と同じく、治療の第一選択肢は外科手術です。手術によって取り除く範囲は病気の進行度合いに応じて広くなるため、ステージⅢ以降の場合は子宮の周辺組織を含めた広い範囲を切除する必要があります。

手術で取り除ききれない癌や、他の部位に転移した癌に対しては、放射線治療や薬物療法を行います。なお、これらの治療は、癌そのものを治す目的のほか、出血を抑えたり、痛みを和らげたりする目的でも行われることがあります。

また、癌によって起こる心身の苦痛を和らげて生活の質を維持し、その人らしい人生を送るための緩和ケアも重要です。

子宮頸癌のステージごとの治療方針

Ⅰ期

治療の基本は外科手術です。切除する範囲は病気の進行状態によって異なりますが、癌の大きさが小さいなどの一定条件を満たす場合には、子宮頸部のみを切除することで妊娠可能な状態を維持できることもあります。

Ⅱ期

原則として、治療は手術や放射線療法、またはその両方によって行われます。手術を行う場合は、癌をしっかりと取り除くため、周辺組織ごと子宮を大きく切除する「広汎子宮全摘術」という方法が選択されます。

Ⅲ~Ⅳ期

治療は、放射線や薬物(抗がん剤)によって行われます。患者さんの生存期間を延ばすこと、心身の苦痛を軽減し、生活の質をできるだけ良好な状態に保つことなど、病気をコントロールするための治療が必要です。