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がんと診断されたあと、ある時点(たとえば診断から1年後など)まで生きていた人たちが、さらにそこから5年間生存できる確率を「サバイバー5年生存率」といいます。
この指標は、治療後に「今後どれくらい生きられる可能性があるのか」を知るためのもの。国立がん研究センターでは、生存率の推移をグラフで分かりやすく見せています。
生存率の計算には、
の2つの手法を使い、診断後の時間とともにどれくらい予後(回復の見込み)が良くなるのかを詳しく調べています。
「相対生存率」は、がんの患者さんが「一般の人」と比べてどれくらい生きられるかを示します。性別・年齢・地域などが同じ人たちとの比較によって、がんがどれくらい命に影響を与えるかを調べます。
これまでの解析は過去の患者データを使うことが多く、最新の治療効果が反映されにくいという課題がありました。そこで登場したのがピリオド法。これは「最近の一定期間」に診断された人のデータを使い、より現在の医療状況に近い生存率を知る方法です。
2025年2月13日、国立がん研究センターは初めて「サバイバー5年生存率」を公表しました。
対象は2012年にがんと診断された約54万人のデータ。胃がん、大腸がん、肺がんなど19種類のがんについて、病期(ステージI~IV)別に、生存率を詳しく分析しています。
早期に見つかったがんは治療の効果が高く、もともとの5年生存率が高いです。そのため、診断後1年・2年と生存している人のその後5年の生存率はほとんど変わらず、高いまま推移します。
ポイント:早期発見・早期治療の大切さを示すデータです。
進行がんは診断時点では生存率が低いですが、治療を乗り越えて1年、2年と生存した人では、その後の5年生存率が徐々に上がる傾向にあります。
診断時の5年生存率:40%前後
1年生存後の5年生存率:50%近くに上昇
手術や抗がん剤の効果が出やすいステージです。
診断時:男性29.5%/女性46.8%
1年生存後の5年生存率は約10%上昇
分子標的治療や免疫療法の成果が現れています。
大腸がんIV期:1年生存後には40%程度まで回復
膵がんIV期:2年生存後で20%以上に上昇
治療の個別化や薬剤選択が大きな影響を与えています。
診断後の時間経過とともに「生き延びる可能性が高まる」ことを可視化することで、患者にとっての大きな励みとなります。医師とのコミュニケーションもより前向きに進むでしょう。
サバイバーごとの生存率データをもとに、検査のタイミングや内容を最適化することができます。また、がん相談支援センターでは、心理的ケアや生活・就労支援の紹介も行っています。
世界的な調査(CONCORD-3)によれば、日本のがん治療成績は多くのがんで世界トップクラス。胃がんや大腸がんでは特に優れた結果を出しています。
病院ごとに報告方法が違ったり、追跡できない患者がいたりすることで、実際より高めの生存率が出ることもあります。数値を見るときは「目安」として受け取り、背景を理解することが大切です。
全国のがん診療連携拠点病院には「がん相談支援センター」が設けられており、匿名・無料で相談可能です。治療、生活、就労など不安なことを話せる場所として、多くの人が利用しています。
A. 個人ごとの正確な数字は出せませんが、国立がん研究センターのサイトでは、がん種・病期別の生存率を閲覧できます。さらに詳しく知りたい方は、がん相談支援センターを利用すると良いでしょう。
A. 生存曲線を使って、ある時点を過ぎた人がその後どれくらい生きるかを割り出します。たとえば「診断から1年生きた人がさらに5年生きる確率」は、その1年後と6年後の生存率から計算します。
サバイバー5年生存率は、がん治療の希望を「数字」で示してくれる大切な指標です。特に進行がんでも、「治療を乗り越えれば未来は明るくなる」というメッセージを届けてくれます。
今後は、リアルタイムのデータ更新や、全国規模での生存率追跡システムの整備により、より正確な情報が医療現場や患者支援に活用されることが期待されます。