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皮膚癌

掲載している治療法は保険適用外の自由診療も含まれます。自由診療は全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。

皮膚癌の5年生存率

比較的予後良好な癌といわれています。

転移しやすい皮膚癌

皮膚癌

皮膚癌は種類によって転移のしやすさが変わります。

例えば、悪性黒色腫(メラノーマ)や乳房外パジェット病などは転移しやすい癌のようです。

皮膚癌はどのような癌か

皮膚は表皮(上皮)・真皮・皮下組織・皮膚付属器からなり、これらのうち表皮と皮膚付属器の細胞が悪性化したものを皮膚癌と呼びます。

皮膚癌には、悪性黒色腫(メラノーマ)・有棘細胞癌・基底細胞癌・乳房外パジェット病といった種類があります。悪性黒色腫(メラノーマ)は顔・足の裏・爪に生じやすいほか、有棘細胞癌・基底細胞癌は紫外線との関連が強いため顔に生じやすくい特徴があり、さらに乳房外パジェット病はわき・外陰部・肛門にできやすいといわれています。

皮膚癌が再発しやすい理由

基底細胞癌は完全に切除できず、再発を繰り返すと周りの筋肉、軟骨、骨などの組織を破壊しながら浸潤する可能性があります。

皮膚癌に用いられる治療法

皮膚癌の再発の場合、可能であれば再発した箇所の皮膚癌とその周辺の組織の切除が行われます。

遠隔転移がある場合は、切除が困難な場合は放射線治療や化学療法が行われます。また、癌の種類や転移の具合にもよりますが、免疫療法を併用する場合もあります。

基底細胞癌の治療

表皮の最下層に当たる基底層や毛包の細胞が癌化した基底細胞癌では、外科治療や放射線治療の他にも、凍結療法や光線力学的療法といった治療法が検討されます。

手術(外科治療)

基底細胞癌の標準治療として第一に検討される治療法が、手術による癌の外科的切除です。手術によって癌細胞を取り除いてしまうことは、基底細胞癌の治療において最も有効性が期待されており、初回手術で完全に癌細胞を切除できれば根治の可能性も明らかに高くなります

腫瘍部位を確実に取り除くためには、腫瘍として視認できる部分だけでなく、周囲の正常皮膚も含めて広い範囲を切除することがポイントです。具体的には、低リスクの腫瘍では腫瘍の辺縁から約4mm、高リスクの場合は5~10mmの範囲まで余裕を見て切除することが推奨されています。

なお、切除する際は平面的な範囲だけでなく、皮下脂肪組織も含めて十分な深さまで細胞を取り除くことも重要です。特に高リスクの基底細胞癌の場合は深い部分まで細胞を切除して、再発リスクを低減させなければなりません。

組織型が高リスク(斑状強皮症型、浸潤型、微小結節型)の場合は、手術中に切除した組織の切り口(切除断端といいます)に対して病理診断(術中迅速病理診断)を行い、切除断端に腫瘍が残っていないかを確認することが勧められています。

引用元:がん情報サービス|基底細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/basal/treatment.html)

切除した断端に癌細胞が残ってしまうことを「断端陽性」、癌細胞が残っていない場合は「断端陰性」と呼んで区別します。断端陽性の場合は術後の再発リスクが高まるため、可能な限り早い段階で再手術による切除を行うことが重要です。また、再手術が難しいと判断される場合、放射線治療も考慮されるでしょう。

植皮と術後ケア

手術による切除部位が大きく、皮膚の欠損が広範囲にわたる場合、自分の体の皮膚を手術した部位へ移植する「植皮」が行われます

また、高リスクの基底細胞癌の場合、最初から二段階での手術が検討され、最初の手術が終わった後に断端陽性か断端陰性かを確かめた上で、再建手術を行います。

皮膚を切り取ったり植皮したりした場合は術後のケアも必要になるため、術後の暮らし方について主治医へしっかりと確認するようにしてください。

放射線治療

基底細胞癌では外科手術による癌細胞の切除が一般的ですが、いくつかの条件が重なっている場合に放射線治療が選択されることもあります。

放射線治療を検討する条件としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 手術によって体の機能や見た目の変化が懸念される場合
  • 腫瘍が大きく十分な切除ができない場合
  • 再発を繰り返し手術が難しい場合

引用元:がん情報サービス|基底細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/basal/treatment.html)

どれだけの範囲にどの程度の放射線を、何回ほど照射するかなどは、そもそも放射線治療を実施するかどうかも含めて医師による慎重な判断が重要です。

薬物療法

基底細胞癌では手術の難しい症例などにおいて、軟膏やクリームといった薬剤による薬物療法が採用されることもあります。

2021年7月時点では、「フルオロウラシル(5-FU)軟膏」や「イミキモド」といった薬剤が基底細胞癌の薬物療法に使用されています。

フルオロウラシル(5-FU)軟膏

フルオロウラシル(5-FU)軟膏は、癌細胞のDNA合成を阻害することによって、腫瘍の増殖を根本から抑えることを目的とした治療薬です。

低リスクと判断された基底細胞癌の治療に利用されることがあり、1日2回、最低でも3~6週間は患部へ塗ることが必要です。

一般的に報告されている副作用としては、塗布した部位の痛みや発熱、浮腫、潰瘍といったものに加えて、感染症リスクの増加や色素沈着による外見的の変化などが挙げられます。

イミキモド

イミキモドはウイルスの増殖を阻害して、自然免疫をサポートするための薬です。

5%イミキモドクリームは、手術困難な表在型基底細胞癌に使用されることがあり、再発率はやや高いとされる一方、有効性を期待できる人も少なくありません。

ただし、実際にイミキモドを使用するかどうかは、医師としっかり相談して考えるようにしましょう。

5%イミキモドクリームは、手術が難しい表在型基底細胞がんの場合に使用されることがあります。再発率はやや高いですが、効果がある人が多いとされています。主な副作用には、塗った場所が赤くなること、ただれ・潰瘍、刺激感、皮膚の色が薄くなることなどがあります。2018年2月現在、基底細胞がんに対して公的医療保険の対象外であるため、詳細は医師にご相談ください。

引用元:がん情報サービス|基底細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/basal/treatment.html)

凍結療法

凍結療法とは、基底細胞癌が生じている部位に液体窒素を噴霧して、癌細胞を凍結・壊死させる治療法です。

使用される癌のタイプは限定されているものの、効果を期待できる治療法の1つとされています。ただし、再発率がやや高いことから、実施については主治医や専門家が慎重に判断しなければなりません。

結節型、表在型の低リスクの基底細胞がんで、手術ができない場合に、凍結療法を数回繰り返し行うことがあります。再発率はやや高いですが、効果がある人が多いとされています。

引用元:がん情報サービス|基底細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/basal/treatment.html)

光線力学的療法(photo- dynamic therapy; PDT)

欧米諸国などを中心に、非外科的治療として光線力学的療法(PDT)が採用されることもあるようです。

光線力学的療法では、事前に光線に対して感受性を持っている物質を投与しておき、改めて医療用レーザーでレーザー光を照射して癌細胞へアプローチします。

有棘細胞癌の治療

日本人に多い皮膚癌の1つとされる「有棘細胞癌(扁平上皮癌)」は、基底細胞癌に次いで一般的な皮膚癌です。

基底細胞癌の治療と同様に、有棘細胞癌においても複数の治療プランを検討することが可能です。

手術(外科治療)

有棘細胞癌における手術では、治療を目的とした切除術だけでなく、そもそも癌の詳細について検査するために切除が行われることもあります。また、癌のステージやリスク度によって手術の範囲や方法も異なるため、まずは適切に癌の状態を見極めなければなりません。

なお、有棘細胞癌においては手術が最も効果的な治療プランと考えられますが、癌の状態によっては他の治療法を併用したり、そもそも手術を行わなかったりといった選択もあり得るでしょう。

有棘細胞癌のステージが0期の場合、腫瘍の辺縁から近い範囲を、皮下脂肪組織ごと切除します。また、手術に頼らない治療プランを検討することも可能です。

ステージ数が上がるごとに癌細胞を含めて切除する範囲や深さが増大し、併用可能な治療法にも変化が生じます。

0期
腫瘍の辺縁から5mm離して、深部は腫瘍が露出しない程度に皮下脂肪組織を含めて切除します。凍結療法や放射線治療など、手術以外の治療法を選択できる場合もあります。

Ⅰ期
腫瘍の辺縁から6mm(低リスクの場合には4mm)以上離し、表皮、真皮、皮下脂肪組織を腫瘍とともに切除します。

Ⅱ期
腫瘍の辺縁から6mm(低リスクの場合には4mm)以上離し、表皮、真皮、皮下脂肪組織を腫瘍とともに切除します。一般に腫瘍が大きくなると、浸潤しんじゅんの深いものもあり、この場合には、皮下脂肪組織と筋肉の境界部にある筋膜という薄い膜も切除します。化学療法や放射線治療を併用することがあります。

Ⅲ期
腫瘍の辺縁から6mm(低リスクの場合には4mm)以上離して切除します。腫瘍は皮膚を越えて浸潤していますので、筋肉を含めて切除したり、骨を削ったり、ときには患肢かんしの切断術が必要になります。また、リンパ節に転移がある場合は、所属リンパ節郭清と呼ばれる手術方法によって、リンパ節を切除します。Ⅲ期もⅡ期と同様に化学療法や放射線治療を併用することがあります。

Ⅳ期
薬物療法や放射線治療が中心となり、これに手術も組み合わせる集学的治療を行います。

引用元:がん情報サービス|有棘細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/squamous/treatment.html)

いずれの手術プランにおいても、重要な点は腫瘍そのものを切除するだけでなく、周辺組織も含めて切除して再発リスクを抑えることです。

なお、手術によって切除する範囲が広くなった場合、植皮術や形成外科術によって欠損部位の修復が行われます。

手術の合併症リスク

早期の有棘細胞癌の手術では、体表面に近い部分を切除することになるため、術後の機能障害や合併症が起こるリスクはあまり高くありません。また、皮膚の欠損についても形成外科技術の進歩によって改善を目指せるようになっています。

手足の指や上肢・下肢などに癌が発生して、癌切除に併せて切断手術が必要となった場合、術後に失った体の部分が痛む「幻肢痛」と呼ばれる症状が起きることもあるようです。なお、幻肢痛の症状は時間の経過によって徐々に改善するとされています。

その他、リンパ節の切除があった場合は周辺部位のしびれやむくみが生じたり、一時的な神経麻痺などが起きたりすることもありますが、これらも通常は時間経過によって改善していきます。

凍結療法

マイナス196℃の液体窒素を使って、癌細胞の組織内温度がマイナス20~50℃になるまで冷やして、癌細胞を凍結・壊死させる治療法です。手術に耐えられないほど高齢の患者や、手術によるリスクが高いと判断される持病がある患者などにおいて選択されます。

放射線治療

皮膚癌の中でも、有棘細胞癌は放射線治療の効果が高いと期待されており、手術が困難とされるケースにおいても放射線治療によって症状の改善を目指せることがあります。

癌治療における放射線治療では複数の方法があるものの、有棘細胞癌ではX線や電子線といった放射線を体の外部から患部へ照射するものが通常です。

放射線治療は通院しながら受けられる治療法であり、早期発見時からステージが進行している場合まで、目的を変えながら放射線治療を実施することがあります。

通常1回の照射は短時間で終わるため、放射線治療は通院しながら受けることも可能です。また、がんが進んだ場合にも、痛みなどの症状を緩和し、生活の質を保つために放射線治療が行われることがあります。

引用元:がん情報サービス|有棘細胞がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/squamous/treatment.html)

放射線治療の副作用

放射線を照射する部位や量によって副作用が異なりますが、一般的には皮膚の赤みやかゆみ、水疱といった、やけどの症状のようなものが現れやすくなるでしょう。その他、色素沈着や関節の動きにくさ、手足の浮腫などが副作用になることもあります。

薬物療法(化学療法)

癌がすでに進行している場合、細胞障害性抗がん剤による全身療法が中心になるかも知れません。また、顔や首など外見的に目立つ部位へ発生しやすいという有棘細胞癌の特性上、手術による影響を少なくするためにも薬物療法が併用されることはあります

事前に薬物療法を行うことで癌を小さくすることができれば、切除範囲が小さくなって合併症のリスクも軽減されます。

その他、術後の再発リスクを抑えるために薬物療法が採用されることもあるでしょう。

集学的治療

単一の治療法を選択するのでなく、複数の治療法を複合的に活用することを「集学的治療」と呼びます。

皮膚癌を再発させないための予防法

皮膚癌は紫外線との因果関係が指摘されています。紫外線を浴びると皮膚の遺伝子が傷つくのですが、修復する過程で突然変異を起こし、皮膚癌となるのです。

皮膚癌の発生には生涯浴びる紫外線量が関与。そのため、日常的に紫外線を浴びやすい顔や耳、手の甲などは注意が必要です。特に現代では、紫外線を遮断するオゾン層が温暖化により破壊されており、有害な紫外線を強く浴びる傾向にあります。日焼け止めをはじめ、サングラス・日傘・帽子などで日常的に紫外線を遮断することが、皮膚癌の予防に繋がります。

癌が再発した場合は、癌治療専門病院へ行き、早めに適切な治療を行うことが重要です。

皮膚癌のステージ

ステージ分類

0期 癌細胞が認められるが、表皮の中に留まっている状態(非浸潤癌)。
Ⅰ期 癌の大きさが2cm以下で、真皮内あるいは真皮から皮下組織内に留まっている状態。
Ⅱ期 癌の大きさは2cm以上だが、真皮内あるいは真皮から皮下組織内に留まっている状態。
Ⅳ期 癌の大きさに関わらず、皮下組織を超えて筋肉な軟骨などにまで浸潤している状態。あるいは癌の大きさや浸潤度に関わらず、所属リンパ節に移転が見られる状態。
Ⅳ期 腫瘍の大きさや浸潤度、リンパ節への転移の有無にかかわらず、他の内臓にまで転移している状態。

ステージの分類方法

皮膚癌のステージ分類は、国際規格である「TNM分類」に沿って判断されます。「Tumor=癌の大きさ(基準は1cm・2cm・4cm)と深さ(浸潤度)」、「Node=リンパ節への転移の有無」、「Metastasis=発生した器官から離れた臓器への移転(遠隔転移)の有無)」で、この3つの要素をそれぞれ数値化して組み合わせ、ステージを決定するのです。

ステージごとの治療方針

0期

原発巣(発生器官にある癌)の周囲5mm幅をとって外科手術により切除します。

Ⅰ期

原発巣の周囲5~10mm幅をとって外科手術により切除します。これにより皮膚の欠損が大きくなった場合は、植皮手術などで補います。また患部が指といった場合には、切断手術になることもあります。

Ⅱ期

原発巣から10~20mmの幅をとって手術により切除し、植皮手術などで失われた皮膚を補います。またセンチネルリンパ節(癌が最初に転移するリンパ節)への転移がないかを生検によって確認し、転移が見られる場合にはその部分のリンパ節を切除します(リンパ節郭清)。手術後は薬物療法やインターフェロン治療で様子をみます。

Ⅲ期

原発巣から10~20mmの幅をとって切除手術を行い、所属リンパ節(付近のリンパ節)郭清を行います。皮下組織を超えて転移が見られる場合には、さらに大きめに切除したり、インターフェロン治療や放射線治療で患部をできるだけ小さくしてから手術に入ったりする場合もあります。手術後は再発予防のためにインターフェロンや薬物療法が行われます。

Ⅳ期

手術療法、薬物療法、放射線療法などさまざまな方法を組み合わせた治療(集学的治療)が行われます。基本的には薬物療法で進行を遅らせつつ皮膚下転移などに対しては切除手術を行うのが一般的です。遠隔転移が見られるものの1ヵ所だけで、それが完全に切除できるであろうと判断される場合には手術が行われることもあります。