癌の再発と上手に付き合うためのサイト » 部位別に見る再発癌 » 卵巣癌

公開日: |更新日:

卵巣癌

掲載している治療法は保険適用外の自由診療も含まれます。自由診療は全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。

卵巣癌の5年生存率・10年生存率

卵巣癌の5年相対生存率(2011-2013年診断症例)

卵巣癌の10年相対生存率(2005-2008年診断症例)

卵巣癌が転移しやすい箇所

卵巣癌はどのような癌か

卵巣癌は卵巣に発生する癌を指します。卵巣癌は初期段階では症状がほとんどないことが多く、日本では13,049の診断例(2018年)があり、2019年には4,733人が亡くなっているという状況です。

参照元:国立研究開発法人国立がん研究センター がん情報サービス/卵巣

卵巣癌にかかりやすい年齢層は40代から80代とされていますが、60代の羅患者が特に多いと報告されています。

また、卵巣癌は組織型が非常に多く、粘液性のあるものや漿液性のもの、胚細胞から発生したものなどさまざまな分類があるようです。そのため、癌の疑いのある場合は手術で病変を切り取り、病理組織検査と呼ばれる検査でどのタイプに分類されるのかを診断するのが一般的でしょう。

卵巣癌の主な症状

卵巣癌の初期段階は無症状のことがほとんどです。そのため、症状に気づいたタイミングでは癌が進行していることも多く、早期発見が難しい癌の一つです。

卵巣癌の進行具合によってステージ分類されており、主に癌の転移による広がりで判断しています。

卵巣癌の手術進行期分類

卵巣癌は、進行して腫瘍が大きくなると下腹部が出てくるため、腫瘍を触れるようになります。また、お腹に水が溜まるようになるので、腹部の膨満感や痛みなどが症状として現れるようです。

卵巣癌が再発しやすい理由・しにくい理由

卵巣癌においても、まずは手術によって癌細胞を取り除いてしまうのが基本的な対応になります。

これによって癌細胞が完全に取り除かれた場合は、再発の可能性は低いことは再発率からもうかがうことができます。また、卵巣癌は比較的抗がん剤治療が効きやすい癌とも言われており、癌細胞が卵巣内にのみ認められる場合は投薬によって癌を抑え込むことができる可能性があるのです。

卵巣癌の場合は、半数以上が再発する可能性があり、初回の治療を行ってから2年以内に再発するケースが多いようです。再発の場合は化学療法によって治療を行なっていきます。

定期的な検診によって癌が再発していないかを確認するのが良いでしょう。

卵巣癌に用いられる治療法

卵巣癌は患者の年齢や体力、希望に従って治療方針を決定します。

初期治療としては、手術による切除が主たる治療方法ですが、癌細胞を取り除けない場合は投薬治療も行なわれます。卵巣癌は他の癌と比べて発見されるのが遅いことが多く、手術後は化学療法が行われるケースがほとんどのようです。

卵巣に発生する癌なので、妊娠・出産予定がある方は子どもを産めるかどうかが気になるでしょう。結論から言うと、治療方法によっては妊娠や出産に影響があることが考えられます。将来子どもを産みたいと考えている方は、医師と十分に話し合ってから治療方針を決定してください。

化学療法と放射線治療、分子標的治療が、手術に次ぐ、癌への対抗方法です。

放射線治療は卵巣癌に対してはあまり行なわれません。再発などが認められた場合のみ使われることが多いようです。

化学療法については、卵巣癌に対しては効果が高い治療方法といわれているので、抗がん剤の投薬を用いて治療を行います。癌の種類に応じて適切な抗がん剤を選択肢、副作用を考慮しながら投薬を行なう流れです。

抗がん剤の副作用としては、白血球や血小板の減少や吐き気・嘔吐をはじめ、脱毛などが挙げられます。

分子標的治療では、血管内皮細胞増殖因子阻害剤と呼ばれる薬剤によってターゲットとなる癌細胞を識別。そして癌細胞を抑え込みます。近年さまざまな癌に対して応用されている治療法です。

手術(外科治療)

卵巣癌の治療として行われる手術(外科治療)の内容は、癌の進行状況やサイズ、患者の体質や術後のライフスタイルなどを総合的に考慮した上で選択されます。また、いずれの手術法を選択する場合でも、原則として初回手術で可能な限り癌を摘出し、再発リスクを減らすといったことも重要です。

なお、卵巣癌の外科的な一般治療として広く用いられるのは開腹手術です。腹腔鏡下での手術も行われますが、基本的には良性腫瘍に対する外科治療として用いられるようになっており、悪性腫瘍/卵巣癌に対しての腹腔鏡手術は開腹手術と比較して明確な有効性を示すデータが少なく、標準治療としては採用されていません。

標準治療として行われているのは開腹手術です。腹腔鏡下手術は良性腫瘍で広く行われていますが、卵巣がんでは開腹手術と比較して勧められるだけの報告がなく、現時点では標準治療ではありません。

引用元:がん情報サービス|卵巣がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html)

卵巣癌の治療を目的として手術を選択する場合、将来的に妊娠や出産を計画している人はあらかじめ主治医へその希望を伝えて、妊孕性温存治療(妊娠の可能性を維持する治療)が可能かどうか確認しておくことも重要です。

ベーシックな手術法

基本的な卵巣癌治療の手術においては、左右の卵巣と卵管、子宮、大網が摘出されます。また、周辺臓器への癌転移などが認められる場合、それらについても一緒に摘出することも検討されます。

腫瘍減量術

腫瘍減量術とは、手術によって卵巣癌を全て切除できない場合において、可能な範囲で癌細胞を適切に摘出することを目指す治療法です。

手術によって取り除けない癌細胞が増えれば増えるほど癌の再発リスクが上昇するため、基本的に可能な限り最大限の摘出によって、癌細胞の量を減らすことが重要となります。

また、癌細胞が消化器(大腸・小腸)や横隔膜、脾臓などへ転移している場合、腸管部分切除や横隔膜切除、脾臓摘出が併用されることもあるでしょう。

腹水細胞診と腹膜生検

腹水細胞診とは、癌のステージを判断するために必要な処置とされています。また、腹膜の上に病変らしきものが認められた場合、腹膜生検を行って腹膜播種の有無について確認することもポイントです。

癌細胞、あるいは癌を疑われる細胞の一部を切り取って検査する生検は、卵巣癌の状態や治療法を検討する上で重要な手法といえます。

病変の一部を採って、顕微鏡で詳しく調べる検査です。生検組織診断とも呼ばれます。手術や内視鏡検査などのときに組織を採ったり、体の外から超音波(エコー)検査やX線検査などを行いながら細い針を刺して組織を採ったりします。がんであるかどうか、悪性度はどうかなど、病理医が病変について詳しく調べて診断を行います。

引用元:がん情報サービス|生検(https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/seiken.html)

後腹膜リンパ節郭清と生検

卵巣癌のステージを決定するための手術としては、リンパ節の広範囲を切除する後腹膜リンパ節郭清や、腫れているリンパ節の一部を切除するものがあり、採取された細胞は生検によってリンパ節転移の有無を判断するポイントになもなります。

妊孕性温存と手術

卵巣癌の治療を目的として卵巣や子宮などを摘出した場合、術後に患者が妊娠したり出産したりすることはできません。ただし、一定の条件下においては卵巣癌の外科治療と妊孕性温存治療を両立することも可能です。

妊孕性温存が検討される判断基準としては、組織型とステージのそれぞれに条件があり、さらに初回手術の適正なプランニングも不可欠です。

通常、妊孕性温存手術としては左右の卵巣や卵管などのうち、腫瘍のある側の組織のみを切除して、さらに腹水細胞診を併用するといったことが考えられています。

妊孕性温存が可能な条件とは、組織型が漿液性がん、粘液性がん、類内膜がんに分類されるもので、進行期がⅠA期および分化度がグレード1または2とされています。これらを判定するためには、初回手術において、がんの完全摘出はもちろんのこと、手術進行期分類による診断を行うために十分な切除が必要です。

引用元:がん情報サービス|卵巣がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html)

加えて、手術の方法の他にも、妊孕性温存手術には以下のような条件が欠かせません。

一般的な標準治療としての手術に比べれば、妊孕性温存手術では再発リスクなどが高まりやすいこともあり、どのような手術や治療のプランを選ぶのか主治医を交えてしっかりと相談し、納得しておくことが大切です。

術後のケアと合併症リスク

開腹手術が一般的とされる卵巣癌の標準治療では、術後に傷跡が痛んだり感染症や癒着といった合併症のリスクが高まったりといったことも考えなければなりません。

開腹手術の直後に動くことは大変ですが、術後に寝たきりとなっている期間が長引くほど合併症リスクが高まるため、鎮痛剤などを併用しながら可能な限り速やかに日常生活への復帰を目指すこともポイントです。

なお、卵巣を摘出したことによって起こりえる合併症もあります。

更年期障害に似た症状

閉経前の患者から左右の卵巣を摘出すると、卵巣ホルモンの分泌量が低下して更年期障害のような症状を発症することがあります。

自覚症状としては発汗やほてり、食欲低下、倦怠感など様々なものが挙げられるため、どうしても辛くなれば主治医へ相談するようにしてください。

ほてり、発汗、食欲低下、だるさ、イライラ、頭痛、肩こり、動悸どうき、不眠、腟分泌液の減少、骨粗しょう症、高脂血症などがみられます。これらの症状は時間の経過と共に徐々に軽快していきますが、日常生活に支障が出るようであれば、担当医に相談してみましょう。

引用元:がん情報サービス|卵巣がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html)

性機能障害

卵巣癌の手術を行った後でも、膣が残っていれば性交渉は可能です。ただし、手術による肉体的な影響や心理的な影響から、膣の分泌液が減少して性交時に痛みを感じたり、性欲がそもそも減退したりといった可能性もあります。

リンパ浮腫

リンパ節郭清を行った場合、術後にリンパ浮腫が発生する場合があります。

放射線治療

卵巣癌の治療では、再発時の疼痛や出血といった症状の緩和を目的として放射線治療を行うこともあるでしょう。また、癌細胞が脳に転移している場合、予後の改善を目的として放射線治療を行うこともあります。

薬物療法

一般的にある程度まで進行してから発見されることの多い卵巣癌では、手術を行った後で化学療法を実施することが通常です。また、早期発見の卵巣癌においても、再発リスクが高いと判断される場合、術後化学療法によって再発リスクを軽減することもあります。

術後化学療法が必要かどうかは、癌のステージや状態を確認した上で判断されなければなりません。

術後の化学療法を省略できるのは、病期がⅠA期もしくはⅠB期で、さらに分化度がグレード1の場合のみです。なお、明細胞がんについては、高悪性度として扱われているため、ⅠA・ⅠB期であっても術後に化学療法を行います。

引用元:がん情報サービス|卵巣がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html)

その他、初回手術が適切かつ安全に実施できないような状況であれば、術前化学療法が行われることもあるでしょう。そして、術前化学療法によって癌細胞が退縮したり、全身の状態が手術へ耐えられるほど良くなったりすれば、改めて外科治療による卵巣癌の摘出を目指します。

術前化学療法を実施するかどうかについても、術後化学療法の場合と同様に卵巣癌の状況を詳細に検査してから判断されることも押さえておきたいポイントです。

手術で取り切れない腫瘍の大きさが1cm以上になってしまうと予想されるほど進行している場合や、合併症がある、高齢である、腹水や胸水がたまっているなどのことから全身状態が悪い場合が当てはまります。術前の化学療法により腫瘍が小さくなり完全切除が可能となったり、全身状態が改善したりした段階で手術を行います。

引用元:がん情報サービス|卵巣がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html)

化学療法

化学療法は、細胞障害性抗がん剤によって癌細胞を攻撃する治療法です。2021年7月時点で標準治療とされる化学療法では、タキサン製剤とプラチナ製剤を一緒に使う併用療法が一般的となっています。

ただし、抗がん剤を用いた化学療法では癌細胞だけでなく正常細胞にまで影響が出るため、副作用が引き起こされることもあります。

タキサン製剤であるパクリタキセルでは、しびれの症状がみられる末梢まっしょう神経障害が高頻度に起こります。症状が重くなった場合は回復が遅く、後遺症が残ることもあります。また、添加剤としてアルコールが含まれているため、お酒に弱い患者さんは、酔ったときのような症状があらわれることがあります。

引用元:がん情報サービス|卵巣がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html)

化学療法の副作用では脱毛や口内炎、下痢などが起こりやすく、免疫細胞の減少によって感染症リスクが高まるといったことも考えなければなりません。また、腎臓や肺機能へ悪影響が現れることもあります。

分子標的療法

分子標的療法とは、卵巣癌の増殖に関与している分子をターゲットとして、その働きを阻害する薬を使う治療法です。卵巣癌の治療においては抗がん剤治療と併用して分子標的療法が行われます。

ベバシズマブ

卵巣癌において、新しい血管の形成を抑えるための薬です。癌細胞の血管形成を阻害することにより、癌細胞へ栄養を与えられる経路を減少させて、結果的に癌細胞を減少させます。

卵巣癌の分子標的療法で使用される医薬品ですが、一方で小腸や大腸といった消化管に穴が開いてしまうなど、深刻な副作用リスクがあることも重要です。

そのため、ベバシズマブを用いた分子標的療法を行う場合、緊急時のケアが十分に行える医療施設で、さらに分子標的療法や卵巣癌の治療、緊急時対応など総合的な知識と経験を有する主治医の存在が条件となります。

その他の副作用

消化管へのダメージの他にも出血や高血圧、タンパク尿など様々な副作用が考えられるため、分子標的療法を行う際にはきちんとした医師の管理下で続けられることが必須。また、副作用があるかも知れないというストレスが悪影響をもたらすこともあり、自覚症状があれば主治医へ相談するようにしてください。

緩和ケア/支持療法

緩和ケアとは、癌の根治を目的とした治療ではなく、癌による諸症状を軽減して、肉体だけでなく精神的な辛さや社会とのつながりなどを回復させるための治療です。そのため、緩和ケアは患者を直接的にサポートだけでなく、家族との関係なども考慮して総合的にプランニングされることがポイントです。

また、癌による直接的な症状や治療による副作用・合併症などを緩和したり、予防したりするための治療を特に支持療法と呼びます。

がんになると、体や治療のことだけではなく、仕事のことや、将来への不安などのつらさも経験するといわれています。

緩和ケアは、がんに伴う心と体、社会的なつらさを和らげます。がんと診断されたときから始まり、がんの治療とともに、つらさを感じるときにはいつでも受けることができます。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス 卵巣がん・卵管がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html)

リハビリテーション

手術などで肉体を傷つけたり治療中の安静期間が長引いたりすれば、身体機能が低下してしまい、日常生活へ復帰するまでにリハビリテーションが必要になることもあるでしょう。

リハビリの方法には有酸素運動や日常動作の繰り返しなど様々なものがありますが、具体的な内容や期間は患者の状態や希望を踏まえて、医師や専門家と相談しながら計画していくことが肝要です。

一般的に、治療中や治療終了後は体を動かす機会が減り、身体機能が低下します。そこで、医師の指示の下、筋力トレーニングや有酸素運動、日常の身体活動などをリハビリテーションとして行うことが大切だと考えられています。日常生活の中でできるトレーニングについて、医師に確認しましょう。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス 卵巣がん・卵管がん 治療(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/treatment.html)

卵巣癌の発生要因とは?

卵巣癌が発生する理由については遺伝的要因が挙げられますが、必ずしも遺伝的要因だけで卵巣癌の発生や再発が決定されるとは限りません。そのため、家族に卵巣癌の患者がいるなどリスクが気になる人は、遺伝的要因を確認することも可能ですが、一方でその他の予防法などを検討することも重要です。

卵巣癌の遺伝的要因

卵巣癌の発生に関して、遺伝子による影響はおよそ10%ほどとされています。また、特に「BRCA1遺伝子」や「BRCA2遺伝子」において変異の有無が発生リスクに関連していると分かっており、遺伝子カウンセリングによって対象遺伝子の変異の有無を調べることも可能です。

卵巣がんの約10%は遺伝的要因によるものと考えられています。特に、細胞のがん化を防ぐ働きをするBRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に変異がある女性では、卵巣がんと乳がんを発症するリスクが高いことがわかっています。

しかし、これらの変異があるからといって必ずしもがんになるとは限りません。気になる場合には、遺伝医学の専門家のいる施設で、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。施設などの情報については、がん相談支援センターで確認することができます。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス 卵巣がん・卵管がん 予防・検診(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/prevention_screening.html)

遺伝子カウンセリングとは?

遺伝子カウンセリングとは、癌の遺伝的要因などについて不安を抱えている人に対して、遺伝医学の観点からサポートを行ったり、心理面のケアを行ったりすることを指します。

特に原因遺伝子が判明しているような癌の場合、遺伝子カウンセリングによって将来的なプランを考えられることもポイントです。

遺伝に関するさまざまな悩みや不安を抱えている人を対象に、専門知識を持つカウンセラーや医師が行う遺伝に関する情報提供、心理面や社会面に対する支援のことです。がんの場合は、遺伝性腫瘍や家族性腫瘍について、遺伝子の変異と病気の発症に関する説明、遺伝子検査受診の判断に関するサポート、心理面や社会面に対するサポートなどを行っています。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス 遺伝カウンセリング(https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/geneticcounseling.html)

遺伝子カウンセリングを受けられる施設の情報

遺伝子カウンセリングは遺伝医学の専門家がいる施設によって受けることができます。対象施設については「がん相談支援センター」で確認することも可能です。

なお、専門資格や十分な機材がない民間のカウンセラーもいるため、必ず施設の情報は信頼できるものから取得するようにしてください。

「がん相談支援センター」は、全国の「がん診療連携拠点病院」や「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」に設置されている、がんに関するご相談の窓口です。

これらの病院は、全国どこにお住まいでも質の高いがんの医療が受けられるように、厚生労働大臣が指定した施設です。指定された施設は、治療の内容や設備、がんに関する情報提供などについて、一定の基準を満たしています。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス 「がん相談支援センター」とは(https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/cisc.html)

卵巣癌の検査方法

特定の原因遺伝子が判明している卵巣癌であっても、予防法については現時点で明確に効果のある方法は医学的に定められていません。ただし、特定のライフスタイルや行動が癌の発生リスクに影響しているという研究データは報告されており、日常的に意識しながら生活していくことは可能です。

また、卵巣癌の既往歴を有する人や、BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に変異を有する人に限らず、定期的な検査によって癌の発生や再発の有無を確認していくことも重要です。

卵巣がん・卵管がん全般については、現在のところ、特有の予防法は確立されていません。ただし、BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子に変異があることがわかった女性に対しては、遺伝医学の専門家のいる、遺伝カウンセリングの体制が整った施設において、リスク低減卵管卵巣摘出手術を行うことについて検討することもあります。施設などの情報については、がん相談支援センターで確認することができます。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス 卵巣がん・卵管がん 予防・検診(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/prevention_screening.html)

触診・内診・直腸診

医師が女性の膣に指を入れて内部を触診したり、腹部を外側から触って診察したりして、子宮や卵巣の状態を確認します。また、直腸や周辺に異常がないか、お尻へ指を入れて診察する直腸診も有効です。

超音波検査(エコー検査)

検査を受ける人の体表面に超音波発生装置を当てて、体内に反響して返ってくる超音波の様子を画像化する検査方法です。超音波検査には患者の腹部や下腹部に器具を当てて行う方法の他にも、より近い場所から状態を判断できるよう、膣内に超音波発生装置を挿入して行う「経腟超音波断層法検査」があります。

超音波を体の表面にあて、臓器から返ってくる反射の様子を画像にする検査です。子宮や卵巣をより近くで観察するため、腟の中から超音波をあてて調べる経腟超音波断層法検査を行う場合もあります。卵巣腫瘍の性質や状態、大きさをみたり、腫瘍と周囲の臓器との位置関係を調べたりします。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス 卵巣がん・卵管がん 検査(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/diagnosis.html)

CT検査

体の周囲からX線を照射して、体内の様子をコンピューターによって画像化する診断方法です。

CT検査を利用することで、リンパ節への転移の有無や卵巣以外の臓器に対する転移の有無などを調べることができます。

なお、CT検査には造影剤を用いる場合もあります。

MRI検査

MRI検査はCT検査と同様に体内を画像化・視覚化するための診断方法ですが、使用するものはX線でなく強力な電磁波となることが特徴です。

卵巣癌に関連したMRI検査では、骨盤の細部まで詳しく調べることが可能です。

なお、MRI検査にも造影剤を用いる場合があります。

卵巣がん・卵管がんのMRI検査では、骨盤の内部を細かいところまで調べることができます。子宮や膀胱、直腸などの関係や、腫瘍内部の状態、リンパ節が腫れて大きくなっていないかなどを観察し、がんかどうかを推測します。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス 卵巣がん・卵管がん 検査(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/diagnosis.html)

細胞診・組織診(病理検査)

患者の卵巣や卵管から手術などで切除した組織や細胞を、顕微鏡で観察して良性・悪性などの判断を行う検査です。基本的に、癌かどうかの確定診断にはこれらの病理検査が必要となります。

なお、卵巣癌の細胞診では胸水や腹水に癌細胞が含まれていないかどうかも確認することがポイントです。そのため、腹水や胸水がたまっている患者に対しては、皮膚に採取用の針を刺して中の液体を採取し、細胞の有無や状態を観察します。

手術前に境界悪性や悪性が疑われた場合には、手術の範囲を決めるために、手術中に組織や細胞を採取し、病理診断を行うことがあります(術中迅速病理診断)。術中迅速病理診断には、標本にできる組織の量や時間のほか、さまざまな制約があります。そのため、切除した組織を手術後に詳しく調べて確定した最終的な病理診断と異なる場合があります。診断が異なった場合には、最終病理診断にあった適切な術後治療を行います。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス 卵巣がん・卵管がん 検査(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/diagnosis.html)

腫瘍マーカー検査

腫瘍マーカー検査は、癌細胞に特有のタンパク質などを目印(腫瘍マーカー)として、患者から採取した血液中にそれらのマーカーがあるかないかを調べる検査です。

他の検査の補助検査として利用されます。

卵巣がん・卵管がんでは、血液中のCA125などを測定します。がんの有無やがんがある場所は、腫瘍マーカーの値だけでは確定できないため、画像検査など、その他の検査の結果も合わせて、医師が総合的に判断します。

引用元:国立がん研究センター がん情報サービス 卵巣がん・卵管がん 検査(https://ganjoho.jp/public/cancer/ovary/diagnosis.html)

卵巣癌を再発させないための予防法

卵巣癌は治療が終わってから2年以内に半数が再発するといわれている癌(※)なので、再発予防のために化学療法を行なうかどうかを検討することが多いようです。

※参照元:日本婦人科腫瘍学会/第4章再発卵巣癌[PDF]

ステージによって抗がん剤が必要かどうかは判断されますが、I期の卵巣内のみに癌が認められ、手術によって完全に取り除かれたとしても、予防のために抗がん剤治療を選択するケースもあります。医師と相談の上、化学療法を行なうかどうかを決定してください。

とくに若年層で卵巣の温存を希望する場合には検討が必要です。化学療法を本当にしなくても良いのか、再発の可能性がどの程度あるかなどさまざまな要素を、医師の専門的な知見から判断してもらう必要があります。

将来的に出産を希望する方は、信頼の置ける家族・医師とじっくり話し合って決めるのが良いでしょう。また、卵巣癌の再発を早期発見するために定期的な検診を受けることが大切です。

卵巣癌のステージ

ここでは、ステージごとの卵巣癌の状態について詳しく解説します。

ステージ分類

Ⅰ期

ⅠA期 癌が片方の卵巣、あるいは卵管にある状態です。
ⅠB期 癌が両側の卵巣、あるいは卵管にある状態です。
ⅠC期 癌が片側、または両側に卵巣あるいは卵管にあり、さらに「癌が卵巣の被膜に広がっている」「癌によって卵巣の被膜が破裂している」「腹腔から採取した腹水、あるいは腹膜を洗った液から癌細胞が見つかる」の3点のうち、いずれかが認められる状態です。

Ⅱ期

ⅡA期 卵巣で発生した癌が、卵管・子宮のいずれかまたは両方に進展している状態です。また、卵管で発生した癌が卵巣・子宮のいずれかまたは両方に進展している場合も、このステージに含まれます。
ⅡB期 癌が膀胱や直腸など、骨盤の内側にあるその他の臓器に進展している状態です。

Ⅲ期・Ⅳ期

ⅢA期 肉眼では癌が骨盤の内側に留まっているように見えるが、顕微鏡で調べると癌細胞が骨盤の外にある腹膜に広がっていることが確認できる状態です。
ⅢB期 骨盤の外にある腹膜に、大きさ2cm未満の癌が広がっている状態です。
ⅢC期 大きさ2cm以上の癌が腹膜に広がっているか、癌が後腹膜あるいは鼠経リンパ節に広がっている状態です。
ⅣA期 胸腔から採取した液体(胸水)に、癌細胞が認められる状態です。
ⅣB期 癌が肝臓実質に転移している、あるいは遠くの臓器に転移している状態です。

ステージの分類方法

卵巣癌のステージ分類は、「癌が卵巣の片側にあるか、両側にあるか」「卵巣周辺に広がっているか」「リンパ節や、卵巣から遠い臓器に転移があるか」といった点に基づいて行われます。

なお、卵巣癌の場合は、手術によって摘出したものや採取した腹水などを詳しく調べ、その結果をもとに癌がどの程度まで広がっているかを判断する「手術進行期分類」が用いられます。つまり、卵巣癌のステージが判明するのは、初回の手術を終えた後ということになります。

ステージごとの治療方針

Ⅰ期

原則として、卵巣全体、子宮、胃の下部にある「大網」という脂肪組織を摘出し、さらに骨盤内のリンパ節、傍大動脈領域のリンパ節を取り除き、術後は必要に応じて化学療法を行います。ただし、患者さんが弱年齢で、かつ将来の妊娠を強く希望する場合は、術後に考えられるリスクについて十分に検討しつつ、卵巣を温存する手術を行うこともあります。

Ⅱ期

Ⅰ期と同様の手術に加え、膀胱や直腸など、癌が広がっている部分の切除を行います。さらに、術後は抗がん剤による治療を行います。

Ⅲ期・Ⅳ期

初回の手術後に、抗がん剤によって可能な限り癌を小さくする治療を行います。また、場合によっては、はじめに癌の広がり方を把握するための試験開腹を行い、その後改めて化学療法に移ることもあります。

抗がん剤によって腫瘍が小さくなったら、体内の癌を可能な限り取り除くための手術(腫瘍減量術)を行い、さらに再発予防のための化学療法を行います。なお、脳や骨に転移が見られる場合は、予後の改善や痛みの緩和などを目的とした放射線治療が行われることもあります。