公開日: |更新日:
掲載している治療法はすべて保険適用外の自由診療のため、全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。
癌が再発しやすい箇所や5年生存率は癌の種類によっても異なります。こちらでは代表的な癌の転移しやすい箇所、5年生存率について解説しています。
癌の種類 | 5年後生存率(2011-2013年診断症例) |
---|---|
肺癌 | Ⅰ期:85.6% Ⅱ期:52.7% Ⅲ期:27.2% Ⅳ期:7.3% |
乳癌 (女性) | Ⅰ期:100.0% Ⅱ期:95.9% Ⅲ期:80.4% Ⅳ期:38.8% |
胃癌 | Ⅰ期:98.7% Ⅱ期:66.5% Ⅲ期:46.9% Ⅳ期:6.2% |
肝臓癌 | Ⅰ期:64.0% Ⅱ期:40.8% Ⅲ期:15.2% Ⅳ期:3.7% |
大腸癌 | Ⅰ期:98.8% Ⅱ期:90.9% Ⅲ期:85.8% Ⅳ期:23.3% |
食道癌 | Ⅰ期:88.2% Ⅱ期:57.9% Ⅲ期:32.6% Ⅳ期:12.4% |
胆のう癌 | Ⅰ期:55.1% Ⅱ期:35.4% Ⅲ期:23.1% Ⅳ期:3.2% |
膵臓癌 | Ⅰ期:49.8% Ⅱ期:21.6% Ⅲ期:6.9% Ⅳ期:1.9% |
喉頭癌 | Ⅰ期:94.9% Ⅱ期:91.7% Ⅲ期:76.0% Ⅳ期:48.3% |
子宮頸癌 | Ⅰ期:93.6% Ⅱ期:82.2% Ⅲ期:67.9% Ⅳ期:26.5% |
前立腺癌 | Ⅰ期:100.0% Ⅱ期:100.0% Ⅲ期:100.0% Ⅳ期:65.6% |
参照元:国立がん研究センター(全がん協部位別臨床病期別 5 年生存率 (2011-2013 年診断症例)
肺癌の5年生存率は、ステージⅠで85.6%、Ⅱで52.7%、Ⅲで27.2%、Ⅳで7.3と言われています。
肺には多くの血管とリンパ管が集まっているため、肺癌は血行性・リンパ行性に転移しやすいのが特徴で、主な箇所としてリンパ節・脳・肝臓・副腎・骨が挙げられます。
特に原発巣近くのリンパ節、次いで縦隔(肺の左右を隔てている組織)のリンパ節への転移が多いと言われています。
乳癌の5年生存率は、ステージⅠで100.0%、Ⅱで100.0%、Ⅲで88.2%、Ⅳで41.8%と言われています。
乳癌の転移が最も多いのはリンパ節。乳房から近いためです。次いで肺や骨への転移が多いとされています。肺は毛細血管やリンパ管が豊富にあるため、乳癌が転移しやすいのです。また骨への転移は、特に骨盤・肋骨・腰椎・胸椎・頚椎・胸骨・頭蓋骨など、乳房に近い箇所に多く見られます。
胃癌の5年生存率は、ステージⅠでは98.7%、Ⅱでは66.5%、Ⅲでは46.9%、Ⅳでは6.2%で全病期では75.4%とされています。
胃癌の転移先で最も多いとされているのが、胃の周りにあるリンパ節。初期の胃癌でも転移することがあります。
次いで腹膜、肝臓への転移が多いとされ、さらに癌細胞が胃壁を破ると腹腔に散らばって「腹膜播種」が起こることもあります。
肝臓癌の5年生存率は、他の癌と比べて低いのが特徴です。ステージⅠでは64.0%、Ⅱでは40.8%、Ⅲでは15.2%、Ⅳでは3.7%、全体では38.6%となっています。
肝臓は血管が多いため、癌の転移は肝臓内で起こる事が多く、肝臓癌再発のほとんどは肝臓内転移だとされています。
他への転移では肺・骨・リンパ節・副腎などが挙げられます。
大腸癌の5年生存率は、ステージⅠでは98.8%、Ⅱでは90.9%、Ⅲでは85.8%、Ⅳでは23.3%といわれています。
大腸癌は門脈という血管を通じて転移するため、肝臓と肺で起こることが多いとされています。
大腸癌から転移した癌は比較的おとなしく、早期に切除できれば生存率は高いと言われています。
生存率とは、「癌と診断された患者さんのうち、一定期間が経過したのちに生存が確認できた人の割合」のことを言います。癌の種類ごとの生存率の数字は、その癌と診断された人のうち一定期間後に生存している人の割合が、日本人全体の生存割合と比較してどの程度低いかで割り出されます。
生存率には、「実測生存率」と「補正生存率」、「相対生存率」の3つが存在します。まず、「実測生存率」とは、癌以外の疾患や事故、老衰なども含め、あらゆる原因による死亡を含めて算出した生存率です。
次に「補正生存率」とは、癌による死亡のみを集計したものをいいます。ただし、何をもって「癌による死亡」とみなすかの判断が難しいため、医師の主観によって数値が左右されてしまう可能性があります。
そして、実測生存率の数値を、対象となる人と同じ年齢・性別の日本人の期待生存率で割ることにより、癌以外の原因による死亡の数値への影響を補正したものを「相対生存率」といいます。
相対生存率の算出方法は複雑です。しかし、相対生存率には「死因について判断する人の主観が入り込まない」「死因に関する詳しい情報がない場合にも用いることができる」といった、補正生存率にはない利点があります。
生存率が高いということは、治療によって患者さんの生命を救える可能性が高いということを意味します。
例えば、国立がん研究センターの全がん協加盟施設の生存率協同調査(※1)によれば、2008~2010年に診断・治療を行った前立腺癌の5年生存率(全症例の相対生存率)は100%、乳癌(女性)は93.9%です。その一方で、2008~2010年に診断・治療を行った肝癌の5年生存率は36.4%、膵臓癌の同生存率は9.2%でした。
このことから、前立腺癌や女性の乳癌は、他の部位の癌に比べて比較的予後が良好であることが分かります。反対に、5年生存率が低い肝臓の癌や膵臓癌は、他の部位に比べて難しい癌であると言えるでしょう。
5年生存率と10年生存率を比較すれば、5年目以降に再発を起こしやすいか否かをある程度推測することは可能です。
例えば、全がん協加盟施設の生存率協同調査(※1)によれば、肝臓癌の5年生存率は35.3%、10年生存率は14.6%です。5年生存率と10年生存率の数値(※2)に大きな差があることから、肝臓癌の場合は診断後5年を、経過したあとも再発・転移してしまう患者さんが多いと考えられます。
ただし、生存率が高いことは、必ずしも再発しにくいことを指すわけではありません。生存率は「癌が完治した人」の割合ではなく、あくまでも「生存している人」の割合であり、再発・転移を起こして治療中の人も、存命であればカウントされるのです。
生存率が高いとされる癌で再発・転移を起こすこともあれば、生存率が低い癌と診断されても、治療が奏功し、良好な予後を過ごせることもあります。生存率の数値はあくまでも目安ととらえて、参考にすることが大切です。
癌の再発リスクは、がん種や治療法、さらには患者個々の生物学的背景によって大きく異なります。しかし、共通して示される情報として以下のポイントが挙げられます。
ほとんどの癌において、治療後最初の2年間は再発リスクが非常に高い時期です。
非小細胞肺癌や大腸癌など多くのがんで、治療完了後2〜3年以内に局所再発や遠隔転移が認められる事例が多く報告されています。
これは、手術や抗がん剤治療で目に見える腫瘍は縮小または除去されたものの、微小な残存癌細胞が残っているケースが多いためです。
治療後5年間再発が見られなければ、以降の再発リスクが大幅に低下すると考えられています。
胃癌や大腸癌などでは、治療後5年を経過すると再発リスクが劇的に減少することが示されています。
ただし、乳癌など一部のがん種では5年以降も再発リスクが残るため、長期にわたるフォローアップが必要です。
癌治療後も目に見えない微小な癌細胞が体内に残存することがあり、これが時間をかけて再増殖するのが再発の主要な原因です。
癌細胞は一時的に休眠し、免疫や細胞周期の影響で活動を停止することがありますが、外的刺激により再活性化し再発します。
がん細胞はPD-L1の発現などにより免疫逃避し、抗がん剤耐性を獲得することで治療後の再発が起こりやすくなります。
慢性炎症や低酸素状態など、腫瘍周囲の環境が再発を促す重要な因子となります。
定義: 原発巣または直近部位に同じがんが再発。
特徴: 再手術や局所放射線治療が可能。早期発見で治癒も期待される。
定義: 原発周囲のリンパ節や隣接臓器に再発。
特徴: 外科的対応も可能だが、再発範囲が広がると全身治療が必要。
定義: 血流やリンパを通じて遠隔臓器へ転移。
特徴: 化学療法、免疫療法、分子標的薬などの全身治療が主体。
癌の再発については、治療後の初期(特に2年以内)にリスクがピークに達し、その後5年を経過すれば再発リスクは大幅に低下するという共通の見解があります。
しかし、乳癌など一部のがん種では5年以降も再発リスクが残るため、長期にわたる個別化されたフォローアップが必要です。
また、再発のメカニズムは、微小転移、休眠細胞の再活性化、免疫逃避、耐性獲得、そして腫瘍微小環境の影響など、複雑な生物学的要因が絡んでいます。
再発は局所再発、領域再発、遠隔再発(転移再発)、および再燃として分類され、各カテゴリに応じた治療戦略が求められます。
再発の早期発見にはCTやMRI、PET-CTなどの画像検査、腫瘍マーカーの定期測定、そして新しい検査技術である液体生検が活用され、個別のフォローアップ計画が多職種連携のもとで構築されることが望ましいです。