公開日:
|更新日:
癌の再発率とは?
掲載している治療法はすべて保険適用外の自由診療のため、全額自己負担となります。症状・治療法・クリニックにより、費用や治療回数・期間は変動しますので、詳しくは直接クリニックへご相談ください。
また、副作用や治療によるリスクなども診療方法によって異なりますので、不安な点については、各クリニックの医師に直接確認・相談してから治療を検討することをおすすめします。
がんの治療が成功しても、再発というリスクは多くの患者さんにとって避けられない不安要素です。「がんの再発率」は、患者さんやその家族が治療後の生活や再発予防の対策を考える上で、非常に重要な情報となります。
ここでは、そんな「がんの再発率」について詳しく解説します。さらに、がんが再発するメカニズムや具体的な予防策、再発時の対応についても掘り下げていきます。
再発とは何か?
再発とは、がん治療によって画像検査やその他の検査で確認できなくなったがん細胞が、再び増殖して臨床的に検出できる状態になることを指します。この再発には以下のようなパターンがあります。
- 局所再発: がんが元々発生した部位やその近辺の組織に再び現れるケースを指します。例えば、乳がんの場合、手術後の乳房の皮膚、皮下組織、または手術部位の近くの胸壁で再発することがあります。
- 領域再発: がんが元の部位の周辺のリンパ節などに現れる場合です。例えば、胃がんでは胃の周囲のリンパ節や、手術で郭清した領域のリンパ節に再発が見られることがあります。
- 遠隔再発: がん細胞が血液やリンパ液を介して体内を移動し、肺、肝臓、骨、脳など離れた臓器で新たにがんが発生するケースです。大腸がんでは肝臓や肺への遠隔再発がよく報告されています。
再発は、治療が終了してから数カ月後、数年後に起こることがあります。一般的に、治療後2~5年以内が再発のリスクが高いとされますが、がんの種類や病期によっては10年以上経過してから再発する場合もあります。
がんの種類別再発率
がんの再発率は、がんの種類、進行度(ステージ)、初回治療の内容、そしてがん細胞の 生物学的 な特性によって大きく異なります。以下に代表的ながんの再発率について、一般的な傾向を詳しく見ていきます。
1. 胃がんの再発率
胃がんは日本で罹患数の多いがんであり、治療後の再発は患者さんと医療従事者にとって重要な課題です。
- ステージI: 根治手術後の再発率は一般的に比較的低く、5年再発率は5~15%程度と報告されています。しかし、がんの組織型や悪性度によってリスクは変動します。
- ステージII~III: 根治手術に加えて術後補助化学療法が行われることが一般的ですが、再発率は20~50%程度と報告されています。腹膜播種、リンパ節再発、肝転移などが主な再発形式です。
- ステージIV: 進行期胃がんでは、初回治療の目的は延命と症状緩和が中心となりますが、治療後に病勢が制御されたとしても、多くの場合、再発や進行が見られます。
再発の主なリスク因子としては、進行した病期、リンパ節転移の程度、脈管侵襲(がん細胞が血管やリンパ管に入り込んでいること)、未分化型などの悪性度の高い組織型などが挙げられます。
2. 大腸がんの再発率
大腸がんは、結腸がんと直腸がんで治療法や再発傾向に若干の違いが見られます。
- ステージI: 根治手術後の5年再発率は5%未満と非常に低いですが、高リスク因子(リンパ管侵襲、静脈管侵襲、断端陽性など)が存在する場合は注意が必要です。
- ステージII: 根治手術単独の場合、5年再発率は10~25%程度と報告されています。高リスク因子を有する症例には術後補助化学療法が推奨されます。
- ステージIII: 根治手術と術後補助化学療法を行っても、5年再発率は25~45%程度と報告されています。リンパ節転移の個数が多いほど再発リスクは高まります。
- ステージIV: 遠隔転移を有する大腸がんでは、化学療法や分子標的療法が主体となりますが、治療後に病勢が安定しても、多くの場合、再発や進行が見られます。
再発部位としては、肝臓、肺への血行性転移が比較的多く、局所再発(吻合部、骨盤内)も見られます。
3. 乳がんの再発率
乳がんは、サブタイプ(ホルモン受容体、HER2など)によって再発リスクや時期が大きく異なることが特徴です。
- 早期乳がん(ステージI~III): 術後5年以内の再発リスクは、サブタイプ、病期、治療内容(手術、放射線療法、薬物療法)によって大きく異なります。全体としては10~40%程度と報告されていますが、ホルモン受容体陽性HER2陰性タイプでは、5年以降も再発リスクが持続することがあります。
- 局所再発: 乳房切除後や乳房温存療法後の同側乳房内、胸壁、局所リンパ節での再発が見られます。
- 遠隔再発: 骨、肺、肝臓、脳への転移が多いですが、サブタイプによって好発部位が異なります。
術後の内分泌療法、化学療法、分子標的療法は、再発リスクを低減するために重要な役割を果たします。
4. 肺がんの再発率
肺がんは、非小細胞肺がんと小細胞肺がんで治療法と再発傾向が大きく異なります。
非小細胞肺がん
- ステージI: 根治手術後の5年再発率は20~40%程度と報告されています。
- ステージII~III: 手術に加えて術後補助化学療法や放射線療法が行われますが、再発率は30~70%程度と報告されています。
- ステージIV: 進行期非小細胞肺がんでは、薬物療法が主体となりますが、治療効果が得られても、多くの場合、再発や進行が見られます。
小細胞肺がん
初回治療で高い奏効率を示すことが多いですが、再発率は非常に高く、多くの患者さんが2年以内に再発を経験します。
再発部位は、原発巣の局所、縦隔リンパ節、脳、骨、肝臓、副腎など多岐にわたります。
再発の要因とリスクファクター
再発リスクは、がんの 生物学的 な特性、初回治療の状況、患者さんの状態など、多くの要因によって影響を受けます。
- がんの進行度(ステージ): 初回治療時のステージが高いほど、微小転移のリスクが高く、再発率も上昇します。
- 治療法の種類と効果: 手術における切除範囲、化学療法や放射線療法の効果、治療期間などが再発リスクに影響します。
- 組織学的悪性度: がん細胞の分化度や増殖能が高いほど、再発しやすい傾向があります。
- リンパ管侵襲・血管侵襲: がん細胞がリンパ