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精神腫瘍科とは?

当記事では、精神腫瘍学・サイコオンコロジーの定義や背景、役割についてまとめ、どのような症状がある際に受診できるか解説しています。精神腫瘍科への受診を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

精神腫瘍学/サイコオンコロジーの定義と背景

精神腫瘍科とは、がん専門の精神科で、患者やその家族が利用可能です。精神腫瘍科では、健康を失ったという喪失感や将来への不安、人間関係のストレスなど、さまざまな悩みに対応しています。

がんは従来のように「死を待つだけ」というイメージこそなくなりつつありますが、現在もがんと診断されると、死を意識し、不安・恐怖・絶望などに悩まされる方も少なくありません。このような、患者の心の問題について扱っている学問を精神腫瘍学(サイコオンコロジー)と呼びます。

1970年代頃よりサイコオンコロジーの研究や診療が始まった

世界的にインフォームドコンセントの概念が広まり、今まで伝えていなかったがんの診断を患者に伝えながら、どのようにサポートしていけばよいかをテーマに掲げられた1970年代頃より、サイコオンコロジーの研究や診療が始まったとされています。

サイカイアトリー(精神医学)・サイコロジー(心理学)・オンコロジー(腫瘍学)といった専門的な領域から構成された用語です。

現在、がん患者の心の問題をサポートするため、免疫学や内分泌学などの医学、倫理学、哲学、社会学など、さまざまな科学的手法を統合しながら、研究が進められています。

がん治療の進歩で患者さんの生存期間が延び、身体的なケアだけでなく、がんに伴う精神的苦痛(不安、うつ、不眠など)やQOL(生活の質)の維持が重要になったため、精神医学・心理学と腫瘍学を統合した新たな学問領域として確立されました。

参照元:一般社団法人日本サイコオンコロジー学会

精神腫瘍科(腫瘍精神科/サイコオンコロジー科)の役割

精神腫瘍科は、患者や家族の心のケアを行っている診療科です。がんと診断された場合、身体面の治療だけではなく、心のケアも必要不可欠となります。

身体や心の苦痛は密接に関連しており、心が安定することで治療効果を高め、生活の質(QOL)を向上させ、自分らしく生きるための土台となるため、早期から身体的・精神的苦痛の緩和が欠かせません。

精神腫瘍科は、がんと告知されたときはもちろん、再発と診断された方や、がんの治療中、終末期などさまざまな状況にある方を対象としています。がんと関連して、気持ちがふさぎ込みがちだったり不安だったりしてどうしていいかわからない方の診療を行っています。

がんにかかるのは大きな衝撃であり、すぐには解決が困難な気がかり(身体的苦痛や治療、仕事や学業面、将来のことなど)が発生します。このような状態が続くと、不眠や不安、気持ちの落ち込みなど、さまざまなつらさが現れることがあります。

精神腫瘍科は、このようなつらさに対し、精神腫瘍医や看護師、心理療法士によるカウンセリングやリラクセーション、薬物療法を提供しているのが特徴です。

どのような“心のつらさ”に対応するか

精神・心理的な悩み

患者とそのご家族は、がんと診断されると不安やうつ、不眠、食欲不振、将来への悩み、仕事や人間関係のストレスなどさまざまな悩みが生じます。精神腫瘍科では、そのような心身のつらさ全般に対応しています。

精神医学的診断が必要な状態

精神腫瘍科では、以下のような疾患などに対する診断・治療も行っています。

睡眠に関する問題はがん治療中の方に現れやすい症状の1つです。時に、睡眠薬などの薬剤を用いて、睡眠時間を確保した方がよいケースもあります。

不安障害やうつ病は、がんと診断されると、発症しやすい自然な反応ですが、日常生活に支障が出るほど強く見られる場合は、適応障害やうつ病に移行するリスクがあります。

また、せん妄は身体に何らかの負担がかかったときに、一時的に脳の機能に乱れが生じて現れる症状とされています。

上記のほかに、認知機能障害についても精神腫瘍科で対応。がんや認知症は一般的に高齢になるほどかかる割合が増加することから、認知症の症状を伴いながら、がん治療を受けるケースも珍しくありません。

家族・遺族のこころのケア

精神腫瘍科における対象者は、患者本人だけではなく、身近で支えている家族も含まれています。

がん患者のケアはもちろん重要ですが、その家族の心のケアも欠かすことができません。患者の家族は、「第2の患者」とも呼ばれており、大切な人の看病などさまざまなストレスがかかり、つらい思いをされる場合も多く、とりわけ精神科的なケアや治療が必要になるケースもあります。

医療機関の中には、家族の精神的な苦悩に対するケアを目的とした家族外来を設置し、家族へのサポートを展開しているところもあります。

参照元:埼玉医科大学国際医療センター

遺族ケア外来

大切な人を亡くした後の気持ちの落ち込み(悲嘆・グリーフ)は自然な反応とされていますが、ときに日常生活に支障をきたしてしまう場合もあります。気持ちの落ち込みが長期にわたり続くことも。

このような患者の遺族へ、心のサポートを行う遺族ケア外来(グリーフケア外来)を展開している医療機関もあります。

つらい時は専門的な診療を

がんと診断されたときだけではなく、治療中や再発を告げられた際には、心にも大きな負担がかかります。本人はもちろん、支えている家族も大きなストレスがかかりやすいです。自分や家族だけで悩んだり抱え込んだりせず、がん専門の精神科に相談すると、医師や心理士など専門のスタッフから心のケアを受けられます。