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がんの再発という知らせは、ご本人にとってもご家族にとっても、言葉にできないほどショックなことだと思います。「これからどうなるのか」「もう治療法はないのではないか」と不安が募るなか、この「オリゴ再発(オリゴ転移)」という言葉に辿り着いたのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、オリゴ再発は「再発=末期・緩和ケアのみ」という従来のイメージを覆す、前向きな治療選択肢のひとつです。この記事では、オリゴ再発の定義や治療法、そして後悔しない選択をするためのポイントを分かりやすく解説します。
「オリゴ(Oligo)」とはギリシャ語で「少ない」を意味します。がんが全身に広まった状態ではなく、限られた場所に数個だけ再発した状態を指します。
従来、がんの再発や転移は「全身に目に見えないがん細胞が回っている状態」と考えられ、全身に効く抗がん剤治療が主役でした。しかし、近年の研究で「少数の転移であれば、その場所を直接叩くことで、完治(根治)や長期生存が目指せるケースがある」ことが分かってきました。
一般的には、以下の条件を満たす場合に「オリゴ再発」と検討されることが多いです。
放射線治療の精度向上や、新しい薬(免疫チェックポイント阻害剤など)の登場により、少数の転移を抑え込む力が格段に上がりました。これにより、かつては「延命」が目的だったステージでも、「根治」を目標に据えた治療が現実味を帯びてきています。
オリゴ再発の治療は、薬物療法(全身治療)に加え、再発した場所を直接狙い撃つ「局所療法」を組み合わせるのが特徴です。
オリゴ再発治療の主役とも言えるのが、ピンポイント放射線治療(SBRT)です。
転移の場所や大きさによっては、手術で物理的に切り取ることが最も確実な場合があります。特に肺や肝臓への少数転移では、手術によって良好な経過を辿るケースが多く報告されています。
局所療法で「目に見える敵」を叩き、薬物療法で「目に見えない予備軍」を叩く。この両輪で治療を進めることで、再々発のリスクを最小限に抑えます。
単なる延命ではなく、生活の質を維持しながら、攻めの治療ができる点が最大のメリットです。
最大の希望は、再発であっても「がんが体から消えた状態」を長く維持できる可能性があることです。特に肺がん、前立腺がん、乳がん、大腸がんなどにおいて、その有効性が示されつつあります。
強力な抗がん剤治療は副作用が伴います。オリゴ再発への局所治療が成功すれば、強い薬を使い始める時期を先延ばしにできたり、休薬期間を設けられたりするため、自分らしい生活を長く送ることができます。
転移したがんが大きくなる前に叩いておくことで、将来的な痛みや麻痺、臓器の機能不全を防ぐという守りのメリットもあります。
希望のある治療ですが、すべての患者さんに適応されるわけではありません。
がんの種類、転移の場所、これまでの治療歴によっては、局所治療が逆効果になったり、効果が薄かったりする場合もあります。専門医による慎重な判断が必要です。
放射線による炎症や、手術に伴う合併症のリスクはゼロではありません。「治療によって得られるメリット」と「体への負担」のバランスを冷静に見極める必要があります。
オリゴ再発に対する積極性は、病院によって異なります。外科医、腫瘍内科医(薬の専門)、放射線治療医が連携している病院かどうかを確認することが重要です。
今の不安を少しでも軽くするために、以下のステップを検討してみてください。
診察の際、メモを持って以下のことを聞いてみてください。
「がん診療連携拠点病院」などの大規模な病院では、各診療科が集まって方針を決める「キャンサーボード」という会議が行われています。こうした体制が整っている病院を選ぶのが安心です。
多くの拠点病院には、誰でも無料で利用できる「がん相談支援センター」があります。治療のセカンドオピニオンの受け方や、経済的な不安についても相談に乗ってくれます。
「オリゴ再発」は、医療の進歩によって見出された「もう一度、根治を目指すためのステージ」です。
再発という言葉に希望を捨ててしまう必要はありません。まずはご自身の状態がオリゴ再発に該当するのか、そしてどのような局所治療の選択肢があるのかを、信頼できる医師と話し合ってみてください。