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抗がん剤治験とは?

治験という選択肢

癌が再発した場合、手術・放射線療法・薬物療法(抗がん剤など)といった標準治療が改めて検討されます。しかし、再発がんや進行がんでは使用できる抗がん剤が限られてくるケースも。

標準治療で十分な効果が見込めなくなった場合に、新しい治療へアクセスする手段の一つとして「治験」という選択肢があります。治験とは、まだ国に承認されていない薬や治療法の有効性と安全性を確かめるための臨床試験です。

治験の仕組みと段階(第Ⅰ相〜第Ⅲ相)

治験は、新しい薬の製造販売について厚生労働省の承認を得るために行われる臨床試験です。広い意味での「臨床研究」の中に「臨床試験」があり、その中でも国への承認申請を目的とするものが「治験」にあたります。

基礎研究や動物を対象とした非臨床試験を経たのち、ヒトを対象とした試験が段階的に進められ、新薬の開発から承認までには一般的に5〜10年の期間がかかるとされています。

治験の3つの段階(第Ⅰ相〜第Ⅲ相)

段階目的対象者
第Ⅰ相少人数で薬の安全性や体内での動きを確認する少数の患者(健康な方の場合もあり)
第Ⅱ相少数の患者で有効性や適切な用量を検討する対象疾患の患者(少数)
第Ⅲ相多数の患者で標準治療と比較し効果を検証する対象疾患の患者(多数)

各段階を順にクリアすることで、薬の有効性と安全性に関するデータが蓄積されていきます。

医師主導治験とは

2003年の薬事法改正により、医師自身が治験を企画・実施できるようになりました。製薬企業が採算性などの理由で開発しにくい分野や、すでに承認されている抗がん剤の適応がん種を拡大する目的などで活用されています。

国立がん研究センター中央病院をはじめ、各地の医療機関が積極的に取り組んでいます。

癌再発患者にとっての治験参加のメリットと注意点

治験に参加する際には、メリットと注意すべき点の両面を理解しておくことが大切です。

主なメリット

未承認薬への早期アクセス

通常、新しい薬が承認され保険診療で使えるようになるには数年単位の時間が必要です。再発癌で既存の薬が限られている場合でも、治験に参加することで、数年先に承認予定の最新薬(次世代の免疫療法や分子標的薬など)をいち早く試せる可能性があります。

質の高いモニタリングと「CRC」の存在

治験では副作用の早期発見と正確なデータ収集のため、検査が厳格に行われます。

経済的負担の軽減(一部)

治験薬そのものの費用や、治験に関連する特別な検査費用は製薬会社が負担します。ただし、再診料や治験に直接関係のない処方などは通常の保険診療として自己負担が発生します。

主な注意点

厳格な参加条件(適格基準)

希望しても全員が参加できるわけではありません。以下の条件が厳しくチェックされます。

スケジュールの拘束

治験はデータの正確性が命です。通院日が厳密に指定され、体調に関わらず検査が必要な場合もあります。遠方の病院へ通う場合は、本人と家族のサポート体制が非常に重要になります。

治験への参加方法と情報の探し方

治験への参加は患者ご自身の自由意志に基づいて決定でき、途中で辞退することも可能です。参加前には「インフォームド・コンセント」として、治験の目的・方法・予想される副作用などについて医師から詳しい説明が行われます。十分に理解・納得したうえで同意書に署名する流れとなります。また、治験コーディネーター(CRC)が患者をサポートする体制も整えられています。

治験に関する情報は、まず主治医に相談することが第一歩です。そのほか、がん相談支援センターや、臨床研究情報ポータルサイト、がん情報サービスなどでも情報を得ることができます。

まとめ

癌が再発した場合でも、抗がん剤の治験を通じて新しい治療にアクセスできる可能性があります。治験は厳格な基準と管理体制のもとで実施されており、参加にあたっては十分な説明と同意のプロセスが設けられています。まずは主治医やがん相談支援センターに相談し、正しい情報をもとに冷静に判断されることをおすすめします。